115話 戻った先の出来事
時は少し遡り、ヒカリちゃん、監禁から解放されて無事社交界の会場に戻って来ました!
「疲れたぁ……」
「ヒカリちゃんお疲れ!」
「踊る元気残ってるの?」
シャイナちゃんは優しく頭を撫で、スーちゃんはダンスの心配をしてくれる。
「ようやく戻って来たか。大丈夫だったのか?」
会場に残っていたらしいユアン様が心配そうに駆け寄って来た。
「ちょっと監禁されたけど大丈夫!」
「何も大丈夫じゃないね……」
「あはは……ご心配をおかけしました」
茶目っ気で乗り切るには事が大き過ぎた。
社交界はおおよそ一時間の開催で、残り十五分ほど。
踊れるチャンスは確実に次の一回でラストだ。
「レオン、監禁して傷心している女の子を元気づけてほしいな?」
「素直に一緒に踊ろうって言えばいいのに」
「伝わってるからよしでしょ!」
レオンは僕の手を取り、一緒にホールの中心付近まで移動して音楽が流れるのを待つ。
「言っておくけど、私スーちゃんみたいに活発に踊れないし、シャイナちゃんみたいに可憐にも踊れないからね?」
「関係ないさ。社交ダンスは楽しむためのものだからね」
音楽がなり始め、ゆったりとした動きに合わせて踊り始める。
流石に足を踏むなんてヘマはしないけど、レオンに踊らされてる感は半端ない。
「むむむ」
「ちょっとイタズラしてもいい?」
「え? なんて……ええぇぇぇ!」
ちゃんと聞き取れなかったので聞き返そうとした時、レオンのダンスのリードが激しくなり、まさに操り人形のように振り回される。
別に勢いがあるわけでもないのに、緩急は強いせいで放り出されそうになる。
(エクソシストじゃないんだが!?)
レオンに振り回されて踊ること五分。
ようやく音楽が止まり、必死に礼をし、震える足で三人の下へ戻った。
「踊らされてたわね?」
「凄く面白かったわよ!」
スーちゃんとシャイナちゃんはほっこりしたような顔をしている。
「納得いかない……」
二人とも見事なダンスをしていたのに、僕だけ振り回されっぱなしのダンスだった。
「三者三様のダンスだったな?」
「ユアン様煽ってます?」
「煽ってねぇよ!」
驚いたように声を上げたあたり、本当に煽ってなかったらしい。
納得いかないが、そろそろ社交界はお開きムード。
「そろそろ出たほうがいいかもな?」
既に会場を後にし始めている人が何人かおり、音楽も止んでいる。
「じゃあ僕は三人を送るよ」
「わかった。それじゃあお三方また会う日まで」
ユアン様は手を振って送り、今度こそちゃんと社交界を後にする。
*
「もう無理ぃ……」
着替えるために生徒会に戻った途端、ずっしりと身体が重くなり、気の向くままにソファに寝転ぶ。
「ヒカリちゃんは本当にお疲れ様だよ……」
シャイナちゃんは僕の頭を撫でて苦笑い。
「監禁なんて許せないわね? どうせセイナとルージーでしょうけど」
「スーちゃんよくわかったね?」
「当たり前よ! 『貴族至上主義』なんて碌な奴いないわね!」
後でレオンにも話すが、タロウが『目撃者がいないなら白ばくれてお終い』って言ってたし、犯人の制裁は期待出来ない。
そんなこんなで全員制服に着替え、シャイナちゃんがレオンを生徒会室に連れ、僕以外は椅子に座って事の流れを全て話す。
因みに僕はソファで寝転んだままです。皆んな許してくれました。
「やっぱりか……」
「レオンも犯人の予想ついてたの?」
「ヒカリを探している時に唯一見かけたのが二人だったし、一年と二年と生徒会以外は帰宅済みだからね」
「だからアリアさんも帰ってるって知ってたんだ」
スーちゃんは何か線で結ばれたらしく、一人で納得していた。
「でもヒカリの言った通り、制裁が難しいね」
「しょうがないか……」
モヤモヤするけど諦めるしかない。
「ならその、タロウさん? にはちゃんと感謝しないとですね?」
「うん……あ! 感謝伝えてない……」
三人を見つけた嬉しさで階段を駆け上がり、そのままお別れしてしまった。
「なら今から伝えにいきましょう?」
「うん、そうする!」
重たい身体を持ち上げて立ち上がり、両手で頬を叩く。
「僕はこの後社交界の片付けがあるから、二人とも、ヒカリをお願いね?」
「当たり前よ!」
「勿論よ!」
「それじゃあ」
レオンは手を振って生徒会室を離れていった。
「それじゃあ私たちも帰りましょう!」
「うん! あ、どの地下室か場所はわかるから私だけサッと行ってサッと帰ってくるね?」
「わかったわ!」
そして僕たちも生徒会室を後にして、地下にいた『タロウ』に挨拶をして、三人仲良く並んで帰宅したのだった。




