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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート2、『この異世界よりそれぞれの道を探して』
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一兆編 第十話 フルカラー

 「さてと、こうなったら新しいアジト探しだな」


 ここには百人近く既にいる、こんな廃倉庫でたむろするのはマズイな・・・


 「いいとこないか?」


 俺は適当に周囲に聞いてみた。


 「なんだかんだお前の影響で、エイドの方にはかなりの有志連合が募ったんだよなぁ・・・後は、アダムスの方か。だけどよ・・・」


 「やるとしたらあいつ等なんだよな・・・」


 トラマルとワニムがぼやくように呟いた。何やら癪な事があるみてぇだ。


 「黒蒸気・・・」


 「何それ?」


 俺は更に呟いたコーキに尋ねてみる。それに答えたのはチアキだった。


 「黒蒸気、アダムス中央を根城にする連中だ。実際の規模は噂にしか聞いてないけど、アダムス十六地域をほぼ手中に収めてるって話だ。リーダーの名はディ・ゴイ・ブラッカイマー。こいつがまた黒いうわさの絶えない奴でね、麻薬の密売ルートなんかはほぼ奴が独り占めしてるって話なんだ。しかも王国軍に顔が利いてるらしく手を出せないんだと」


 麻薬ルート押さえ、国そのものに顔が利く・・・そんな組織があったのかよ。三上の野郎何してやがったんだ?


 「それに加え、武器の密輸ルートも持ってるらしい。奴らはもはや、ギャングというより一つの軍と考えてもいいだろう」


 チサトが更に追い打ちをかける。麻薬に武器・・・まさにマフィアだな。


 「しかも凄いのは、勢力の拡大の速さですよね。何年か前に現れてアダムスのチームを一気に食っていった。私たちもそれで身構えてたんですけど、エイドの方に進出はしなかったんですよね~」


 シラキが補足を付け加えた。こんな組織、三上の奴が見過ごすはずがないんだがな・・・あ、まさか、そう言う事か?


 「要は三上の私設軍ってとこか・・・」


 「かもな、こんな事しておいてミカミが国家反逆罪を発動しないわけがねぇ」


 ワニムの言う通りだ、黒蒸気・・・三上は何かの理由で奴らを見逃している、いや、更に別の可能性があるな・・・


 「それよりも、これからどうすんのさ。すんごい人だぜ?」

 

 あ、そういやそうだった・・・小玉の言う通りだ。ここは人気がないとはいえ、あんなにドンパチやってたんだ。そう考えた時だった。


 「私!!いいとこ知ってる!!知ってる!!知ってる!!」

 「あそこがある!あそこに近い!!」


 事もあろうかサナルナが良い場所を知っていると言ってきた。俺はサナルナの事を信じてねぇ訳じゃねぇがどうにもな・・・いや、これぐらいの子ならむしろ、俺たちよりも知らない世界を知ってるかもしれねぇ。


 「おいおい、おままごとをやるわけじゃないんだぞ?」


 「・・・というか、なんでこんなちっちゃい子がここにいるんだ?さっきから気になってたが」


 カヤノとマアヤがやっとそこにツッコミを入れた。


 「あぁ、そいつらは東雲組のボスのサナとルナね」


 「ほぁ?」


 案の定、すっとぼけた声がマアヤからぽろっと出た。この先の展開はまさにテンプレ、全員が口をあんぐり開けて驚く。俺はこの瞬間に全員の反応を確かめた。


 この俺のデバイスはいわばアウロの識別を可能に出来る物だ。アウロにはかなり綿密に作られた独自の周波数の電波がある、例の発信機も同じだ。だがその周波数はかなり独特、それを見分けるのがこのデバイスだ。あいつ等は絶対に肌身離さず通信機を持ってるからな。


 あとは俺の洞察眼と直感で、奴らを見分けている。ここにはもういなさそうだな。いたら即殺してたが・・・


 「さてと、お口あんぐりもいいが、そろそろ行くぜ~」


 俺が外に行こうとした時だった。


 「あ・・れ」


 足に力が入らない。やっべ・・・倒れる。そんな俺をナイスなタイミングで受け止めたのはマアヤだった。


 「あれだけ戦ってたんだ、無理するなよ」


 「あちゃ~・・・」


 このかっこ、恥ずかしいったらありゃしねぇ。こうなったら、さっさと意識飛ばないかなぁ。そう考える暇もなく、俺は案の定意識が綺麗に飛んでいった。


 最後に一瞬見えたのはサナルナのニッコニコで優しい顔だった。


 ・

 

 ・


 ・


 「あ」


 俺は綺麗に体が起きた。なんだここ・・・


 俺が周囲を確かめる前に先にある事に気が付いた。


 「ん・・・もう朝か、はや~・・・あ、一兆おはよ」


 「おはよじゃなくてさ、なんでここで寝てんの?」


 俺が寝ていたベッドの隣にはマアヤがパジャマ姿で寝ていた。俺の服は簡易的な浴衣。


 「私パジャマじゃないと寝れないの」


 「いや俺聞いてんのそこじゃないね。ここどこ?どういう状況?」


 「え、状況はあんたと添い寝してただけ、ここは・・・」


 「おれのホテル」


 「うわ、びっくりした」


 どこから現れたのか、いつのまにか部屋の入り口ちょっと行った所にチアキが立っていた。


 それどころか、ブルーサンダースに加えレッドベアズ、フュージョンジャックに幹部揃い踏みだ。


 「おれの親、ここのオーナーやってんのね。おれ等一気に勢力拡大したから、人を集めんのにここ貸し切ったのよ。もちろん、誰にもバレないようにね。世間にはどっかの大御所が泊まるってだけにしてある」


 そーゆーことね、見たところかなりでかいホテルだ。


 「そーだ、昨日の話の続き、サナとルナはどうした?」


 『ここだよー!!』


 はいはい、サナルナはドアを突き破るように飛び出してきた。俺は片手づつで受け止めた。


 「やるな!やるな!やるなー!」

 「さすが!さすがー!」


 「へいへいどーも、それより昨日の言ってたいい場所ってのは?」


 重要なのはそこだ、サナルナの言ういい場所、直感だが俺はそこに賭けようと思った。


 そこはきっと誰も知らない、いや、誰も近づけない場所だ。特にアウロはな。


 「早速案内しよう、なに、場所はこの子たちから聞いている」


 コーキはもう場所を把握できてるみたいだな。


 「だが、その前に一兆、外に出てみろ」

 

 なんのことだ?俺はさっさと着替え外に向かった。マアヤが後ろからニコニコしながらついてくるんだが。はえーよ、いつ着替えた。


 にしても外ね。廊下に出たが特になにもない。ホテルの廊下だ、ロビーに行けってか?


 俺はエレベータに乗り込み、ロビー階のスイッチを押す。


 そしてドアが開いた瞬間だった。


 「んな、なんじゃこりゃ・・・」 

 

 俺は思わずそう呟いた。


 「へへ、驚いたかイッチー?」


 マアヤがやたらニコニコなのはこれか。とんでもない数の人間がここに集まっていた、だが集まっているのは一般人ではない。


 こいつら全員ギャングだ。見りゃ分かる、分かり易すぎるのも混じってるしな。


 だが、十人十色な集団なのは間違いないが、これはなんだ?俺を見るなり一致団結という言葉が、この空間に広まった。


 「あんたが寝てる間に集めたのさ、俺とマアヤ姉に、チアキやコーキたちと一緒にな。こいつらは俺らとなんら変わらない連中だ、考え方は違えど行動理念は同じ、自分の貫く正義、それを持ってる」


 カヤノが俺の隣に立ち解説した。すこし嫌そうだが。


 「見ろよ、あいつだぜ?」

 「へぇー、噂より子供っぽいな」


 「ふふふ、まるで私たち二人を祝福してるように見えない?」


 あ、なるほど。なんでマアヤだけ一緒にエレベータ乗ってきたのかと思ったら、これがやりたかっただけね。


 「にしても、よくこんなに集めたな。ざっと1000人はいるんじゃねえか?」


 だが、これには本当に驚いた。一晩でこんだけ手中に収めるなんてよ。そこはマジで褒めれる。


 口に出したらマアヤはいいとしてカヤノが良くなさそうだ。いかにもベタつきやがって!って顔に書いてあるもん。


 「ここにはエイドのほぼ全組織が集結している。後は黒蒸気だな、だがやつらとはこれでようやく肩を並べれたと言えるか言えないかぐらいだが」 


 黒蒸気、そんなにでかい組織なのか。確かに結束力という観点からしたらこっちは強いとはまだ言い切れる自信がない。


 「あと、白鮫な」


 そして、チアキが追加注文してきた。


 「んだ?そりゃ」


 初めて聞いたぞ、そんな組織。


 「白鮫、噂は何度も聞くのですが、その正体は全くの不明。黒蒸気と同盟を結んでいるって噂もありますが、かつて所属していた人に聞いても、正体は掴めなかったのです」


 シラキが知らないか。だとしたら他が知るわけもないか。


 「ま、とにかく今は黒蒸気をこちら側に引き入れるのが最優先ってことで、もしその白鮫って奴らがいるのなら動くだろうぜ」


 ちとその白鮫って奴らがひっかかるが、今は例の場所だ。


 「コーキ、案内頼むわ」


 「あぁ、ここの奴らも後で向こう行く。もちろん奴らの目を誤魔化すようにしてな」


 コーキは先頭を歩きだした。


 「あ、そうだ。向こう着いたら、演説の一つや二つやっときなよ。あくまでもお前はおれたちのリーダーなんだからね」


 あとについていく俺の肩をチアキは薄い笑みを浮かべて叩いた。あ~、演説ね。俺があんま好きじゃないやつだ。


 でも、ま、たまにはいいか。世界乗っ取るってんだ、こんな程度覚悟しとけ。


 俺たちは、チアキのホテルを出発した。


 


 「なぁコーキ。例の場所はどこにあるんだ?」


 コーキが運転する中、俺は質問した。因みに車内には俺とコーキ、チアキにマアヤ。マアヤは絶対一緒に行くと言って聞かなかったらしい。


 「エイドとアダムスを分けていた旧国境付近だ。今はカルニが整備している。奴のチェーンソーが地味に役に立っていてな、木を切ったりしている」


 あ、あれ本来の使い道で使う事もあるのか。てかあいつちゃんと仕事するんだ。


 「今驚いただろ。カルニはああ見えて、意外とお人好しなんだ。ただの狂ってチェーンソー振り回してる訳じゃないんだぜ」


 マアヤは誇らしげに語っているが、カルニってカヤノのチームだろ・・・


 「そうなのな・・・」


 

 数時間後、運転に集中していたコーキが口を開いた。


 「ここだ」


 俺は車を降りる。俺の目に飛び込んできた光景は村だった。何の変哲もないただの村。既に何人もここにいる。だが、全員せわしなく動いている。


 「ほらほらほらほら、早く組み立てないと、君ごと切っちゃうよ~イヒヒヒヒ」


 「うわー!!ペース上げろ!!」


 カルニがチェーンソーを振り回して周囲の奴らを脅してる。


 『とっつげきーーーー』


 それを見ている俺たちに、案の定先に到着していたサナルナが隙を突いて突進してきた。


 「おー、サナルナ。元気だった?てか、ここなに?」


 俺は普通にキャッチして下ろした。


 『うん!!やるな!!』


 「ここ!!サナのおうちなの!!」

 「ここ!!ルナのおうちなの!!」


 ん?確か小町はサナルナの故郷は燃えたって・・・そう言う事か。廃墟と化したこの村を再び復興させようって事か。


 「うむ、たった一夜でここまで復興出来るとはな。一兆、ここがサナとルナの故郷。セイアン村だ、既に存在しない村。ここならばアウロも気が付かないだろう」


 「あぁ、やってくれたぜ。サナルナには感謝しないとな。ここならいい、ここがいい。運は俺たちに味方したみてぇだぜ」


 

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