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104話 身分


 入学式が終わり、ゾロゾロと体育館を出て、学力テストのために大講堂へ向かう生徒たち。


 そんな中、三人はいまだにゆっくり座っていた。


「なんか……ドッと疲れたわね……」

「そう? 皆んな頑張ってるなって思ったけど」

「スーちゃん強い……」


 そんな風に言えるのは最古の公爵のスーちゃんだけだよ。


「私は聞いてて面白かったな? レオン凄く緊張してたのも面白かったし?」

「シャイナちゃんもか……」


 シャイナちゃんは何故か入学式を楽しんでいた。



「流石に緊張するよ。あれだけの人の前で話すのは初めてだしね?」

「そうよね……え、レオン、どうしてここに?」


 三人の会話に混じってきた話題の当人。


「勿論婚約者に会いに来たかったからさ」


 胡散臭い笑みを浮かべ、三人揃って疑いの目を向ける。


「レオン、本当は?」

「会いたかったのは本当だ。王妃教育のことを伝えたくてね? 学園に慣れ始めた一ヶ月後から始める予定だけど、不都合があったらその間に手紙が欲しい」

「わかりましたわ!」


 どうやら会いたい理由があったのは本当のようで、業務連絡を伝えたあと、一人ずつ遊びに行く約束を取り付けて去って行った。


 そして僕たちも学力テストのために体育館を去る。





 学力テスト。


 クラス分けは学力と魔力量で振り分けられ、筒体質の僕に魔力量は殆ど関係なく、純粋な学力のみでクラスが決まる。


 そして当然、カンニングなどの不正を防がなくてはならないので、予めクラス学力テスト時の席が振り分けられている。


 ちなみに僕はバッグの中を全然見れなかったので、今慌ててバッグを漁って番号を確認。


 その結果ーー


「……」


 僕とスーちゃんとシャイナちゃん、三人見事に別室になった。


 まぁ全員友達と逸れたのか、結構静かなんだけど、問題はそこじゃない。


「あの子が……」

「結構可愛いなぁ」

「どうやってレオン様に取り入ったのかしら」


 みんな、思わず溢れた独り言が丸聞こえなんですよ。


 中にはその話題を皮切りに一緒に話し出す人もいるし、マジで居心地が悪い。



 そして最悪ってのは更新がとても早いもので……。


「あら、あなた『ヒカリ・ウィンガート』じゃありませんの?」

「え?」


 居心地悪い煩さの中、やけに響く声が一つ。


「えっと、どちら様でしょうか」

「まぁ! 顔を合わせたことあるのに私のことを忘れるなんて、失礼ですわ!」

「す、すみません……」


 多分、六歳の時の婚約者の集まりにいたんだろうけど、スーちゃんとシャイナちゃん以外敵だったから全く憶えてないんだよね……。


「良いわ? ルージーも『名前を覚えない無礼者』って言ってましたし、改めて名乗りますわ?」

「……」

(この人『セッカ侯爵』関わりが……)


 てことは『貴族至上主義』の人で、明確敵だ。


「私、『ミカ・オウレン』と言いますわ? 侯爵なのだから、ちゃんと礼儀をわきまえなさい、伯爵さん?」

「……」


 なんで早々にこんなトラブルが起こるのかな……。


 いや相手がトラブルを起こしに来てるからどうしようもなかったんだけどさ……。


「……学園は身分関係なく平等のーー」

「伯爵が口答えするのですか!?」

「っ!?」


(やってることが扉を叩いたルージーと同じだ……)


 ミカは両手で机を『ダンッ』と叩き、物理的にも、立場的にも上から目線で座る僕を睨む。

 

 嫌な騒がしさをしていた大講堂はすっかり静まりかえり、緊張感が走る。



 しかし、静かな空間を破る声が一つ。


「うわ、情けなっ!」

「誰が情けないんですの?」

「あんただよミカ! ヒカリさんが縮こまってるだろ」


 露骨に嫌そうな顔して大講堂に入ってきた一人の男性。


「あなたに関係ありまして?」

「どう考えてもあるだろ? 俺はここでテスト受けるのに、空気悪くされちゃイヤなんだ」


 堂々とミカの下まで歩いてきて、見下すような視線を向ける。


「伯爵がどうのっていうなら、お前より力のある侯爵の発言の方が大事だよな?」

「……今回は見逃してあげますわ?」


 苦虫を潰したような顔をして捨て台詞を吐き、自分の席を探しに行った。



「大丈夫かい?」

「はい、ありがとうございます……」

「ならよかった!」


 爽やかな笑みを浮かべる男性は、どうやらテストの席が隣のようで、軽快に隣に座った。

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