23.最終話
「じゃあ、あの瘴気を発生させる箱を置いたのは、マッケンニー子爵とブリスギン男爵なんですか?」
「あの箱を作ったのは魔法馬鹿のジュクトだけどな。そう言えば、あいつ、エミリアが前に王宮で魔法を習ったことがあっただろう。その時から光属性を持っているんじゃないかと疑ってたみたいだ」
あの夜会から一週間。
後始末に追われていたレオンハルトがランガスター公爵邸を訪れていた。
庭でお茶を飲みながら、漸くゆっくり話ができるようになった。
「ルーカスを籠絡しただけではニーナは王太子妃になれない。ランガスター公に恩を売ってエミリアと婚約破棄後も後ろ楯でいてもらう気でいたんだろう。それが上手くいかなくて、エミリアの馬車を襲わせたり、夜会での騒ぎを起こしたんだ。自分が価値のある存在だと印象付けるためにね」
エミリアは目を瞬かせた。
「そうまでして?王太子妃なんて大変なのに…」
「それはエミリアがちゃんと分かっているからだよ。
王子に群がる奴等は美味しいところしか見てないんだ」
レオンハルトは苦々しい顔をした。
「マッケンニー子爵とブリスギン男爵はルーカスを傀儡にして、権力を得ようとしていたんだ」
「でも、ルーカス様はそこまで愚かではないと思いますが…」
「そうだな。元々プレッシャーに弱くて逃げ出そうとしてたくらいなんだから、そんな風になるわけなかったのにな」
「これからどうなるのでしょうか?」
王国のこれからを思うと、どうしても憂鬱になってしまう。
第2王妃の実家が起こした事件となれば、そのお子の2人の王子が王太子に即くのは難しいだろう。
となれば、第3王子のヴィクター殿下?
まさか、王弟であるレオン様が⁉︎
エミリアが考えてることが分かったのか、レオンハルトが苦笑した。
「エミリアはもし俺が王位に即いたら、その大変な王妃になってくれるのか?」
レオンハルトの言葉に一瞬、驚いたような顔をしたが、すぐに花が綻ぶように笑顔になった。
「レオン様の隣に立てるのなら、何にでもなりますよ。私の全ての力を使ってレオン様を支えるつもりです」
「自由を失っても?」
「失ってもです」
エミリアがきっぱり言い切ると、レオンハルトが嬉しそうにエミリアを抱きしめた。
「ありがとう。エミリア」
愛おしそうにエミリアの髪を撫でた。
「でも、俺は王位には興味ないんだ。結婚と同時に領地をもらって公爵になる予定だ。王太子にはヴィクターが立つ」
話の流れが掴めなくて
「そうなのですか?私はレオン様さえ隣にいてくれるならどちらにしても、頑張りますけど」
戸惑いつつ言った。
「ヴィクターのとこにはいずれ隣国から王女が王太子に輿入れするためにやってくることが決定している」
「なるほど…」
話がちゃんと煮詰まってるってことは、この話は私が婚約破棄されてすぐに決まっていたことなのだろう。
あれ?
試された?
「領地であんなに生き生きしているエミリアを見てるのに、王宮に閉じ込めるつもりはないよ」
優しく言うレオンハルトだったが、
「その為の布石はちゃんと打ってあるから、心配しないで」
その顔はちょっと腹黒そうで、エミリアは何をしたのかと若干、引いてしまった。
「エミリアが光属性の魔法が使えるのがバレてしまったけど、大丈夫。エミリアの自由は俺が守るから」
レオンハルトの言葉を聞いて、ストンと納得した。
あぁ、ずっと守られていたんだ。
光魔法が使えるとなれば、その価値故に王宮に縛られてもおかしくなかった。
今、自由にしていられるってことは、そういうことだ。
「ありがとうございます。頼りにしてます。レオン様」
レオンハルトは抱きついてきたエミリアをしっかりと抱きとめた。
「また、一緒に狩りにでも行こう」
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「転生悪役令嬢ですが、私が好きになったのはモブのようです」の連載を始めました。
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