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101話 最王学園


 おはようございます。


 ヒカリ・ウィンガート伯爵令嬢です。


 今日が学園の入学式兼学力テスト兼社交界の日です。


 イベントてんこ盛り!



 ちなみに学力テストは、これまで入学式前に行われて来たけど、買収による不正の横行によって、今年から当日執り行われることになったとのこと。


 そしてどうやら社交界というのは学園で開催されるらしく、新入生歓迎会の意も込めたイベントなんだとか。


「ヒカリ、準備は出来たかしら!」


 部屋の外からお母様の声が聞こえてきて「バッチリよ!」と一言返して自分の姿を鏡でよく観察する。


 黒いハイソックスにベージュのセーラー服。


 改めて、本当に前世の学生服みたいだ。


 ただ、ヒカリちゃんのピンク髪だけは日本とはかけ離れているが、地毛だからしょうがない。


 というかポーン王妃かロンド陛下が日本人だろうし、前世から引っ張ってきたのは目に見えているけど、もっと引っ張ってくるもの他にあったでしょ……。


 そんな気持ちは振り払い、ペン箱が入ったバッグとドレスの入ったケースを持ち、無理やり扉を開ける。


「ヒカリはしたないわよ?」

「ごめんなさい! お母様、似合う?」

「とてもよく似合うわよ!」

「おねえちゃんにあう!」

「コウもありがとう!」


 ケースを置いてコウの頭を撫でると、気持ちよさそうに笑顔を見せる。


「オズワルドとシャルとミューゼにも見せてあげなさい?」

「わかった!」


 再びケースを持って執務室まで足を運び、お父様とミューゼに晴れ姿を見せにいく。


「ヒカリ! 良く似合ってるぞ!」

「ありがとうお父様! ミューゼはどう思う?」

「とても良くお似合いです」

「ありがとう二人とも!」


 幼い頃のようにベタベタくっついたり、天使とか言わなくなったけど、たった一言の「似合ってる」でもちゃんとみてくれているってわかる。


「ヒカリ様」

「うわぁ! シャル!」


 気付けば後ろに立っていたシャルが、目を凝らして僕を見つめる。


「とても良くお似合いです」

「シャルもありがとう!」

「うふふ、今日くらい泣いて良いのよシャル?」

「大丈夫です」


 目を凝らしてたのは涙を堪えていたのか。


 自分の娘でもないのに……いや、娘のように大切にされてきたことくらいわかる。


 シャルの子供には会ったことないけど、この様子だと大人になっても会えないな。


「今日は荷物が多いから馬車で行くわ?」


 流石にバッグとケースを持って歩いていくなんて暴挙はできない。


「あら、それならアリアちゃんが今日迎えに来るわよ?」

「……聞いてない!?」

「言ってないもの! サプライズにしておいてって」


 そんなやり取りと同時に正面玄関のベルが鳴り響く。


「アリアちゃん来たんじゃないかしら! ほらヒカリ!」

「うん!」


 ここにいる全員を見渡し、一人一人名前を呼ぶ。


「お父様、お母様、コウ、シャル、ミューゼ!」


 そして一つ深呼吸をして、目一杯の笑顔でーー


「行ってきます!」

「「行ってらっしゃい!」」


 今日から学園生活、開幕です!



*



「おはようヒカリちゃん! 制服凄い似合ってるね!」

「アリアちゃんおはよう! アリアちゃんも何回見ても可愛いね?」


 止まっていた馬車に乗り込み、メイドと執事たちの礼に見送られ、馬車に揺られて学園を目指す。


「それ、昨日のドレス?」

「うん! 採寸とかしてないのにピッタリだったんだ?」


 前回スーちゃん家で着せ替え人形になった時も、何故かピッタリだったんだよね?


「写真は現像する場所が限られてるからまだ届かないけど、凄く楽しみ!」

「ね? 三人とも凄く綺麗だったから、両親に見せたら驚くわよ?」

「アリアちゃんも撮ればよかったのに?」

「何言ってるの? 昨日の主役は三人でしょ!」


 そんな他愛もない雑談をのんびり楽しみながら走ることおおよそ三十分。



「見えてきたわ!」

「あれが……学園……!」


 以前アリアちゃんが言っていた『王国をそのまま小さくしたよう』というか言葉の意味がわかった。


 あれは、学校よりお城だ!


 王城に霞んで気にしていなかったけど、前世の大型デパートなんて非にならないデカさをしている。


「そうよ! あれがポーンロンド王国で一番大きな学校『最王(さいおう)学園』よ!」

「最王……」


 すげぇ……厨二心くすぐる名前だなおい!?

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