表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/131

100話 『特別』とは程遠い特別な場所


「二人とは初めましてですよね?『アリア・セルライト』と申します。不束者ですがユアン第二王子の婚約者候補を名乗らせて頂いております」


「初めまして! ミクロライト公爵の令嬢『シャイナ・ミクロライト』と申します! 私も不束者ですが、レオン第三王子の婚約者候補です!」

「私は『スティア・オーラライト』よ! ヒカリちゃんが良く話してる『アリアちゃん』ってあなたの事よね? いつか会いたいと思ってたのよ!」


 ダイアくんことは気になるが、一旦初めましての人たちの自己紹介合戦が始まった。


「初めまして!わたくし『ユアン』と申します」

「存じております! 何出会いをやり直そうとしてるんですか!」

「そうすれば口説いた事忘れてくれるかなって!」

「このっ……!」



 僕は全員知っている人だけど、アリアちゃんは二人の公爵の他に、ブラインさんとも初めましてだ。


 まぁ学園ですれ違うことはあるだろうけど、確実に認知はしてない。



 そんなこんなで全員の自己紹介が終わり、ようやくダイアくんのことを教えてくれた。



「大変だったんだね……」

「そうね? でも前を向こうと頑張ってるから連れて来たわ!」

「スーちゃん凄い!」


 人に恐怖心を抱いている中でここに連れてくるのは中々の荒療治だが、屋敷にこもってたり、悪意が混じっている場所に連れていくより健全だろう。


 そしてスーちゃんには懐いているあたり、多分相当コミュニケーション頑張ったな。


「さて、それじゃあ今日の本題、三人の入学祝いを始めようか」

「それじゃあ、お願いね!」


 レオンが音頭をとり、トワ様がウィンガート家のメイドに簡単に声をかける。


「え? えぇ!?」


 すると、うちのメイドが沢山のワゴンを運んできて、美味しそうな料理がビュッフェ方式に並んでいく。


「ウィンガート家は優秀なメイド執事とコックが多くて良いわね?」

「これ……!」


 お母様とシャルもグルだったな!


 全然気付かなかったんだけど!?


「そうだ! 今のうちに私も二人に渡さないとね!」

「スーちゃん?」


 スーちゃんは近くにいたうちのメイド二人を連れて大慌てで馬車に戻り、大きなケースを一個ずつ持たせて戻って来た。


「これは?」


 僕とシャイナちゃんは首を傾けながらケースを受け取る。


 何か受け取るには身に覚えがなさすぎるが……。


「社交界で着るドレスよ! 前に言ってたでしょ? 黒いドレスで、三人でデビューしよって!」

「あっ!」

「覚えててくれたの!?」

「当たり前じゃない! お母様張り切って私たちの分作ってたわ!」

「「スーちゃん……!」」


 そっと少し中を見ると、黒いドレスが一着入っており、『ヒカリ』の刺繍が見え、確実にオーダーメイドだとわかる。


「そうだシャイナ」

「お兄様?」

「今日写真を持って来てるんだけど、どうせなら三人の写真撮ってみないか?」

「良いのですか? 一日三回しか取れないのに?」

「だからこそだよ。一番特別な一枚じゃん」

「お兄様……!」

「後で馬車から取ってくるから、食べ終わった後に撮ろうな?」

「はいっ!」


「それじゃあ、三人の入学祝い、始めましょう! 乾杯!」

「待ってまだ誰もジュース持ってない!」

「あら?」


 王妃様のボケに会場は笑いに包まれ、全員でグラスを持ってジュースを注ぎ、静寂が訪れる。


「それじゃあ……ヒカリちゃんが音頭をとりましょ?」

「……え、私?」


 さっき王妃様が音頭取る気満々だったのに?


「だって、ここはウィンガート家の庭なんだし、どう考えてもヒカリちゃんを中心に集まった縁じゃない!」

「私の……縁……」


 徐に周囲の人を見回す。


 まだ関係の浅い人もいるけど、スーちゃん、シャイナちゃん、レオン第三王子、そしてアリアちゃん。


 改めて、良い人に恵まれた。


 不意にレオンと目が合い、優しい笑みを浮かべ、僕は無意識に頬が染まる。


 僕の縁なんて言ってくれたけど、これは僕たち全員で集めて繋がった縁だ。


 なら、掛け声はこれが良い!


「それじゃあ、私と、スーちゃんと、シャイナちゃんと、来てくれた皆んなに、乾杯!」

「「乾杯!!」」



 ねぇ『特別』に憧れてた前世の僕。


 王族でも公爵でもないし、あの時求めてた特別とは程遠いけど、今凄く幸せだよ?


 ねぇ、僕を飛ばした女神様。


 どれだけ理不尽な理由でも、何一つ転生前の願いは叶ってないけど、全力の皮肉を込めて『素敵な世界に飛ばしてくれてありがとう』って伝えるよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ