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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート2、『この異世界よりそれぞれの道を探して』
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一兆編 第八話 ノットカラー

 さぁてと、こりゃ本腰入れてかねぇと勝てねぇな。


 「なぁチサト、これ話し合いに持ち込めるか?」


 「無理だな、話し合った所でお前の実力に納得するまでは、ここにいる全員、お前の言葉は通用しない。試しに自分でやってみたらどうだ?」

 

 あわよくばチサトになんとかしてもらおうと思ったが、すぐに却下された。


 「だよなぁ・・・なぁ、カヤノとマアヤだったか?正直な話、あんたらが組んでくれたのは好都合なんだ。俺はこの世界の全てのギャングを手中に収める気でいる。間柄がどうとか、チームの誇りがどうとか関係ない。俺のある一つの目的の為に協力してほしい」


 仕方ない、俺が別世界の人間って事は伏せてればある程度の事は喋っても問題はねぇだろ。


 「目的?」


 「聞いてやる、言ってみろ」


 あ、なんとか会話には持ち込めたか。

 

 「戦争だ。俺のチームにはトクってのがいた。俺の腰巾着だった奴だ。そいつがある日俺に反旗を翻した。新しい勢力を手に入れてな」


 「その程度、お前が何とかすればいいだろう」


 「あぁ、聞いて損した。お前の器を見ていたが・・・拍子抜けだな」


 カヤノとマアヤは武器を構える。


 「あーちょっと、人の話は最後まで聞けっての。その新しい勢力ってのが重要なんだよ、お前らにとってもな」


 見た目に反して意外と血気盛んだな。問答無用で切りかかられる所だった。


 「新しい勢力、何が重要なんだ?」


 「私たちにとってとはどういう意味だ?」


 「国家ぐるみの組織なんだよ、そいつらは。ビースト・・・じゃねぇ、バケモノを操る技術に、コーキ以上の魔法をバンバン使ってくる奴ら。


 そしてどこもかしこも、そいつらは俺らを監視してんだ。今、この瞬間もな・・・そして奴らはここを、いやこの世界そのものを乗っ取ろうとしてる。むしろ俺たちのこの世界をぶち壊そうとしてると言った方が正しいな」


 簡潔だが、全て話したぜ。まぁ話したところで結果は予測ついてるが。


 「もしその話が本当なら、今も奴らが見ていると言うのか?ここを?」


 「バカバカしい・・・」


 「そうか?確かに今、この瞬間は見られてねぇさ。俺が細工したんだからな。ほれ、こいつが見えるか?」


 俺は腕のデバイスを外した。


 「それがどうかしたのか?」


 「こいつはちょっと改造した腕時計みてぇなもんでな、一時的に周囲の通信を遮断させることも可能なんだよ」


 もっともこの改造をやってたのはグレイシアで、最近その細工に気が付いたんだけどな。


 「それで、どうだっていうの。言っておくけど私は待つのは嫌い」


 「これで最後だから、そんでもってこいつは逆探知も出来るレーダーの役割を兼ね備えてんだ。だからなほら、こんな所に盗聴器が」


 俺は反応を頼りに倉庫のほんのちいさな陰にある盗聴器を見つけた。見た目はネジだ


 「なんだ・・・それは、ネジ?にしては少し」


 「あぁ、上手い事カムフラージュされた盗聴器だ、いや監視カメラの役割も果たしてんだよなたしか。メリーヌの話じゃこいつはどの建物のどの部屋にも絶対一つは使われてる。こいつのデータ、見てみるか?こいつ視点の、さっきの俺たちの会話が聞けるはずだぜ」

 

 俺はデバイスを操作した。確かこうやってこうしてっと・・・あぁそれでこうだ。




 『なぁチサト、これ話し合いに持ち込めるか?』


 『無理だな、話し合った所でお前の実力に納得するまでは、ここにいる全員、お前の言葉は通用しない。試しに自分でやってみたらどうだ?』


 

 画面にはさっき俺とチサトが会話していたところから映像が始まった。


 「こ、これは・・・」


 カヤノが驚いた顔をしている。ここまで暴露しちまえば信じざるを得ねぇだろ。


 「いや、これはこいつが仕込んだことかもしれん」


 くそ、頭固いなマアヤの方は。しかたないな、マアヤには悪いが・・・いや、最初っからやるつもりだったしいいか。


 「まーそう思うわな、こんなちっぽけな奴で盗聴も監視も出来んのだからな、最先端技術だ。にしても画質いいなーおい」


 最も、盗聴内容はアウロ共の基地内のAIが全ての会話を聞き、必要な情報を集めてるとの事だがな。


 「成程、やはりお前は俺たちを騙そうとしていたか。マアヤ姉ぇ、行くぞ」


 カヤノは今にも動き出そうとした。


 「確かに、こんな事仕込んじまえばどうとも言えるものな。だが、こいつはどう説明すんだ?」


 俺はカードをある方向に投げた。


 「何!?」


 「きゃぁ!!な、何すんのよ!!このエロガキ!!」


 俺はマアヤの後ろにいた女の服を切り裂いた。風の魔法の応用でな。


 「悪いが俺はお前みたいなブスは興味ねぇ。興味があんのはあんたの一緒に切れて落っこちたブラジャーだ」


 我ながら上手くやれた、俺はその女のブラジャーの紐を切る、女はそれを真っ先に拾った。


 「うわ・・・何やってんのこいつ・・・マアヤさん!さっさとこいつやっちまいましょ!!早く!!」


 ビンゴ・・・


 「あれ?おっかしいなぁ・・・普通、女がそんな恰好させられたら真っ先にやる行動は胸を隠すはずだろ?だがお前は真っ先にブラジャーを拾いに行った。それにやけに慌ててねぇか?」


 「あ、当たり前だろ!!いきなりこんな事させられたら順序なんかどうでもよくなるわ!!」


 女は慌ててブラジャーを付けて胸を隠した。


 「あーわりぃわりぃ、んじゃ、お前の上司にそう報告しとくか。私は人前で裸になるのが大好きな変態ってな」


 俺は手元にある物を出した。


 「そ、それは!!馬鹿な!?それは私の・・・って、これは木の枝?」


 「これ、なーんだ?ここで答えられる奴はこの場所にただ二人、俺と・・・お前じゃねぇの?アウロのスパイよぉ・・・」


 俺が取り出したのは耳に着ける小型のワイヤレスヘッドセット、この世界にはまだガラケー的なのが出始めたばかりだ。軍ですら通信に使うのはまだ大型のインカムだ。


 「お前のポケットに入ってるのはそこら辺の丁度いい大きさの木の枝だ、さっき服を切ったときに入れ替えたんだよ。流石にこっちまでは気が付かなかっただろ?そのブラジャーも、ワイヤーが赤外線カメラになってる。お前は俺がそれに気が付いたと思い咄嗟に拾った。瞬間の判断は物事を超一点に集中する。隙だらけだったぜ、入れ替えるのはよ・・・マアヤ、これで信用してもらえたか?」 

 

 こんだけ人数がいればアウロはどこかに紛れ込んでいるのは確かだ。


 「ハネダ・・・まさか、本当に?」


 「ち、違います!!姐さん!これは!その・・・これはこいつのです!!私はこんなもの知らない!!」


 「あーあ、言っちゃった~」


 追い込まれるとどうしてこんな嘘しかつけなくなるのかねぇ。


 「ハネダ、さっきお前それは自分のだと・・・」


 「あ・・・」


 こいつはさっき確かに言った。私のだと、それをカヤノも聞き逃してはいない。


 「さぁさっさと正体を明かしなよ、記憶がねぇってのは無しだぜ?お前は全部思い出してるはずなんだからよぉ・・・・言いやがれ!!てめぇの本当の姿を!!」


 俺はこいつに向かって叫んだ、ちょっとムカついたんでな。


 「フフフ・・・任務失敗か。見くびってたわあなたの事。まさかあなたに正体を明かされるなんて思いもしなかった」


 女は口調ががらりと変わった。ついでに場の空気も一気に変わったのを感じる。


 「ハネダ・・・お前は一体?」


 「私はアウロのエファナ様の部下、直接転移覚醒者の羽田 ソラ。褒めてあげるわ馬喰 一兆・・・この裏切り者」


 「俺はお前なんか知らないし、第一エファナは俺たちに仲間になれだなんて一言も言ってねぇ」


 まさか仲間呼ばわりされるなんて思わなかったわ。俺はこいつらの実験道具としてここに来た。そいつに対して裏切り者か・・・あんまり、舐めてんじゃぁねぇぞ。クソが。


 「クソ!こいつの言う事は本当だったか!!」


 カヤノが刀を構えたその時だった。


 「ひぃやっはああぁぁぁぁ!!」


 『ギュイイイイイン!!』


 奇声と共にエンジン音が響いた。


 「カルニ!?」


 「やぁハネダちゃん。俺もうそろそろ限界なんだよ・・・丁度いいから、刻ませろや・・・」


 さっきのヤバそうな奴がこれまたヤバそうなチェーンソーを振りかざして羽田に襲い掛かった。


 「おい!カルニ!」


 カヤノがカルニを止めようとするが、止まりそうもない。


 「ふふ、止めなくてもいいわよ。かかってきなさい、カルニ・・・」


 そして羽田の方も煽る煽る、カルニは恐らく腕前はかなりあるんだろうが、この勝負。負けるぜ・・・あいつ。


 「ひゃああはっはあああ!!腕もらいーーーー!!」


 「ありゃ?」


 羽田は呆気なくカルニに腕を持ってかれた。容赦ねぇな・・・キレ味も相当だあのチェーンソー。羽田の腕から血が飛び散る。


 「カルニ、てめぇ!!」


 「良いじゃねぇか姐さん、あいつ・・・裏切ってんだからよぉ。俺はあのいっちょーって奴に付いてもいいぜ、あいつに付いて行きゃより良い獲物と会えそうだぁ・・・イヒヒヒヒ」


 カルニは俺に付くと言ってくれたが・・・正直、遠慮願いたい。いつ後ろからバッサリ来るか分かったもんじゃねぇ。でも、仕方がない。やっぱ上に立つって大変だ・・・


 「えぇ、良い獲物に会えるわ」


 「っ!?ぐへぁ!!」


 一瞬のうちにカルニが吹っ飛ばされた。あー、そう来たか。わざと切られやがったな。死なないと分かってて。


 羽田の腕はきれいに元通りに治っていた。


 「な、なんだその体は!!?」


 カヤノが切りかかる。が、今度は無駄な動きなくかわし、一撃の元にカヤノをノックダウンさせた。


 この女、腕が無くなろうが再生できると分かっていても、痛覚がないわけじゃない。死ぬほど痛いはずなのに。表情一つ変えなかった。羽田はさっきあえて攻撃を受けた。自分の不死身さを見せつける為に、そして今度は全ての攻撃をかわした。自分の力を見せつける為に。カヤノの攻撃も決して悪いものではなかった。すれ違いざまに何回も切り裂く。俺が目で追って追いきれないほど速い斬撃だ。だがそれを全てかわした。


 「あなたたちとどれだけ一緒にいたと思ってるの?その刀は魔刀 七星。その刀の特性とあなたの動きは研究済み」


 俺はカヤノの脈を確認していた。大丈夫だ、生きている。カルニの方も無事だ。


 「お前を切るのは忍びないが・・・御免!行くぞ!!」

 

 マアヤが苦無を持ってハネダに襲いかかる。が、こいつは駄目だ・・・殺気が違う。


 「にゃわ!!」

 「俺がやる」


 俺はマアヤの襟を引っ張り地面に座らせ、俺が前に出た。


 「いいのか?お前は手の内は最後まで明かしたくないだろ?」


 チサトが俺にアドバイスをする。


 「あぁ、だがそうも言ってられなくてな。いっちょ見せつけてやろうじゃんか、俺の力をな。チサトはそいつらが下手に動かないように見張ってて~」


 「良いだろう」


 「おっけー、あ、そうだ。カヤノとマアヤさ、お前俺の力を見定めるだの言ってたけどさ、俺がこいつに勝ったら認めたって事でいいよな。俺たちの傘下に入るの」


 俺はどさくさにまぎれ、本来のやるべきことをやった。


 「あ、あぁ・・・いいだろうマアヤ姉ぇもいいよね」


 「う、うん・・・」


 ・


 ・


 「さぁて、いっちょやろうか・・・来なよ、レベル80風情が・・・」


 「あなたの抹殺は命令に入ってないけど、あなたのやろうとしてる事が完成すれば厄介ね。ここで殺させてもらおうかしら!!」


 羽田は落ちていた鉄パイプを拾い、それを武器に俺に向かってきた。一方俺はカードを数枚抜き、奴に向かって投げる。


 『ガァン!!キィィ!ゴアン!!』


 羽田は俺のカードを弾く。投げたのは魔法を入れていないただのカードだ。それでも投げれば十分の殺傷能力はある。


 「成程、お前の視力は投げた俺のカードの絵柄も見極めているな・・・だったらよ」


 羽田はもう近くまで来ていた。


 「もらったわ!!」


 残念、そこにはいない。俺は羽田の後ろに立った。


 「これは!!」


 そしてすぐに反応し、魔法で燃えさかる鉄パイプを後ろに振り回した。


 「反応が早ぇな。やっぱもう俺の戦闘データは向こうに行ってんのか?」


 俺は展開したカードを盾代わりに攻撃を防いだ。


 「えぇ、あなたの能力は研究済み。残念だったわね、全て対策済みよあなたの攻撃全部ね。元からあなたに勝ち目はないのよ」


 エファナの事だ、俺の戦い方から下手すりゃ癖も見つけてるにちげぇねぇ。俺が思うにエファナは確かに超優秀なんだろう。だからこそ羽田はここまで自信たっぷりに俺を攻略したって言えるんだ。


 「あーそうかい、そりゃ残念だ・・・だけど、お前ら俺をガキだと舐めすぎじゃねぇか?なんだかんだ俺はまだガキだって認めるよ。だけどな、そこら辺の大人に比べたらもっと奥深い人生は送ってるつもりだぜ。戦い方を知っている?行動の癖はもう研究済みだと?その程度で俺を見抜けると思うな・・・クソカスが!!」


 俺の攻撃はやはり全て見切られている。魔法入りのカードでフェイントを使っても、瞬間移動で背後を取っても、俺の攻撃は奴に通用しなかった。


 「あら?さっきまでの威勢はどうしたの?これでおしまいじゃつまらないじゃない」


 「っははは・・・言うじゃねぇかよ。お前、俺を本気で追い込んだと思ってんのか?」


 「はったりね、あなたはもう追い込まれたただのネズミ。猫の餌になるだけの憐れなネズミよ!!」


 「どうかな!!」


 俺はカードを地面に突き刺した。そして炎の魔法を発動させ、俺自身を吹き飛ばした。この爆発に巻き込まれ近づいていた羽田も巻き込まれた。


 「ちっ・・・肉を切らせて骨を断つか、でも、そんなものは無駄」


 「そいつはどうだろうねぇ。そこ、足元注意だぜ」


 「んな!?」


 俺は指を鳴らすと、もう一枚あったカードの魔法を発動した。土の魔法、炎のカードと同時に放ったこいつは発動と共に奴の立つ地面を崩し、奴の下半身を穴に落とした。


 「落とし穴とは・・・やっぱガキね、こんなもので」


 「はいコンクリート~」


 「ちょ!!」


 俺は土の魔法を応用し、穴にコンクリート状の物質を流し込む。羽田は身動きが取れなくなった。


 「俺の勝ちだぜ?どうだ?一気に逆転された気分は」


 「逆転?勘違いも甚だしいわ。この程度じゃ私は・・・ガハッ!!」


 「うるせぇよ」


 俺は奴の心臓に展開したカードの先端を突き刺した。


 「お、おい!!」


 「流石に死ぬぞ!!」


 カヤノとマアヤが俺を止めようと動く。


 「来るな!こいつは死にはしねぇよ・・・見な」


 「そんな、生きている?」


 カヤノは目を見開き、心臓を貫かれながらも息をする羽田を見る。


 「あぁ・・・ただ、後一つやれば死ぬ、頭をぶっ壊す事だ。そこまでやってようやくこいつは死ねる」


 俺は羽田の頭にカードを突き付けた。


 「っく・・・て、てめぇ、よくも・・・」


 羽田は恨み節を俺にぶつける。


 「それはこっちのセリフだぜ。あんたに聞きたい事がある、あんたらの本当の目的は何だ?言え、言わなきゃ殺す」


 「ふふははは!!殺すですって?お前、私たちを勘違いしてるわ、覚醒者は死の恐怖を持たない。無意味なのよ!そう、何もかも、あなたに勝ち目はないのよ!!」


 「何だと!?」


 羽田はコンクリートを砕いて飛び出した。あの野郎、炎の魔法を僅かに使って真っ先に固めやがった。そしてそれを一気に冷やし、並外れたパワーでぶっ壊しやがった。


 「クソッタレが!!」


 「動くな!!」


 俺がカードを抜こうとした瞬間、羽田は俺を動けなくした。


 「ハネダ・・・て、てめぇ」


 羽田は一瞬のうちに尖ったコンクリート片を持ちマアヤを捕らえていた、つまり人質だ。


 「あなたの弱点は知ってるのよ、死体・・・嫌いなんでしょ?」


 「クソカスが・・・」

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