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108話 残り三十分


 部員が僕を幾つかのパーテーションで塞ぎ、その間に破棄予定の服にパパッと着替える。


 男子もいる中だからかなり緊張したけど、何事もなく着替え終えました。


 そして、用意してくれていた手鏡で自分の姿を見つめる。


 黒いスカートと、不思議なロゴがついた黒い半袖シャツ。


(これが平民服研究部の手作りなのすごいな……)


 売り物だって言われても違和感ないくらいには上手な出来だ。


「着替えたよ?」


 声をかけて知らせてみる。


「……本当に見せるの?」


 レオンは戸惑いを隠せない様子で声を上げる。


「スーちゃんとシャイナちゃんだけ来て?」

「乗った!」

「見せられるか見極めてくるわ」


 自分の中の羞恥心と戦った結果、普通にパーテーション解放は無理だった。


 そんなわけでスーちゃんとシャイナちゃんがご来場。


「どう?」


 少し下がって全体像を見せる。


「か……可愛いけど、これは男性に見せちゃダメ!」


 シャイナちゃん頬を赤く染めて目を泳がせている。


「うん……私が男なら今ここでヒカリちゃんを襲ってるわ?」

「スーちゃん洒落にならないよ!?」

「こっちの台詞よ!?」


 スーちゃんも頬を赤く染めている。


「ヒカリちゃんはもう少し自分の魅力を自覚した方がいいわ」


 なんかシャイナちゃんが真顔でそんな事言い出した。


「はいお終い! 制服に着替えて! 目に毒よ!」

「そんなに?」

「そんなによ! 全男性恋に落としてもいいなら別にそのままでもいいわよ?」

「着替えます! 直ぐに着替えます!?」


 スーちゃんに促されて速攻で制服に戻り、パーテーションが解放される。



「凄いわちゃわちゃしてたね?」


 レオンは少し名残惜しそうにしていたが……まぁ、ごめんね。


「二人とも感想は?」

「なんか、守りたくもいじめたくもなったわ?」

「スーちゃんの感想が怖いんだけど」

「でも私も同意見よ? 好きな殿方相手と一夜を共にする前提なら……うーん……」


 スーちゃんもシャイナちゃんも唸っている。


 まだこの世界はヘソ出しスタイルはダメだな。充分理解した。


 そんなこんなありつつ、平民服研究部の見学の続きをして、一時間ほど時間が潰れた。


 因みにあの服は「もう破棄するから好きにしていいよ」と言われたのでしれっとバッグに入れておいた。


 レオンが名残惜しそうにしてたし、今度見せてみよう。と、小悪魔ヒカリちゃんが囁きました。





 そこから色々な部活動を周り、あっという間に社交界まで残り三十分。


「そろそろ社交界の準備しないとね?」

「だね?」

「多分更衣室は荷物溢れてるから……」


 レオンは考える仕草を少しする。


「生徒会室使えないかな?」

「……そういえばユアン様が副会長って言ってたね?」


 殆ど記憶にない入学式でも、流石に衝撃的だったことくらいは覚えている。


「茶化しに行こう!」

「ヒカリちゃん……」


 それに、ずっとバッグとケース持って歩き回ってたから、そろそろ置きたい。


「それじゃあ最後の案内は生徒会だね。一応僕も所属してるから許可くらいは取れると思う」

「レオン生徒会なんだ! ちょっと意外だわ?」

「そう? お似合いじゃない?」

「ちょっとスーちゃん、ヒカリちゃん!」


 見事にスーちゃんと意見が割れ、なぜかシャイナちゃんがアワアワしてる。


 そんなこんなでレオンに案内されて生徒会室へ向かう。


「失礼します」

「レオンおつかれ、それからいらっしゃい婚約者候補様方!」


 生徒会室にはユアン様一人だけがおり、少しくつろいでいたのか、ユアン様の机の周りだけがやけにものがなかった。


「お兄様、彼女たちをここで着替えさせたいのだけど、少し借りれない?」

「構わんよ? 皆んな社交界の準備やらで駆り出されてるし、よっぽど誰も入ってこない」

「ありがとう。じゃあ三人はここで。外で待ってるから着替え終えたら言ってくれ」


 そう言い残してレオンとユアン様は生徒会の外に出た。



「それじゃあ私たちも着替えましょう?」


 社交界まで残り三十分。

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