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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート2、『この異世界よりそれぞれの道を探して』
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一兆編 第二話 マイカラー

 「俺らに手ぇ出した事後悔させてやらぁ!!」


 ワニムは素早いかかと落としを俺に放つ。そして回し蹴り、どうやらこいつは足技が得意っぽいな。


 「おー、威勢があっていいじゃん。ってか、さっきから思ってたんだけどよ。あんたらの服。それって」


 こいつらは全員揃って、特攻服を着ている。そしてその背中には『赤熊見参』と刺繍が入っていた。


 「あ?てめえ特攻服も知らねぇのかよ」


 「いやー今時だっせっと思ってさ。じゃ、ねぇや、赤熊・・・レッドベア。俺の聞いた話じゃ、ここに英語はねぇはずだ。なんであんたら英語を知ってんだ?」


 小町の話で前々から気にはなってた。ここの世界の共通言語は日本語、基本生活する中じゃ数字とかも漢数字であらわされている。例外は中央の一部建物ぐらいだ。しかし、地名はどうだ?


 セレスティアル オブ ルピナス。直訳でルピナスの城。それだけじゃない、アダムス方面のオーシャナ、恐らく海を意味するオーシャンに、インダストリベルト、工業の帯と言った所か。英語らしきものが残っている。


 小町の話じゃ、武器商人がたまたま和英辞典を持っていてそれを使い武器の名前を付けているとは言っていたが、どうして関係のないこいつらは赤熊をレッドベアと訳したのか。


 「えーご?なんだそりゃ。こいつぁな、古代言語っつーやつだ。確か最近は中央でまた流行ってるらしいな。異世界言語って訳の分からねぇ事言ってよ、俺たちは古代より伝わるこの名を誇りに生きてんだ!!てめぇら都会人が遊び半分で使ってんじゃねぇ!!」


 「ほー、これの方が古代の言語なのかー。うん、いい事聞いたわ。さんきゅーべりーまっちょ」


 「は?」


 「俺、英語割と得意なんだよな!!」


 俺がこいつらにとっては理解不能なネタをいきなり突っ込んだから、ワニムの反応が一瞬遅れた。そして俺は顎下からひじを喰らわせた。


 「んっが!」


 バタンとワニムは倒れる。 


 「しばらく脳震盪で動けねぇだろうぜ。けど、しゃべることくらいは出来るだろ。あんたのボスと話がしてぇんだ俺は。出してくれるか?」


 「・・・・断る」


 「えー・・・そこは、ひぃ!分かりました!お助けを~。じゃないのかよ、こっちのギャングは熱いねー。ってか一昔って感じか」


 「俺を倒したことは褒めてやるが、それとこれとは話が別だ。俺たちはコーキさんの元に集まった屑集団。あの人はまさに赤き熊。強く、獰猛だが、屑の俺たちを導いて、居場所を作った。俺はあの方を裏切るような事は絶対にしねぇ!!」


 熱いな。とは言っても恩を仇で返すような真似はこいつは絶対にしたくねぇってか。まぁ、俺もそう言うのは好きじゃねぇんだよな。


 「わーかった。じゃぁ仕方ねぇな。全員ぶっ潰して先に行くしかねぇみてぇだ」


 俺は手をボキボキと鳴らした。臆してビビると思ってたが。意外とそうでもねぇみてぇだな。全員目をギラギラさせてやがらぁ


 「その必要はない」


 突如重たいどすの聞いた声が響く。


 「あんたが、コーキか」


 噂通りだな。確か十四歳つったっけ。身長はもう2メートルいってるだろ。横にも縦にもデカい。デブって訳でもねぇな、筋肉だるまかよ。


 そしてあの赤く逆立った髪の毛は地毛なのか?眉毛もまつ毛も赤いけどよ・・・


 「カチコミと聞いて来てみれば、一人でこの俺に楯突こうとはな」


 「あ、あのー。もう一人いるんですけど・・・」


 あ、小玉忘れてた。てか、コーキの眼中に入ってねぇなこりゃ。


 「一人で悪いねぇ。見ての通り俺はまだ配下も誰もいない。ステータス的にはあんたらは組織レベル30位で俺は1ってとこだ。けど実力は俺はあんたより圧倒的に上だ」


 「お、お前!!コーキさん相手になんてことを!!コーキさんはめっちゃ強いんだぞ!!」


 トラマルは起き上がった。だろうな、確かに強いには強いだろ。レベルなんか70超えてんだからな、こいつ何者だ?


 「残念だけど口だけではどーとでも言えんだよね」


 「むっきー!!コーキさん!!こいつにあなたの力思い知らせてやってくださいよ!!」


 「あぁ・・・トラマル、ワニムを連れて下がれ。ここからは文字通り熱くなるぞ!!」


 あ、こいつぁ・・・コーキはごっつい特攻服を脱ぎ捨てた。わー、腹筋が123・・・8個も割れてるー。すっげぇー。


 「いい体してんなあんた、ちょっぴし羨ましいわ」


 「もう命乞いか?だがもう遅い。俺はヒィ一族の血を宿す者。この赤き髪はその証。そして俺の操る炎はそこらの奴とはちょっと違うぞ!!」


 コーキの周囲を一気に炎が覆いつくした。この熟練度、まるで完全覚醒者レベルだな。こいつは自力でこれを成し遂げるようにしたのか。


 ただでさえ今いるこの世界の魔法を扱う者は、初代より遺伝を繰り返し、今では覚醒者の十分の一もパワーを出せないらしいんだがな。こいつに人が集まるわけが分かったぜ。強い奴に人は集まる。だがそれは腕が強い奴じゃない。心が強い奴に人は集まるもんだ。


 「すごいなあんた、俺の予想を軽く超えるレベルですげぇよ。常人なら丸焦げ、全身大やけど全治三か月、後遺症が残る感じだ」


 「はっ!?おま、なんで普通にそこに!?」


 トラマルが俺を指さして口をパクパクさせている。そりゃそうだ、それ、カードに俺が映ってるだけだもん。熱くないもーん。


 「あんたの予想以上の実力に俺は敬意は出すぜ。俺の炎はちょっとレベルがちげぇぞ!!」


 「馬鹿な!!ぬぅああああああ!!!」


 俺はコーキの背後からカードを一枚投げた。俺が飛び切り炎の魔法をマックスまで入れておいたカードだ。この凝縮されたエネルギーが炸裂すればひとたまりもねぇぜ!!


 カードから巻き起こった炎は、コーキを飲み込んだ。


 「こ、これしき・・・・!!ぬぅおおおおおお!!」


 「お、おいおい。抑え込む気かよ。直撃喰らった方がまだ・・・」


 「黙れ・・・ここを、守る・・・それ だけだぁ!!」


 コーキは、あのカードの炎を抑え込んだ。


 「守る・・・か」


 そうか、今の俺の攻撃。下手をすれば周りの奴らも少なからず巻き込まれた可能性があった。この場所そのものに関しては、確実に一部は被害を被った。


 ここはこいつらにとってのほぼ我が家みてぇなもんか。そりゃ守るか。


 「ぬ・・・ぅ」


 コーキは膝から崩れ落ちた。


 「コーキさん!!」

 

 周りの奴らがコーキを支えた。


 「この、俺が負けるとは・・・お前、名を聞かせろ」


 「馬喰 一兆。馬を喰らって、目指せ一兆円。競馬好きの馬鹿親が付けたふざけた名前だ」


 「一兆か。俺は途轍もなく高い頂のようないい名だと思うがな。一兆、もう一つ聞かせろ。お前の本当の目的を、この強さ。ただふざけていてはこれ程の力は得られん。俺を超える覚悟があると俺は見た」


 「なんてことはねぇよ。俺はちょいと馬鹿をぶったたきに行きてぇだけだ。その為にはまず勢力がいるってだけだ」


 あのクソチビ、今どこで何やってんだか・・・


 「そうか・・・いいだろう。このレッドベアズ、一兆の傘下となろう」


 「は?」


 「はいぃぃぃぃぃ!?」


 思いの外すぐに来た返事におれは目を点にした。そしてそのすぐ後に部下たちが一斉に大声を上げた。


 「コーキさん!?何言ってんですか!?この変にふざけて変な名前で変な魔法使って変な部下連れてれるやつですよ!?」


 どんだけ変って言えばいいんだよ。俺は変人じゃねぇぞ。


 「変な・・・部下・・・」


 小玉はさっきから地味に落ち込んでいる。まぁお前は情報係的な感じだしな。決して使えない訳じゃねぇことは一応は分かってやれるんじゃないかなって思う。


 「黙れトラマル、これは俺が勝手に決めたこと。付いてきたくないのならばここを去ればいいだけだろう」


 「ぐぬぬ、俺には親がいねえ。元から行く当てなんてねぇんだ。コーキさんが決めたことなら俺はついてくぜ」


 「そうか」


 トラマルは観念したかのように俺についてくると決めたようだ。俺はあんたの事嫌いじゃねぇから、ま、仲良くやろうや。


 「それよりもいっちょうだっけ?」


 「イッチーって呼んでいいぜ。そっちの方が楽だしよ」


 「じゃあイッチー、聞かせろ。あんたの背負うチームの名、何て言うんだ?」


 「俺たちのチーム名か・・・聞きたいか?」


 俺はもったいぶって溜めた。周囲は静まり息をのむ。


 「実は・・・」


 「実は?」


 「なーんも考えてなかったわ」


 ずってーん!!俺がチーム名考えてなかったことに全員がひっくり返った。だってそうじゃん、東雲組からぴょこっと出てきたレベル1のペーペーだ。名前もまだねぇよ。


 「チーム名も無しに、あんた何しにここに来てんだよ。あんた本当にギャングか?」


 ワニムが頭を抱えて俺を馬鹿にした目で見た。


 「なりたて?っつーか、ヤクザと言うか・・・でも俺は向こうではフリーだったからなぁ。でも、これからの事を考えると、チーム名的なのがいるわな」


 「イッチー、あんた一体どっから来たんだよ全く」

 

 「東雲組」


 俺がポソッと呟くと周囲は一気に凍り付いた。

 

 「お、お前今・・・東雲つったか?」


 「ん?んむ、言ったけど?どっかしたの?」


 「あほか、この世界で知らねぇ奴はいねぇ。裏社会で頂点に君臨する組織だろうが。奴らは反抗する勢力には一切の容赦はしねぇ。喧嘩吹っ掛けるような奴はぼっこぼこに潰されるだけ。現にギャングチームの一部は東雲組に完全に潰された」


 ワニムは冷や汗をかきながら、説明していた。


 「まぁ確かに小町の奴、怒ったら怖そうだもんなー」


 「あ、姉御を呼び捨て・・・」


 姉御て、そんなキャラでもねぇだろあいつ。てか、割と東雲組ってやべー組織なんだな。小町もなんか風評被害受けてるっぽいし。


 「でもよ、小町は別に何でもかんでも潰しにかかるような奴じゃねぇぞ?それに、俺は小町と知り合いってだけで所属も何もしてねぇ」


 ついでに俺は小町のフォローもしておいた。


 「いや、小町さんと接点があるってだけで相当だと思うよ。俺見たもん、朝日に照らされたあの血みどろの景色。小町さんは一人でギャングチームをぶっ潰しやがったんだ」


 トラマルはガタガタ震えている。へー、やっぱ腕も相当強いんだあいつ。


 「あ、そうだ。朝日だな」


 「は?何が?」


 俺はようやく思いついた。


 「チーム名だよ。俺はあくまでも東雲組とは無関係。なぁ知ってるか?東雲の意味」


 「夜明け・・・か?」


 コーキが答えた。脳筋っぽかったけど割と学はあるんだな。


 「そ、さてトラマル。その夜明けを古代言語に訳しなさい。はい!」


 「え、えぇと、ふぇ!?」


 トラマルは何故か指で数を数えだした。そして分からんと言わんばかりに頭を抱えた。逆にお前はインテリっぽいが頭はよくないんだな。


 「残念、答えはサンライズだ。俺は世界の色を手に入れる。まずはレッド。赤色は一番遠くまで届く色なんだぜ。サンライズを語るには丁度いい名前じゃねぇか」


 「へー、サンライズ。なんかカッコイイね」


 「てことはチーム名はサンライズにするのか?」


 「いや、俺たちはまだ太陽を拝んじゃいねぇ。まだ俺たちに色はねぇんだ。だから語るその名はゼロカラー、ゼロカラーサンライズ。無色の朝日ってとこだ。透明とはまた違う。俺たちらしい名前だろ?あ、因みに透明はトランスパレントだ」


 「ゼロカラー サンライズか・・・悪くはないな。聞け、俺たちレッドベアズは今この時、ゼロカラーサンライズの傘下に入った。この先は今まで均衡を保っていた他のチームとの衝突があるかもしれん。いや、確実に衝突する。それでもついてこれる者のみここに残れ」


 コーキの演説を部下は無言で聞いていたが、彼の質問に対する答えは。


 「何言ってんですかい。やっとこせ喧嘩出来るってもんだ」


 「あぁ、俺の腕の見せ所だ」

 

 誰も抜ける気はねぇだろうな。これは。


 「あー、俺の目的はあくまでも乗っ取りだ。潰すんじゃねぇんだからな?」


 「あ?んな事わかってら!」


 「てめぇはすっこんでろ!!」


 あれー、俺が今はもうボスなんだけどな。俺はなんだか嫌われているようだが、まぁとりあえずこれで、レッドベアズは俺の傘下に入った。出だしとしては順調か。


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