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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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麗沢 棚からぼたもち

 麗沢はリザヴェノフと接触し、話し合いと言う名のデートをする。

 なんとか、アリア殿は不機嫌そうながらも納得してくれたようでござる。前に怒ると怖いと聞いてはいたが、ボケ担当の拙者がここまで怯える事になろうとは・・・佇まいで人を殺せる目でござるよあれは。やはりアイドルと言っても立派な軍人という所でござるかな。


 というか、拙者最近やたらとシリアス展開が多い気がするのでござるが、拙者ボケ要員としてこの物語にいるのでござるのだが・・・何故でござろう?


 ま、そんな事はさておいて、話を進めようではないか。ここはコールド地区 ヘキサウラと呼ばれる場所。拙者はアリア殿、シャンデラ殿、そして敵の組織、アウロのスパイをしているイーサン殿と共に、アリア殿たちのツアーをこなしながら全国を周り、アウロへの対抗手段を見つけようとしている次第でござる。


 「うーん、中々帰ってこないね・・・」


 「一体何をやっているのかしら。心配ですわね」


 今はアリア殿たちと共にいつの間にかいなくなっていたイーサン殿をホテルの一室で待っていた。


 「そう言えばレイサワ様?先ほどははぐらかしておられましたが、具体的にはあそこで何をしてらしたのですか?」


 ギクゥ!!ま、またそれを聞くでござるか。拙者、やましいことなど何一つしてはおらぬのだが、どうしてだろうか、どうにも罪悪感が付きまとうでござる・・・


 いやしかし拙者はただ、交渉していただけでござる。それを正直に言えばいいのでござる!!!ここは、正直に話そうぞ!!キリッ!!




 


 「あら、そう言う事でしたの。わたくしの知らない間に敵と接触を・・・で、そのリザヴェノフって人があなたをたぶらかしていたのですね?」


 「む?む、まぁ・・・そんなとこでござるな」


 「・・・・・す」


 アリア殿は何かを呟いたと思ったらすぐさま立ち上がった。


 「レイサワ様、少し席を外しますわ。イーサンが来たら言っておいてくださいな」


 「お、おぅ・・・」


 そして部屋の外へと出ていった。


 「一体、どうしたのでござろうか・・・」


 「た、多分やきもち妬いてるんじゃないかな?」


 やきもち?  


 あぁ、そう言う事でござるか。ならばここは拙者の出番であったか。


 「そう言う事ならば最初からそう言えばよかったではござらぬか」


 「さ、流石にいきなりは アリアちゃんでも恥ずかしいんじゃ ないかな・・・」


 「お?そう言うものでござるか。拙者としてはあまり気にはしないのでござるがな。仕方ない、ここは拙者も人肌脱ぐでござるな!!」


 「え? なんで君が?」


 む?こういう時こそ拙者の出番ではないのでござるか?さてと、早速準備に取り掛かろうぞ!!


 「シャンデラ殿、済まぬがこれを買ってきてはもらえぬか?拙者が外に行くわけにもいかぬのでな」


 「えっと・・あの、うん・・・」


 さてと、後は拙者の魔法の出番でござるな。


 ・


 ・


 ・


 「ふぅ、お待たせしました、急に席を外して申し訳ありませんわ・・・って、何をやってらっしゃるの?」


 お、アリア殿が戻って来たでござる。しかし、ちょっと待たれよ、今いいとこなんでござるよ。


 「よいしょ!」「はい!」「あ、よいしょ!」「はい!」「ほあああよいしょーーーい!」


 よし!こんなもんでござろう!!!うむ、いい感じでござる。


 「あ、アリアちゃんお帰り!!」


 「ナイスタイミングでござる!!丁度出来上がったでござるよ!!」


 「え、あの・・・わたくしが少し離れていた間に何があったのです?というか、なんでお餅をついてるのですか?」


 「お?アリア殿は餅を焼くのでは?」


 「あ・・・。ちょっとシャンデラ?こっちに来なさいな」


 アリア殿とシャンデラが何か話し始めたでござるが、今はこっちが優先でござるな。


 いやー、にしても魔法は便利でござるな。臼と杵も土の魔法の応用で作り出せることも可能であった。


 む?結局何をしていただって?分からぬか?アリア殿が焼き餅を作ると言うから拙者が人肌脱いで、至高の餅を作ってる次第じゃないでござるか。シャンデラ殿にもち米(高級)を買ってきてもらい、拙者の魔法を応用し作り上げる、いわばハイブリッド餅つき大会をやってるのでござるよ。


 「・・・あの、レイサワ様?」


 「お?なんでござろうか?」


 「あの、何故いきなりこんなことを?」


 「む?アリア殿、焼き餅を食べたいのではないのでござるか?だから拙者も手伝おうと」


 「・・・・・・プっ、クススス、そう言う事でしたの・・・そうですわね、少しおなかすきましたわ。一緒に作りましょう」


 一体これ以外、何をしようとしていたというのか、よく分からぬな。


 「では、今度はわたくしが突きます」


 「うむ、では拙者が返す役をやるでござるよ!!」


 「はい!」「えい!」「ほい!」「えい!」「せいぃぃ!!」「てーーーい!!」

 ・


 ・


 ・


 さて、これで完成でござる!!


 「焼き餅の中でも拙者の最も愛するもの!それは磯辺焼き!!ここに伝統的な技術と、魔法を組み合わせたハイブリッドな究極の磯部餅が完成したでござる!!」


 時短かつ、ハイクオリティ!


 「さて、いただこう!!」


 うむ!!魔法で疑似的に七輪を作り出し、炭火焼きにした甲斐はある!!これならば片付けも一瞬!!我ながら素晴らしい!!


 流石に食材を作り出す事は不可能ではあるがな、しかし・・・海苔もパリッとし、しみ込んだ醤油の加減も良い。


 「やはり、拙者はこの役目でござるよ。最近ずっとシリアスばっかでござったからな。食べるギャグ補正、それが拙者のあり方でござる!!」


 「・・・レイサワ様、最近ずっと暗かったのを気にして・・・」


 さて、残った餅はきな粉餅と、おしるこを。


 「アリア殿、どうぞでござる」


 拙者は出来上がったきな粉餅と、おしるこを渡した。


 「む?どうされた?」


 「い、いえ・・・いただきますわ」


 アリア殿はそそくさとそれを持っていき、端っこで食べ始めた。みんなと共に食べればよかろうに・・・


 後は、イーサン殿の分でござるが。





 『ドカン!!』


 「みんな!いるか!?」


 急に扉が勢いよく開いた、お、噂をすればイーサン殿が帰って来たでござる。


 「・・・なんで、餅つき大会? いや、それどころじゃないや!!」

 

 あ~・・・どうしてこうなるの。このパターン、またシリアスではござらぬか。絶対そうだ。


 「・・・なにか、あったのでござるか?」


 「中央に向かう、詳しくは道中で話す!!」


 「イーサン、その前にこちらを召し上がってからにしなさい」


 「ん?いや、今はそれどころじゃ・・・ふが!!!」


 アリア殿はイーサン殿に熱々きな粉餅をねじ込んだ。


 「あっつ!!ちょっと!アリア!?何するんだ!!」


 「せっかくレイサワ様がわたくしたちの為に作ってくれたのですよ、急用でそれどころじゃないは許しませんわ。食事は、邪魔されるのが最も失礼なのです」


 うむ、一理ある。


 「あ?あぁ・・・何があったか、分からないが、貰っておくよ・・・ってか、美味しいなこれ」


 全部食べ終わって、イーサン殿は頬に小豆を付けたまま、拙者たちを連れだした。


 「どこ行くの?車はあっちだけど・・・」


 「この際もう仕方がない、ハイパーループを使う。リザとシィズはフロンティアの本部に向かった、今なら反対方面を使うものはいないだろう」


 ハイパーループとな!?確かあれはまだ実現は困難と言われていたはずだが。


 「なにそれ?」


 「簡単に言えば超高速輸送システムだ。ここから中央まで30分で行ける。アウロ内部で開発され、世界中に交通網を持っている」


 「成程、向こうの世界との時間差が故に出来た技術でござるな」


 「そうだ、特に世界を監視するシステムには重点を置いている、だから入り口も全く持って分からないようにカムフラージュされている」


 拙者が連れられたのは、電話ボックスだった。


 「基本、ハイパーループへはアウロのメンバー1人1人が持つICチップでのみでしか入れない。いわば切符のような物だ。そして君たちを入れるにはそれこそ鉄道の改札と同じだ、不正乗車。同時に抜ければエラーがおきずにスルー出来る」


 おー、成程。意外とそこのセキュリティはがばなのでござるな。


 「じゃあ、行くぞ・・・1、2、3の3で行く」


 「一」


 「二」


 「3!!」


 よく分からぬが、突っ込んでいったら何か抜けた。景色が全く違うでござる。そして目の前にはプラットホームの先にゲートのような物が並んでいる。


 「よし、誰もいない・・・さぁ乗って!!」


 ゲートが開いて、車内のデッキに入る。ふむふむ、いたって普通の車両。特急電車の内部みたいでござるな、しかしこのデザインは、ドイツ製でござろうか?座席もそれっぽいでござる。


 「とりあえずみんな座ってくれ、詳しく話すよ」


 拙者たちは座席を向かい合わせにし、座った。そしてイーサン殿の口から途轍もない言葉が出された。


 「・・・前面衝突だ。アウロ上層部は、この不祥事をもみ消そうと最終手段に出た。完全覚醒者全員を君たちにぶつけ抹殺、そして中央を乗っ取る。この世界を完全な統治下におくつもりらしい。今までのように陰から支配するのではなく、我々は表に立つと・・・」


 「そ、そんなことしたら!!」


 「あぁ、最も嫌な事態だ。この世界からしたら予想もしてなかった謎の勢力に突然襲われる。三上君が消えた今だ。今まで以上に世界を守ろうとする機運が高まる。戦争が始まってしまうんだ。そしてアウロの戦力は完全覚醒者のみで考えてもアメリカ軍全軍に匹敵するだろう。それがまだ技術の乏しいこの世界ではまず勝てない。無駄死にの犠牲者を大勢出してしまう」


 「ただほんの少しだけの、命を守るためだけに・・・この世界そのものを潰そうとしているのですか?」


 「そうだ、だからこそそんな馬鹿な思想をを食い止める為に君たちに協力してもらっていたんだ。だが、今の私たちの戦力で、勝てるか?」

 

 「イーサン殿、戦力とは武装の強さだけでは測れぬでござるよ。確かに拙者たちだけでは勝てぬ。だが、拙者には先輩や零羅殿がいる。グレイシア殿もエルメス殿も、全員がアウロを倒そうと拙者同様に、いやそれ以上に努力しているでござる。今を生きるこの世界に悪はいるかもしれぬが主人公はせぬ」


 拙者はモブ・・・主人公ではない。だが・・・


 「しかしそれは、こうも言えるのでござる。全員が主人公になれると、拙者は信じるでござるよ。だからこそ、今は拙者は世界を守る主人公になる」


 「麗沢君!まさか!!!」


 「勘違いしないでほしいでござるな!!主人公は1人ではござらん!!きっと全員来てくれるでござる。それぞれの物語の主人公が集まる。これにアウロは勝てるでござるか?」


 「・・・全く根拠なんてありませんけど、わたくしそういうの好きですわ。わたくしたちは負けません。なぜなら、わたくしは主人公なのですから」


 「そうだね、シャルがいなくても私たちはそれぞれ、違う色だもん。誰もが主人公なんだよね」


 そうでござる。主人公は誰かが決めるもの。じゃあその誰かに自分がなってみるのも、面白いでござる。


 「みんな・・・・・・そうだな信じよう。私も私の物語を書こうじゃないか!!」


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