桜蘭 王とは、仲間を信ずる心を持つ者也
桜蘭たちはケンソウ岳を抜け、サラマンダーの住む島に辿り着くが、そこで桜蘭を父と呼ぶ幼い女の子と出会う。
突然すぎんだろ。俺はようやくの思い出サラマンダーのとこまでやって来た。だが、そこにいたのはサラという角の生えた小さな赤ちゃん。そしてその赤ちゃんは俺を多分お父さんって言った。
うん、言ったな。おとしゃんって言ってたけど意味は絶対お父さんだ。おかしゃんがお母さんっぽかったし。
「いや、俺はお父さんじゃないッスよ!!」
「?」
サラは指をくわえて俺を見てる。でもな・・・正直言っていいか?
・・・クソ可愛い。ほっぺが真ん丸、頬ずりしたい。
「だっこ だっこ!!」
どうやらサラは俺に抱っこしてもらいたいみたいだ。
「・・・いいんスかね」
「良いんじゃないでしょうか。凄い懐いてるみたいですし・・・」
俺がそっと手を出そうとした瞬間だった、突然地響きがした。
「うわ!!なんスか!?」
「これは!桜蘭さん、外です!!」
俺は零羅に言われた通り窓の外を見た。さっきまで無かった景色がある。いや景色ではない、これは鱗だ。ってこれは足か!?
「あ、おかしゃん!!!」
サラはテトテトと、ベッドから降り玄関の方に向かった。
「あ、ちょ!!!」
俺もサラの後を追う。そして外に出た。目の前にはもはや壁だ。アフリカゾウレベルだったノームが何体分あるんだ?だが、上を見上げた時に見えたその姿はれっきとしたドラゴンそのものだ。
流石に四精霊のトップだけはある。威厳を桁違いに感じる。
「おかえりなしゃい!!」
『おぉサラ、大人しくしとったか?』
「さりゃ、おるすばんできた!!」
『いい子じゃ、しっかりと出来たようじゃな!!』
「あのしゃ、おかしゃんに、お、おきゃきゅしゃん!!」
サラの言葉でようやく俺たちに気が付いたようだ。やべぇ、目を合わせられねぇ。
『お主・・・』
「あ、どもッス ってうぉわ!!」
突然暴風が襲ってきた。俺は思わず目を覆った。そして覆っていた腕をどかした時には先ほどの超巨大なドラゴンがいなくなっていた。
「あ、あれ?」
「え、人間!?」
俺に目の前には1人の女性が立っていた。燃えるような赤いとげとげしい髪を後ろでまとめたポニーテールに、ジーパンへそ出しのタンクトップ1枚というかなりラフな格好の人物だ。けど、あれは尻尾あるのか?その女性はサラをひょいと持ち上げた。
「おう、初めましてじゃな。儂はサラマンダーじゃ!!」
「あ、坂神 桜蘭ッス」
「神和住 零羅です」
「桜蘭に零羅か! よろしくな!!ってん!? んん゛!?」
サラマンダーは俺をすんごい近い距離で眺めだした。
「あ、あの。なんかあるんスか?」
「お主、前に会った事あるか?なんか見覚えがある気がするんじゃが?」
「い、いや、初めてッスよ!?」
「うーむ、そうか。じゃが しかしの・・・ん?ってか桜蘭お前、男か!?」
「え、はい。」
あ、そういやここは男は入れない場所。そりゃ驚くわな。あれ?待てよノームは確か俺は・・・
「って事は、お主が夫か!!」
「はい!?」
より驚かされたのは俺の方だった。そういや、サラも俺をお父さんと・・・マジでどうなってんの?ここにこれば分かると思ったのに、余計に分け分かんねぇぞ!?
「いや、いきなりそうはならないですよね!?」
「だよな!!」
流石に零羅もびっくり仰天。そらそうだ、ここに来たらって夫はねぇだろ。
「そうなのか?じゃがしかしの、この地にもし男が現れた時、それは命の王となり、儂の夫となると、眠りにつく前に聞いたのじゃ」
「はい!?って、ちょっと待ってくださいッスよ!!大体、その子いつ生まれたんスか!夫の前に、その子のお父さんは誰!?」
「おー、そこも儂も気になっておったのじゃ、久方ぶりに目覚めたと思ったらの、急に腹が痛くなってのぉ、ポンっとな。いや~あれは痛かったの~」
どういうこった、前に俺以外に誰かが来たって?いや、有り得ねぇよな。ここへ行く方法は1人では不可能だし。ってかポンって、子供産む痛さって鼻からスイカ出すレベルって聞いたことあるけど、流石はサラマンダーって事なのか?
「あ、と言う事は!!先にコウノトリさんが子供を運んできちゃったって事なんじゃないですか!?」
あ~、そういや零羅ってまだ9歳だったっけ・・・最近の子供はませてると思ったけど、零羅ってまだ純粋なんだな。でもな零羅よ、それはあり得ないからね。
「おー!それか!!コウノトリの早とちりか!!それなら納得がいくの!!それならばお主がお父さんじゃ!!」
・・・いや、そうはならねぇだろ。ってかおい、もしかしてサラマンダーって
「あのさ、サラマンダーさん、子供ってどうやって出来るか知ってますよね・・・」
「ん?結婚したらコウノトリが運んでくるんじゃろ?何を当たり前の事を言っておるのじゃ?」
知ってねぇ!!サラマンダー子供の作り方を知らなかった!!何百年生きててマジか!!
「いや!どうやってコウノトリがおなかの中に子供を授けるんスか!!」
あ、みんな固まった。零羅もサラマンダーも人生で一番といっていい程の衝撃を受けた顔をしてる。
「じゃ、じゃあどうやって子供は出来るのですか!?」
「桜蘭、まさかお主は知っておるのか!?」
やべ、俺のさっきの発言はヤバかったか?
「い、いや。俺もあんまし知らない・・・」
「そんな事は無いですよね!!その目は嘘ついてます!!わたくし凄く気になります!!」
零羅ぁぁぁ!!ツッコまなくていい!!ややこしくなる!!
「つまりはこうか?結婚しなければ子供は絶対に出来ない理由があると!そう言う事じゃな!!」
いや間違ってるんだけど、まぁそう言う事にしといた方がいいな。ここは。
「そ、そうなんスよ。互いに愛し合って結婚しないと子供は出来ないんス!!愛してなきゃダメなんス!!」
「・・・なるほど、よう分らんが分かった!!つまり今のお主は儂の夫じゃないのじゃな!!」
「わたくしは納得いきません・・・」
結局分かってねぇ~・・・
「まぁいいや、話変えよ。サラマンダーさん、俺は今、命の王として四精霊の試練を受けているんス。そして次はウンディーネ、そこへの行き方はサラマンダーさんが知ってるって聞いたんス」
「おぉ、そう言う事か。お主はまだ命の王の試練を受けておる段階か。どうりでまだ力を感じぬわけじゃ。そうじゃの、儂の夫とかの話はそれが済んでからの方がよさそうじゃ。ウンディーネはこっからず~っと北の海の中にある海底洞窟の中の国じゃ」
今度は北か・・・ってか、海の中?ってまた泳ぐの?しかも、今はもうすぐ夏のはずなのにここはめちゃ寒い。それなのに更に北の海・・・流石に泳いでは無理じゃね?
「しかしのぉ、ウンディーネの奴はかなり手厳しいからの、今のお主ではまず突破は無理じゃな。そうじゃ!少し鍛えてやろう!のちに儂の試練も受けるんじゃ、やっておいて損はないじゃろ」
サラマンダーの修行?マジで?いいの?
「は、はい!!受けるッス!!」
「ふっ・・・」
サラマンダーはにやりと笑った。そして
「じゃあ早速じゃ!!サラをちょっと抱っこしてみぃ!」
「え、あはぃ・・・」
俺はずっとサラマンダーに抱っこされいつの間にか寝ていたサラを渡された。
「?」
あ、目覚ましちゃった。なんか緊張するな。首は、座ってるみたいだな、よし・・・
「って!ぎゃ!!」
俺は受け取った瞬間に押しつぶされた。
「わ!桜蘭さん!!気をつけてください!!危ないじゃないですか!!」
「い、いや!!そうじゃないッス!」
そうじゃない、俺が倒れた理由は、サラ、滅茶苦茶重たい。う、動けん!!
「だいじょぶ?」
だ、大丈夫・・・だけど、ごめんサラちゃん・・・ちょっとどいてくれるとうれしいな。
「ははは、こりゃ駄目じゃな。五百キロのサラを持ち上げられないようじゃウンディーネの試練はこなせぬ、桜蘭、お主に与える修行は一つ、子守りじゃ、サラをずっと抱っこしたまま今日一日お世話するのじゃ」
ご、500・・・死んでないのは覚醒のおかげでも、それでも今にも圧死しそうだ・・・
「ぬぅおおおおおお!!よいしょぉぉぉ!!!」
俺は辛うじておんぶできた。これも覚醒の賜物か・・・けど、きっつ!!!
「うむ、将来儂の夫になったときに抱っこも出来ないようじゃ駄目じゃからの。儂も楽になるし、一石二鳥じゃ!!」
いや、まだ誰も夫になるなんて言ってねぇぞ・・・でも、なんだろ、俺の親指くらいの小さい手で俺の襟を握ってるこの感じ、たまらなく幸福感を感じる。
「よ、よく分かんないッスけど、サラの世話やるッス!!」
「よっしゃ!よく言った!!これ、さっき街の方で買ってきたんじゃ。オムツの替えとか、離乳食じゃ」
あ~、出かけてたってそう言う事。えっと、サラは1歳くらいだから、離乳食はっと・・・
「あ、そう言えば先ほどから気になっていたのですが、サラマンダーさんのその姿、人間ですよね。でもドラゴンの姿もしてましたが、どうなってるのですか?」
そこも気になってたんだった。ナイス零羅。シルフもノームも動物の姿をしてたのにな。
「あぁ、この姿か。これは儂ら四精霊の真の姿じゃ。他の奴らも出来るはずじゃが、見てはおらんのか?」
真の姿か、それって覚醒に近い感じか?
「ほ、他の方たちも変身できるのですか!?」
零羅はその言葉に興奮気味だ。まぁ俺も興味ある。シルフやノームの人間態、カッコよさそうだもんな。特に変身ときたら少年漫画好きの零羅にはたまらんだろうな。
「おぅ、そうじゃ。儂のドラゴンの姿はデカすぎるからの、それにこの姿のおかげで街に出向いておるおかげで最近の話題にもついていけておる。何かと便利なんじゃ」
でも、子供がどう出来るのかは分かんないのね。
俺はそんな会話をしながらも、サラを前に持ってきて抱っこしなおした。よし、少し慣れてきたぞ。サラも大人しくていい子だから助かるわ。
・
・
サラマジでいい子だ。今日1日ほとんど泣かずにいた。おなかすいた時に少しぐずったけど、おもらしもしなかったし、ほっぺぷにぷにだし。
俺がバランス崩して倒れても泣かないし逆に心配してくれたし、やっぱほっぺぷにぷにだし、世の中にこんな素晴らしい赤ちゃんがいるのかと俺は心底感じました!!
そして夜になって俺はサラを膝に乗せて一緒にテレビを見ていた。膝が痛いがこれも修行・・・
「あ!少しいいですか!?」
零羅が置いてあった新聞の番組表を見てチャンネルを変えた。
「どうしたんじゃ?」
「なんかあるんスか?」
「いえ、特撮の『仮面バイカー』って言う作品がやってるらしいのです。少し見たくて・・・よろしいですか?」
特撮か、前の旅の時に麗沢も見てたっけ。零羅も気になってたのか・・・てか、少年漫画に加えそっちもか行けるのね零羅。まぁでもいいんじゃないか?特撮って子供向けだし。
俺たちはその番組を見る事にした。
だけど・・・え?これ・・・かなりグロくないか?内容も裏切りとか、洗脳とか、重っ・・・!
「きゃっきゃっ!!がんばえー!!」
あ、サラは特に分かってないや。それに比べてサラマンダーと、零羅はめっちゃ真剣に見てる。
『・・・番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。』
俺もなんだかんだ見入っていた時だった。突然画面が切り替わり、
「は!?っちょ!!今いいとこじゃったのに!!」
「一体何なんですか!?」
「おわっちゃったの?」
「みたいッスね、さて、そろそろおねんねしようね、その前に歯磨きしよっか」
俺はサラを連れて洗面台に行こうとした。だが、ニュースの内容に俺は振り返った。
『中央地区で謎の勢力による襲撃があった模様です。現在軍がこれに抵抗しており・・・』
「んな!どういう事ッスか!?まさか!麗沢とエルメスを狙って!?」
『新たな情報が入りました。軍の調べによると襲撃の首謀者はレイサワ ダンと呼ばれる人物で・・・』
「・・・そんな、一体どうなっているのですか?どうして麗沢さんが?」
俺はそのニュースを聞いてしばらく言葉を失った。
『現在現場と中継が繋がっております』
テレビの画面が切り替わり、逃げ惑う人々が映し出される。そして一人の男がカメラに向かって叫んでいた。
『ゼロだ!!これはゼロの再来だ!!やはりあいつは世界に災厄をもたらす存在だったんだ!!』
どうして・・・これはまるで三上と同じ・・・世界が恐怖で支配されている。
「あ!エルメスさん!!」
画面を再び見るとエルメスがいた。手には愛武器の薙刀を持ちながら男を介抱している。そして立ち上がると薙刀を構え走り出した。カメラはそれを追う、そしてその先には
「・・・っ!!!麗沢!!」
流血光刃を携えた、俺のよく知る男。麗沢 弾がエルメスに切りかかっていた。
画面越しだが分かる。エルメスの顔、怒ってる。そして麗沢も・・・
「・・・麗沢さん、なんだか変です」
画面を一緒に見てた零羅が呟いた。確かに変だ。エルメスはそれこそ再び三上を見たかのように、怒りを麗沢にぶつけている。だが麗沢のそれはやるせなさの怒りだ。
「止めないと・・・これはもう、行くしかない」
一体何があったのか分からないけど、なにか理由があるはずだ。確かめないと!!
「駄目じゃ、桜蘭。お主は旅を続けよ」
俺が今にも飛び出そうとした瞬間だった。サラマンダーは俺を掴んで止めた。
「何するんスか!!今はそれどころじゃないんス!!」
「あぁそうじゃな。確かに今は呑気にテレビ見てるどころじゃないの、それに見た所あやつらはお主の知り合いなんじゃろ?じゃが、お主が向かった所であれを止められるか?よー見てみ、あやつらは一体誰と戦っておる?」
俺はテレビの画面をよく見た、麗沢とエルメスが戦っているその奥、兵士相手にだれかが麗沢を援護するかのように戦っている。顔が隠れて見えないが、女の人?いや、あれは見たことあるぞ!!
「あれは!!シャルロットの!!」
「シャンデラさんに!アリアさん!?」
「あの二人はテレビで見たことがあるしの、儂もファンなんじゃ。そんな二人がどうしてあの男の援護をしとる?」
マジでどういう事だ?それによく見ると、エルメスの方に味方してるのは誰だ?そう言えば中央での決戦の時、中央には1000ほどの兵士が待機してた。そいつらは敵のスパイだったシィズが蹴散らしたんだ。だとしたらあれ程の人員をこの短期間でどうやって集めたんだ?見るからに規模がおかしいぞ?
「これは、言いたくありませんけど・・・エルメスさんが裏切った?」
俺の中にも零羅と同じ言葉がよぎった。エルメスに味方してるのは、アウロなんじゃないか?
「それは早とちりじゃ、儂が思うにこれは罠じゃ。あたかも今、あの場所を乗っ取ろうとしているかのように、映し出されるおるが、逆じゃな、既にあそこは敵の手に落ちておるのじゃ。昔と同じ手じゃ、お主らを世界の敵に仕立て上げようとしておる。こんな事やるのは、あの男しかおらんの」
「既に敵の手に落ちてるって事は、麗沢がやろうとしてるのは・・・」
「逆。中央地区を解放する為に乗り込んだと言う事ですか?」
だったら尚更行かないと、エルメス、麗沢!!
「じゃから桜蘭、お主は行くなと言っておろうが。今行ってどうする、大体どうやって行くつもりじゃ?それに今行ったところで、お主はあやつには勝てん、力を完全に付けるのが先じゃ」
「そんな事言ったって!俺にとって麗沢もエルメスも大切な仲間なんス!!それを放ってはおけないッス!!」
「・・・お主が仲間を大切にしてる気持ちはよぅ分かった。じゃがの、それはお主が仲間を信用してないのと同じじゃ。桜蘭、お主の友はあれだけなのか?誰も信用できないような奴が、命の王を名乗れると思うな」
信用って、だったら一体どうすればいいんだよ、他のみんなも散り散りだ。だったら俺しかいないじゃん。
「・・・お主は本当に馬鹿じゃの、お主は命の王なんじゃ、まだ未熟じゃがな、それにさっきから儂は言っておろうが、お前は行くなとな。王とは支配者じゃ。誰かを使ってこそその名を語るにふさわしい。自分一人ですべてを背負うのは王の役ではないのじゃ」
「そ、それって・・・まさか」
俺ってホント馬鹿、零羅が呟かなかったらまだ理解できてなかったかもしれない。忘れかけてた、俺たちは何のために旅に出たのか、俺たちは互いを信じ、支えあってきたからここまで来れたんだった。
「少なくともここには、お前を支える為の家臣がここにはおる。儂と零羅が行く、中央へは儂ならばひとっ飛びじゃ。桜蘭、今日一日サラを預けたのは単なる修行だけじゃないのじゃ。それでお主の器を図っておった。お主はサラをあやすのが上手かった、むしろ儂より扱いが上手じゃったからの、信用できると思ったんじゃ」
昔、親戚の子がサラくらいで、俺がよくあやしてたからなんだけどな。でもサラマンダーが行くか、これほどまでに心強い事はない。
「で、ですがあなたが行くとサラちゃんはどうするんですか?」
「そこでじゃ桜蘭、サラを一緒に連れて行ってはもらえぬか?」
サラマンダーから出されたのは交換条件のような物だった。
「昔ニヒルが言っておっての、可愛い子には旅をさせよっての、サラもそろそろこの島の外を見せてやりたいのじゃ」
サラはこのタイミングで、サラマンダーに抱っこしてほしそうにねだりだした。俺はサラマンダーにサラを渡す。
「おでかけ?」
「そうじゃ、じゃが今回はサラもお出かけじゃ。桜蘭と一緒にの、それでお母さん、ちょっと長い間会えないが、良い子に出来るか?」
「できる!!」
「良い子じゃ、桜蘭を困らせるんじゃないぞ?」
サラマンダーはサラの額に軽くキスをした。そしてサラを俺に渡した。俺は腰を入れてサラを受け取った。
「・・・桜蘭、お前を何故懐かしいと感じたのか分かった。似ておるのじゃ、少しドジで、じゃが明るくて、何よりも自分よりも周りを大事にしようとするその心は、あやつとそっくりじゃ」
そして外に出た。
「じゃあ零羅よ、行くぞ。にしても中央、久しぶりに行くのぉ・・・よし零羅、儂の肩に手を置け」
零羅がサラマンダーの肩に手を置いた瞬間、凄まじい風が吹き荒れ零羅とサラマンダーは遥か上空に飛びだった。上空には巨大なドラゴンのシルエットが見える。
「ばいばいー」
サラは小さい手で必死に手を振ってサラマンダーを送った。今度は俺か・・・今ならやれるな。
俺は島の端っこに行き、ある生物を呼んだ。
「クジラしゃん!?」
サラマンダーに負けず劣らずの大きさ、哺乳類最大の生物のクジラを呼び出した。
『済まないけど、俺をウンディーネのいるところまで・・・』
さぁ、行くぞ・・・俺はクジラの背中に乗り北へと進んだ。




