表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
63/239

オーギュスト 零壱(ゼロ ワン)

 オーギュストはユゥロを連れてセレスへと向かう。その中、女装していた三上たちと出くわす。

 こりゃとんだ収穫が来たもんだ。セレスに来たのは大正解だったみてぇだな。


 最初はアーサーの取り巻きの女どもをここに連れて、クラウドのとこに連れてこうと思ってたが、あの女どもはまだ心の傷が癒えていなかった。あいつ等、よっぽどアーサーの事が好きだったみてえだな。それもあって俺は諦め、ここで使えそうな人を探していた。 


 ユゥロはここで別にやる事があるらしい。


 「あの、ちょっと礼?いい?王様って何?社長じゃないの?」


 なんだこいつ・・・真っ白い髪のガキだ。どことなく雰囲気はミカミに似てる気はするが、こっちはミカミよりもおっとりしてる感じだ。ってかこいつ、ミカミの事知らずにここまで来てたって事は、こいつも・・・


 俺はミカミをちらっと見ると少し笑い頷いた。全く、いつもながらだがこいつの洞察力は俺以上だ。気持ち悪ぃ。


 全く分からない程の表情の変化を読み取って常に相手の先に立つ。末恐ろしいな相変わらず。


 「あれ?そーいや言ってなかったねぇ。礼兄ちゃんさ、この国の王様なの!!」


 「へ?」


 ・・・で、この甚兵衛着たガキは誰だ?さっきの様子から察するにミカミをよく知る人物でありながら忠誠を誓う、というより懐いてる感じだ。そして何よりミカミを礼兄ちゃんと呼ぶのはフォックスしかいねぇな。狐の耳があるし、でけぇ尻尾もあるしな、ってかこいつメスだったのか。


 全く、俺がようやくここまで来たのに答えはチンプンカンプンのままか畜生が。


 「元 王様ねこれも。言わなかったのはちょっとこの王様の立場ってのが面倒だからってのもあるんだ、ごめんね永零。さてと話を戻そう、オーギュストさん、一体どうやってここまで辿り着いたんですか?」


 「この手紙だ、送り主はビーン・ムゥ、そして内容はお前の調査とこの世界の真相だ、最初は訳わかんなかったが、こいつ送ったのあんただろ?」


 「・・・いや、僕じゃない、どういう事?確かに君がいつかアウロに気が付くように仕組んではいたけど、この手紙の送り主は僕じゃない・・・そしてこの文字は正真正銘ビーンさんのだ」


 何?ミカミじゃねぇだと?どういう事だ。この手紙はディエゴが送ったわけでもなかった。だからわずかな可能性でミカミ自身と踏んでたんだが・・・じゃあ誰だ?


 「成程な、お前でもまだ分かんねぇ事があると」


 「うん、だから君とアーサーに別々に調べてもらうように色々仕組んでたんだ。だけど全部無駄になっちゃったね。でもまぁいいか、これなら色々すっ飛ばせるから逆にいいかも。で、今はどこまで知ってるんですか?」


 俺は俺の知る限りの事を話した。だが話してるうちに感じた。俺はミカミの望んでる答えには全然行き付いてねぇらしい。


 「そうですか・・・アウロとも接触を。そしてアーサーさんが・・・また僕のせいで死んだのか」


 「お前のその反応、俺はどうやら全然まだ知らないらしいな。今度は俺の質問だ、お前の目的教えな」


 「・・・いいよ、君はアウロの敵であることは分かった。それなら問題ない、今君が知りたがってる事を教えるよ。だけど全部は無理だ、君に教えれるのは2つだけ。そしてこの真実は誰にも言わないこと、たとえアーサーさんが生き返ったとしても教えない。いい?」


 「仕方ねぇ、良いだろう」


 ・・・俺はまずミカミから計画を聞き出せた。やはりこいつの用意周到性には驚かされるばかりだ、確かにこれならばアウロにも対抗できるかもしれねぇな。ディエゴの奴も腰を抜かしそうだ。だが肝心な事を聞き出せていない。


 ニヒル アダムス・・・何故か色々調べていくうちにこいつにぶち当たる。


 「『この異世界より真実を込めて』を知ってますか?」


 「あぁ、俺はそれにこの世界の真実が書かれてると踏んでる、そして今それはサクラたちの誰かに渡ったと」


 「その通り、あの本はスチュワートさんを介して桜蘭君の手元に今ある。そしてあの本にはアウロの存在やこの世界の在り方、魔法の正体とそして最後の文章だけが残されている」


 「だけ?」


 「そう、それだけしか書かれていないのがあの本。つまり写しだ。原本はここにある」


 ミカミはどこかかから本を取り出した。どちらも古ぼけてよれよれの本だ。


 「この本は上下巻の2巻で構成されているんだ。桜蘭君に渡したのは下巻をコピーしてあの子たちにとって重要な部分のみを切り取って作った物だ、そして上巻はこれ、探すのは苦労したよ。そこで君にはこの上巻をあげる」


 「なんでそんな面倒な事を?」


 「僕の計画を悟られないためにね、必要な事を必要な人物に必要な分だけ、それが僕なりのやり方なの、慎重すぎるかもしれないけど、そうやって真実を分散させればアウロもなかなか僕にはたどり着けない」


 ほんとに気持ち悪いな、どこまで用意周到なんだ?こいつに探偵業やらせたらかなりの成果出せそうなんだが、性格に難ありか。

 

 「ふーん、で、その上巻ってのはどうやって手に入れたんだ?」


 「そこだよ、1番の問題点がこの上巻なんだ。これは僕がかなりのリスクを払ってアウロの元から手に入れた物。手に入れた当初はニヒルさんが同じ物を2つ用意することでもう1つの本に気が付かせないようにする為のカムフラージュだと思ってたんだけど、全く違ったんだ。この本は書かれている内容も違う、書かれた時期も違う、そして何より書いた人物すら違うんだ」


 ミカミの言ったこの言葉は俺に新たな推理をさせた。俺は今までニヒル アダムスがこの世界に一人で現れ、ミカミ同様に自身の持つ知識や技術を与え、この世界を繁栄に導いたと考えていた。


 だが違う、ニヒル アダムスはこの世界に一人で来たんじゃねぇ。少なくとも二人以上。ニヒルの陰に隠れた存在がいるって事を意味している。

 

 「なぁ、それを書いたのは誰だ?」


 「数人はいる、男性も女性も両方でこの本は書かれている。そこで1人の名前は分かった。ウーネア アダムス、本によれば彼女はニヒルの双子の妹らしい。そして彼女こそが桜蘭君の祖母らしいね」


 ほんの少しではあるが、存在しなかったパズルのピースが見つかり始めた。だがまだ小さすぎてどこに当てはめるのかは分からない。しかし、これは世界を知るという事に大きな意味を持つはずだ。


 「おいおい、サクラの祖母って事はよぉ・・・サクラは今の時代に飛んできた。つまりはウーネアは元の世界に帰る事が出来た存在って事か?」


 「その通り、そしてそれが意味しているのは当時既に、アウロとの衝突があった事を示しているんだ。アダムスを震撼させた内乱。これは内乱なんかじゃなかったんだ、異世界とこの世界を賭けた戦争が当時行われた」


 だんだん分かって来たぜ、俺の読みが正しいのなら空白の20年にも徐々にピースが埋まりだす。


 「そして結果的な勝者はアウロに終わった」


 「いや、確かに結果的にはそうかもしれねぇが、なぁミカミ、アウロはウーネア アダムスの事を認知してんのか?」


 もしもの話だ、だから可能性は極めて低いが俺の中で一つの可能性を見た。この戦争はまだ終わってねぇ。五百年以上続く戦争はまだ、水面下で燻っている気がする。


 「・・・恐らく認知はしてる。だけど変だ、シィズもウーネアについては何も語らなかった。そして桜蘭君をこの世界に寄越したのはディエゴの推奨・・・この事実はディエゴのみが知っている?」


 と言う事は、俺の推理は結構いい線行ってるかもな。


 「ディエゴか。あいつは俺にこの世界の謎を解き明かせと言っていた」


 「なんであいつが君に? いや、ディエゴは今はアウロの指導者、だけどその前をシィズは知らない・・・」

 

 「って事ぁ、ディエゴの存在自体はニヒルやウーネアの時代からいた?そして俺にこの世界の謎を解き明かせと、あいつはまだ戦ってんのか?この世界と」


 「それもあると思う、だけど恐らくディエゴはそれだけじゃない、分かってないんだ、どうして戦ってるのか。前に剣を交えたときに感じた。殺気はある、闘争心もある。だけど意志が無かった、何のために戦う理由がなく彼は戦っていた。だから僕は一度彼に負けている。


 ディエゴはきっと知りたがっているんだ。自身の記憶に存在しない、本当の意志を彼は探している。そしてその答えは、ニヒル アダムスにあると考えている。だから君に依頼をしたんじゃないかな?」


 あいつが戦う理由を探すために俺は、この世界の秘密を探ろうとしている・・・もし、あいつが意志を見つけた時、世界はどうなるんだ?危険であることは違いないはず。だが、妙に見てみたい気もするなぁ。


 「ようやく、パズルの一角が作れる気がして来たぜ・・・ミカミ、お前は言ってたな、何より望むのは己の平和だと、だが俺はこの世界を脅かすかもしれねぇ、構わねぇか?」


 「確かに、僕は何より自身の平和を望んでる。だけど、もう僕には平和に生きる資格はない、僕はすべてを奪った。僕と関わったばかりにグレイシアも、フォックスも、そして永零も戦いの渦に巻き込んでる。引き返せはしないんだ。全部終わらせるまでね」


 全部終わらせるか・・・その言葉の意味、恐らくお前は分かってんだろう。もとより世界を敵に回した奴だ。死ぬことの恐怖など微塵もないんだな、あるのは自身の平和じゃない。俺にはまだ見えない、真の平和の形を、ミカミは見ているのかもな。


 「そうか、ならば俺は遠慮なしに世界の真実を追うぜ」


 「そうだね、そうした方が結局僕にもプラスになる。君にこの本を授ける、世界の謎を頼んだよ」


 俺はミカミから本を授かった。今までカラ回っていた歯車がようやくかみ合ったのを感じる。これからだ、俺の闘いが始まりを告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ