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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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零羅 決戦!中央を死守せよ!!

 中央 午前十時


 「サラマンダーさん、あれって何でしょうか?」


 わたくしは今、中央地区の上空に来てます。今は雲の上まで高度を上げ、下を見ていたら雲の中に何かがうごめいていました。大きさでいったらサラマンダーさんよりももう2回り以上の大きさです。


 「おぉ、あやつは・・・成程のぉ。ディエゴの小僧めやりおったな・・・零羅よ、あれはウロボロスってやつでな、簡単に言えばただのでっかいバケモノじゃ。


 どうやらあやつが中央をこんな有様にしたようじゃなぁ、ビルが吹き飛んどるわ。全く、飼い主はどんなしつけをしとるんじゃ・・・どれ、あやつは儂が抑えておくとするかの。零羅、お主は下に降りて、仲間の元へ行くがよい」


 「分かりました。そうしましょう!!」


 「ではつかまっておれ、下への道を切り開く」


 わたくし達は分厚い雲の中に突入しました。大雨と暴風の中、そのウロボロスはわたくしたちを見つけると大きく咆哮を上げ、突進してきました。


 「さぁて木偶の坊。せっかくのしょっぴんぐ台無しにした報い、きっちり払ってもらおうかのぉ!!街をこんなんにしよってぇぇぇぇ!」


 サラマンダーさんが何をするのかと思ったら、おもむろに怒り任せでウロボロスを殴ってました。サラマンダーさん、どうやら相当ここでショッピングしたかったみたいです。

 

 ともかく、これで下への道が出来ました。わたくしはタイミングを見計らいサラマンダーさんから飛び降りました。


 下の方では逃げる人々に、追いかけるバケモノ。それを迎え撃っている兵隊さんがいます。しかし、バケモノはかなりの数みたい。完全に中央側が追い込まれています・・・


 「あれは確か・・・アリアさんに、シャンデラさん?」


 まさに今、戦闘中と言った感じです。どうやら十数人の人たちを守りながら戦ってるみたいですね。それで相手はバケモノの大群・・・


 わたくしは拳に力を込め、空気抵抗の少ない体勢になり、速度を上げました。


 


 「く!!アリアちゃん!!このままじゃマズイよ!!」


 「えぇ!分かってますわ!!仕方ありません!建物を破壊しかねませんが、ロケットランチャーを!!」



 

 「それ!!少々お待ちください!!!」


 わたくしは、地面に着くギリギリで体を一気に回転させ、今まさに襲い掛かろうとしていたバケモノに強烈な回転蹴りをお浴びせました。衝撃で頭が消え、血の霧だけが残ってます。


 そして、見事アリアさんたちの前に着地しました。今の結構カッコよく決まったと思います。


 「あ、あなたは!!」

 「カミワズミ レイラ!!」

 

 「わたくし!参上です!!みなさん怪我はありませんか?」


 「えぇ、わたくしたちは問題ありませんわ。しかし・・・」


 アリアさんは、まだ大量にいるバケモノを見て険しい表情を作っていました。


 「私たち、頑張って止めようとしたけど、ダメだった・・・今もこの人たちを守るだけで精一杯で・・・これじゃシャルに合わせる顔がないよ・・・」


 シャンデラさんも俯いて、拳を強く握っています。事態は深刻のようですね・・・


 「そんな顔しないでください。この戦い、まだ負けてません。足掻かなければ、勝つことは出来ません」


 「そうだけど・・・私のカノン砲も残弾数が残り少ないし、アリアちゃんのもグレランは空、残るはロケットランチャーだけ」


 シャンデラさんは、やたらと巨大な大砲のような銃を見渡していました・・・にしても大きいです。わたくしは思わず二度見してました。


 「嘆くのは早いです。何の為にここまで来たと思ってるんですか、わたくしは勝つために来たんですよ?」


 「レイラちゃん、もしかして何か勝つ算段でもあるのかしら?」


 「えぇ、見ていてください。どんな時でも、希望は絶対にやってきますから」


 わたくしはカッコよく振り向きざまに言って見せました。そしてわたくしはバケモノに目線を戻します。数は16・・・わたくしは右拳を脇に構え、左拳を顔の前に持ってきて腰を落としました。


 この数を後ろの方々を守りながら仕留めるには全攻撃一撃必殺。一瞬でも逃せば終わりでしょう・・・しかし、わたくしは・・・やれます!!!


 「はぁぁぁぁあああ!!」


 わたくしは声を上げ、気合を込める。まだ、惹き付けるんです・・・まだ・・・・・・・まだ・・・・




 「今です!!」


 攻撃のタイミングが線で繋がりました。後はそれに沿って動くだけです!!


 「・・・16回だ」


 全員の頭を吹き飛ばしました。一体一体、一撃のみ。


 「あ、あ・・・」


 わたくしは振り向くとみんな口をパクパクさせていました。


 「な、なんだったのですか?今の動き・・・一体、何をしましたの?」


 「何って・・・全員を一撃で倒しただけです。あの、一体目は正拳、二体目は回し蹴りで・・・」


 わたくしは順を追ってどうやって倒したか説明しました。ですがアリアさんは、目を丸くしてあまり話を聞いてないみたいでした・・・言い方が悪かったのでしょうか。


 「す、すげぇぇぇぇぇぇ!!!」


 突然後ろの住人さんたちが叫びました。我に返ったみたいですね。先ほどまで魂が抜けた顔してましたから。


 「あ、あの皆さん。全員ご無事ですか?」


 「あぁ、俺たちは大丈夫だ。だけどあんた、すげぇなんてもんじゃないよ。一体どんな特訓したらそんなふうになるんだ?」


 「まぁ、色々と旅をして頑張りましたから」


 「流石勇者様ってところだな。ミカミもそりゃ負けるわ、この勝負も勝機が見えてきたなおい。」


 あれ?今の言い方。まるでこの襲撃が三上さんのような言い方でした。エルメスさん、まだ真実を伝えていないのでしょうか・・・それとも何か考えがあって、伝えていないのか・・・


 「あぁ、にしてもあのクソ王。往生際が悪いよな。こんなのを用意してたなんてよ」 

 「全くだ。でも、あいつの悪足搔きもここまでってなもんだ」

 

 「あのさレイラちゃん・・・」


 シャンデラさんがこそっとわたくしに話しかけてきました。そこでどうしてこうなっているのかを聞かされました。


 話を聞くと、シャンデラさんたちはアウロの襲撃があると聞いてここまで駆けつけ、住民の避難をさせていたらしいのですが、何かのパフォーマンスか何かと勘違いされて、やむを得ず三上さんの名前を出してしまったらしいです。


 「・・・それに、ここの人たちには三上さんの真実は伝えてないの。イーサンが混乱しないようにってエルメスさんに言って・・・でも、それが裏目にでちゃったんだ」


 「そう言う事でしたか・・・三上さんには悪いですけど、今はそう言う事にしておいた方がよさそうですね。今刺激してもあまりよさそうではないです」


 とりあえずわたくしたちは、この襲撃は三上さんによるものとしておくことにしました。


 「はぁ・・・にしても、女の子に守られるって男として少し情けないよな」


 突然住人さんの一人が肩を落とし、情けなさそうに語りました。


 「そんな事ないですよ」


 「いや、そんな事あるよ。アリアちゃんたちに助けられる前にも別の滅茶苦茶強い子に助けられたし、そして今君にも助けられたんだよ?にしても、あの子誰だったんだろう。


 俺さ、上から降ってきた光に吹っ飛ばされた後、気失ってさ、すぐに目が覚めたんだけど、急にバケモノに襲われて、そん時フード被ったマント姿の女の子に助けられたんだ」


 マント姿の女の子?


 「え?私たち以外にも、情報を知って来た人がいるって事?」


 「でも、誰でしょうか・・・この襲撃はイーサンから聞いた事。知っているのはわたくしたちとレイサワ様だけですわ。シィズさんという訳でもなさそうですし・・・」


 わたくしもこの襲撃を知ったのは襲われた直後にニュースで中継を見ていたからです。襲撃を先に知っていたとでも言うのでしょうか・・・それに、アウロの存在を知ってる人なんて他に誰が・・・


 「あ、その子俺も助けられた!!あのバケモノ一瞬で消し炭した奴だろ!?」

 「そうそう!なんか投げつけてたよな!!そんでその後ズドーンって粉々にさ!!」


 住人さんたちはその子の事で話が盛り上がっていますね。

 

 「さてその子の事は後で考えましょう。皆様、そろそろこちらへ」


 アリアさんはどこかの入り口の扉を開けました。


 「ここは?」


 「前のミカミさんと決戦時、住人たちはここにいましたの。核シェルターと言いまして、ここならばバケモノも入ってこれはしませんわ」


 そう言えばあの時、この街はもぬけの殻でしたね。皆さんここにいたと言う事ですか。ここにいれば万が一、三上さんの核が爆発した時、住民を巻き込まない。そう言う事のようです。


 「そう言う事なのですね。分かりました。ではわたくしは他の方々の救出に行きます。アリアさんとシャンデラさんもここで休んでいてください。後はわたくしがやります!」


 「そ、そんなことさせられないよ。私たち一応軍人だもん。最後まで戦う」

 

 「そうですわ。力尽きるまでやるのがわたくしのモットーですもの」


 「確かにそうかもしれませんが、その疲弊した体では流石に住民を守りながら戦うのは無理が出てきてしまいます。弾薬も少ないのでしょ?


 それにあなた方は軍人でもありますが、アイドルでもあります。アイドルとは夢を与える者。おそらくここにいる人たちは今、不安で一杯です。それを癒せるのはあなた方の他ありません」


 シャンデラさんとアリアさんは無理をしてでも戦おうとしてましたが、このまま戦えばそのうち命を落としてしまいます。犠牲はもう出させません、あとはわたくしが止めて見せます。


 「そうですわね・・・この体で行っても足手まといになりかねませんわ。レイラちゃん。後を頼んでもよろしくて?」


 「はい!!これ以上の犠牲者はもう出させたりはしません!!」


 「ありがとうレイラちゃん。私はここでみんなを守る、それも立派な戦いだよね」


 わたくしはコクリと頷いてこの場を去りました。





 そして残っている住民たちをバケモノを蹴散らしながら、シェルターへと避難させました。


 「っ、これは!!」


 突然周りに威圧感が漂いました、わたくしはこの感覚を覚えています。この感覚は確か・・・


 「やぁ、随分と張り切ってやっているようじゃないか。調子もよさそうだ」


 「ディエゴ アンダーソン・・・」


 「どうだい?このステージは、楽しんでくれているか?」


 「みなさんをこんな目にあわせて、楽しいも何もありますか!腹立たしいだけです!!」


 ディエゴさんの言い方、まるでわたくしの為にこの舞台を作ったみたいな言い方・・・確かに、もう一人の自分の事もありまして、戦うこと自体に抵抗はなくなりました。しかし、こんな舞台は願い下げです。泣いてる人の前で楽しむなんて何があろうと出来ません。


 「そうか、それは済まなかったね・・・ところで、坂神 桜蘭君は一緒ではないのか?」


 「桜蘭さんはここには来ません。わたくしたちだけで十分です」


 「なんだと・・・」


 ディエゴさん、今一瞬顔が引きつった?まさか、桜蘭さんがここにいないことは計算外って事でしょうか。


 「いや、まぁいいか。彼がいなくとも計画は・・・」


 「はあ!!」


 油断していたと思っていたのですが・・・流石は、アウロのリーダーを務めるだけはありますね。炎を纏った拳は彼の波打った剣、フランベルジュに受け流されました。


 しかし・・・いまの動き、少し鈍かった?


 「隙あらば打つ。いい心がけだよ神和住 零羅君。その意気でなければ到底我らには敵うまい」


 「そうですね、あなた方は確かに強いです。しかし、形勢は今逆転しつつあります。上のあれもあなた方の隠し玉的なものだと聞いてますが、先ほどから攻撃が来ないところを見ると、やられていると考えた方がいいんじゃないでしょうか?」


 「成程、サラマンダーか・・・やるな。確かに君の言う通りかもしれないな。イーサン ピークシード君とシィズ ナナ君は裏切り、麗沢 弾君に、シャンデラ グロリオサ、アリア スターティス、総合戦力だけならばまだ我らが上だが、徐々にそれは覆ってきているようだ」


 「意外と正直に物事を捉えるんですね。しかし、捉えたところで、わたくしはあなたを見逃したりはしませんよ」


 わたくしは先ほどの違和感も確かめる為に、構えなおしました。


 「逃げるつもりはないよ。さぁ来い!!」


 「はぁぁぁぁ!!」


 わたくしは連続で攻撃を仕掛けました。時には反撃を喰らう事もありましたが・・・やはり変です。動きが悪い、以前はもっと一撃も重かったはず。よく見ると表情が少し険しいです。


 「相当疲弊してるみたいですね。敵ながら言いますが大丈夫ですか?」


 「君は甘い。疲れていると判断したのならば、更に追い打ちをかけるのが戦いだろう・・・」


 そうは言いましても、あそこまで圧倒的な力だったのに、今はもう立つのが精一杯みたいな感じです。そんな状態の敵と戦っても、納得できません。


 「わたくし、戦うこと自体は嫌いではありません。あなたとはこの醜い争いとしてではなく、あくまで個人として戦いを挑んでいるだけです。それ以外の理由では戦いません。だからこそフェアじゃないとわたくしは戦う気になれません。一方的に相手を痛めつけるあなたたちのような人になってしまいます」


 「成程、争いを好まぬ、君らしい言葉だ・・・だが本当にいいのか?今が倒す最大のチャンスであったのに・・・」


 「っ!!」


 突然の殺気・・・しかし今のはディエゴさんじゃありません。急に現れた、別の誰かです・・・ですが、この感覚・・・なんでしょうか。この感じ、どこかで・・・


 「わたくしとしては、今ディエゴを倒されるのは困る」


 突然衝撃波が飛んできました。わたくしはそれを防ぎましたが、周りの建物にひびが入りました。今のは、一体どんな技なんでしょうか・・・衝撃波、それだけでここにあったゴミなどが吹き飛んでいきました。


 「やれやれ、それにしても君ともあろう者が、一体何があった?」


 「返り討ちだ。全く情けない話さ。向こうはビリー ラックス君に任せ、俺はここまで敗走、こっちは計画通りに運んでいるというのに、済まないな エファナ アンダーソン君」


 「問題はないさ。あの瞬間移動は一兆君の空間転移と違い体にかなりの負担をかける。その直後にグレイシアと、そして彼女と戦っているのだ。こうなる可能性もわずかながらあったさ。そろそろ仕上げだ、君は先に行きたまえ」


 衝撃波を放った人は、ディエゴさんの前に立ちわたくしに追い打ちをかけさせませんでした。というより、わたくし自身が目の前の状況に固まり、後を追う事ができなかったのです。


 「さてと・・・お前が聞きたいことは山ほどあるだろうが、次はどう出るつもりだ?零羅・・・」


 その人はわたくしの名を呼びました。そしてわたくしも、その方の名を・・・いえ、肩書を呼びました。


 「おとう・・・さま?」


 

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