アルセンブルク学園の入学試験2
自分たちが試験場を出ると同時に別の人達が入っていく。多分、自分たちより下のクラスのものだろう。自分が受けているのは魔法と剣技に適性があるSクラス試験なのだから。勿論、それなりに試験内容は難しい。
そんな事を考えながら引率の人について行くうちに魔法試験の会場に付いたようだ。前を見れば10メートル程先に直径50センチ程の的が等間隔に配置されている。多分ボール系の魔法で的に当てるのだろう。
「えー。今から君達にはボール系の魔法を使ってあの的を撃って貰います。基本的には命中率と威力を見ます。勿論この中には撃てないなんて人はいないと思うので撃ち方の説明は省きます。杖を所持していない人はこちらで借りられますので。では、ユリーカ」
「はい」
あ、彼女は馬車で見た…あんなに威張っていたのだから凄いのを見せてくれるのだろうか。
「《全てを燃やす火は 的を射抜く》…ファイアボール!!!」
彼女と同じほどの大きさの杖から放たれたファイアボールは拳ほどの大きさのまま的に向かって当たり破裂した。
「は?…これがファイアボール?」
いやいやいや、そもそも魔法杖とは手に何も持ってない時より魔法の威力を上げるものだ。それなのに杖を持った状態で拳サイズなら持ってない時はその半分以下でしかならない。魔力がないにしろ、詠唱が下手にしろ少しおかしい気が…
「おおっ!スゲー」
は?あれが?
「まさか、撃ち出すだけじゃなく的にまで当てるなんて…」
え?担当の試験官の人命中率と威力見るって言ってたよね?あれ?なんで試験官が人が驚いてるの?
「まさか、ちゃんと破裂までするとは…本当はどれだけ使えるか見るつもりで先程のはやる気を出させるための嘘だったのですが…今年は優秀な生徒がいるようですね」
えぇ、褒められちゃってるよ。ユリーカって子もドヤ顔決めてるし…大丈夫か?この学園。その後もみんな各々にボール系の魔法を撃つがユリーカと同等の奴が6人、それ以外は撃つので精一杯だった。そしてラン、セト僕で最後だ。
「えー、次はランゼル」
「はーい」
ランが手に持つのは僕特製の魔法杖である。友達の証?的な物として先程プレゼントしたものだ。
「《杖に集いし火は 的を射て燃える》…ファイアボール!!!」
そう言い放つと、ランの持つ杖の先から拳3つ分ほどの火球が現れまっすぐ的に向かっていき的にあたって的が少し燃え焦げた。
「!?!?!?」
ドヤ顔を決めていたユリーカを含めた7名が驚いている。試験官の人も一瞬何が起こったのか分からないのか目を点にしたままだが、次に進める。
「つ、次 セトリスタ」
「はい」
セトにもラン同様同じ魔法杖を渡している。かと言って魔法とは本人の集中等が大きく依存するのでセトもランと同じくらい魔法が撃てるだろう
「《火は火球となりて 的を射て燃える》…ファイアボール!」
そう言い放つとセトの持つ杖の先から拳3つ分ほどの火球が出て真っ直ぐ飛び的に当たり焦げ跡を付ける。
「なっ…ん?つ、次で最後だな。レオ…ナルド」
試験官の呼ぶ声が小さくなる。剣技の時にやらかしたのでここでもやらかすと思っているのだろう。まあ確かにその通りで、やらかそうとすると声が聞こえた
「まって!」
「なに?」
「さっき彼らと君の杖は同じ物。アナタ不正してるでしょ!」
「不正って…どんな?」
「予めあのファイアボールを撃つように設定されてるんだわ。そうじゃないと私よりあんな魔法撃てるわけない!」
「はぁ?んじゃ、ファイアボールとは違う魔法を使えばいいわけ?」
「ええ!撃てるもんならね」
「んじゃ…少し本気を出しますか」
そう聞こえるように言ってお馴染みの魔法杖を取り出し集中する。
「《火よ 水よ 風よ 土よ 球体となりて 的を射抜け》…エレメンタルボール!」
今放ったのは、火水風土の4つの属性のボール系魔法を一度に撃つ魔法だ。各魔法は配置された的を射抜き燃え、濡れ、切り刻まれ、砕かれた。一緒にいた生徒も、隣にいたユリーカも試験官も開いた口が塞がらない状態である。
「これでいいんだよね」
「え?あ、ああ。これで試験は終了だ」
そう言って試験官の人が切り上げようとするとまた声が聞こえた。
「待って!アナタにはその魔法が設定してたんだわ。その杖以外で魔法を見せなさい!」
「はいはお、ほかの杖で魔法を見せればいいんだろ?」
そういって取り出したのはマジックバック
「なにそれ?ただのバックじゃない」
「うん。君には分からないよね。あれはマジックバック、別空間にものを収納する収納魔法が付属された魔道具だよ」
そうトゲがあるように説明するセト、さっきの言いがかりで少し頭にきているようだ。
「なっ、そんな高級品あんな奴が…」
あんな奴とは失礼な
「あ、バック出す必要無かったんだ」
「は?出さないとものは取り出し出せないわよ?馬鹿なの?」
残念。僕のは特別製だからね。
「《取り出されるは 魔法杖 別空間よりいでよ》マジックバック」
そう唱えると波紋みたいなのが浮かび出て"様々"な杖が半分ほど出てくる。
「なっ!?」
そこから150cm程の杖を取るとほかの杖は消えた。正確には戻ったのだが
「《原初に至る 我が願うは 超越魔法 杖に集いで…」
「ストップ!!!」
ユリーカが大声で叫ぶ
「なに?」
「アンタ なんの魔法発動しようとしてるの?」
「超越魔法の太陽光だけど?」
「んなっ!?」
「ねぇ、撃たなくていいの?」
そう周りを見渡すと大半が固まっていた
「というか、解散しないんですか?」
セトの言葉で再起動した1人の先生が思い出したように言う
「明日には発表されるからな。それじゃあ解散だ」
その声で皆がバラバラになっていく。これ以上は面倒なので僕もランとセトを連れて魔法試験会場から離れる。さっきからしつこくて仕方ないからなのだがどうにかできないのだろうか
「んじゃ、行こうか。ラン、セト」
「おう!」
「そうですね」
次の話からは、最低でも月一更新になると思います。若しかしたら週一の時もあるかもしれません。基本的には第一土曜日の8時に更新します。




