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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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零羅 山を越えし者よ!!その先に待つ者に導け!!

 桜蘭たちは謎のカラスちゃんと言う少女と出会った後、ケンソウ岳を超える為、アンリエッタの愛馬、ポリス アルバトロスと再開し、山越の準備をする。

 わたくしたちは山を越える準備を入念にし、今は山の中腹あたりでしょうか、所々に雪が見えています。そして主道路から外れた抜け道のようなところに入りました。道路を使って反対に行くのは危険ですから、このルートで裏ケンソウという場所に向かうみたいです。


 「かなり高い山ですね。頂上が見えません」


 「うん、だけど一番上まで行く必要はないらしいッスよ。丁度富士山超えたあたりぐらいの所に反対に行く道的なのがあるらしいッス。それでもそこの気温は今日だとマイナス10度とからしいんスよね」


 「そうなのですか、そういえばエベレストも頂上付近は酸素濃度が低く24時間が滞在できる期限と言われてますものね。そんな危険な付近は通れませんね」


 「え、そうなの?大気圏ってやつ超えなきゃ大丈夫じゃないんスか?」


 ・・・わたくしはしばらく桜蘭さんがボケているのか、真面目なのか分かりませんでしたが、この澄んだ顔、真面目に言ってるみたいですね・・・


 「あ、あはは・・・」


 苦笑いしかできませんでした。どうやらランサーさんも首を振ってるあたりやれやれと言ってるみたいです。ですが、ポリスさんの方は大気圏突破しても無事だ!みたいなノリですね・・・仲いいんですね。





 そんなこんなでわたくしたちは、かなり山の高い所まで来ました。


 「うん、分かった」


 桜蘭さんが何か鳥と会話してるみたいです。何かあったのでしょうか?


 「なんかもうすぐ吹雪が来るからここでしばらく待機した方がいいらしいッス。ちょうどこの先に洞窟があるらしいッスからそこに行こうか。2時間程度でやむそうッスからそこからまた再開ッスね」


 「桜蘭さんのその能力便利ですね。そこの気候にあった動物たちなら対策も簡単ですものね」


 「ッスね。おかげで順調に進めてるッス」


 そして話通り凄い吹雪がやってきました。わたくしたちは洞窟に籠り暖を取りながら吹雪がやむのを待っていました。


 「うわぁすっげぇ雪。さっきまで晴れてたのに」


 「山の天気は変わりやすいと言いますからね。ところで桜蘭さん、向こうに着くのはあとどれほど時間がかかるのですか?」


 「うん?え~っとスね・・・」


 桜蘭さんはランサーさんとポリスさんに話を聞き始めました。


 「早くて明日の昼ぐらいらしいッス。んで吹雪がやんでも今日これ以上進むのはマズイらしいッスから、今日はここで野宿だってランサーが言ってるッス」


 ランサーさんって結構物知りですよね。かなり長生きしているとは聞いていますし、何かと桜蘭さんの手助けをしてくれてる気がします。結構強面な顔ですけど、意外と世話好きなのでしょうか。





 「ん?洞窟の奥に何かいる?」


 桜蘭さんがそうつぶやいた直後でした。洞窟の奥からうめき声が聞こえてきました。


 「桜蘭さん、これは・・・」


 「俺の言葉が通じない。これは、害獣ッスかね・・・」


 「いえ、違います・・・これは、バケモノの方です!!」


 暗がりから一気にソレは飛び出してきました。


 『ぐぐぅうあああ・・・』


 見た目はまるで本で読んだ雪男みたいに深い体毛で覆われた二足歩行の怪物です。大きさは全長3メートル程、話にしか聞いたことはありませんが、バケモノの子と呼ばれるものでしょう。


 「そうッスか。じゃあ遠慮は無しッスよ・・・この二丁銃の力で」


 「いえ、ここはわたくしにやらせてください。桜蘭さんはまだこの先にも試練がまっています。こんなところで体力を削っては後に支障をきたします」


 「・・・わ、分かったッス。じゃあお願いしていいッスか?」


 「はい!任せて下さい!」


 わたくしは元気に返事を返しました。と、その前に


 「あと、桜蘭さん1つ確認していいですか?」


 「なんスか?」


 「バケモノのお肉って食べれるのでしょうか?」


 「・・・・・・ちょーおいしー。だって」


 「分かりました!!では行きます!!」


 わたくしは呼吸を整え、構えます。ここは一撃で仕留めてみせます。無駄に戦闘が長引けばこの洞窟が崩壊しかねません。


 使う技は雷技。そしてあのバケモノの心臓に一発、一撃で倒す。これも修行、一撃で倒せなければわたくしの負け・・・


 『ぐぅぃあああああ!!!』


 「雷技、一つ目・・・・雷鳴正拳突!!」


 「うお!!」


 わたくしの閃光の放つ拳は、襲い掛かる爪を跳ね除け心臓に一発鋭い一撃を加えました。バケモノは体から少し煙を出しバタンと倒れました。


 「勝ちましたね」


 「いや、一発って・・・ヤバくないッスか?」


 「そうですか?ともかく、今日の夕食の食材は手に入りました!」


 「そ、そうッスね・・・」





 わたくしたちはこのバケモノの肉で鍋を作りました。桜蘭さんも喜んで食べてくれています。


 「うわ美味い!!流石麗羅ッス!!」

 

 「そんな事ないですよ。素材が良いだけです。それにしても、バケモノのお肉って意外と美味しいんですね。今度皆さんにも教えたいです」

 

 


 そして時間が経ち、朝になりました。外は快晴。ですが・・・


 「うわ~・・・外がもう完全に銀世界。これじゃランサーに乗ってはいけないッスね」


 「わたくしの身長ぐらいは積もってますね。徒歩で行くしかありませんね」


 わたくしたちは徒歩で旅を再開、足で雪を踏み固めながら道を作り先に進んで行きました。


 先頭を進むのは桜蘭さん。行く道はランサーさんや上を飛ぶ鳥等に話を聞いて進んでるみたいです。これなら迷う事もないですね。


 「えっと・・・ここを抜けると・・・うおっと!?」


 桜蘭さんが突然すてんと転びました。どうやら急に雪の壁がなくなったみたいです。


 「立てますか?」


 「はいッス!!あ~、びっくりした・・・」


 わたくしは桜蘭さんの手を引いて立たせました。


 「にしても・・・急に雪がなくなるなんてな、山って変なの~」


 わたくしは桜蘭さんの言葉に相槌を打ちながらその先の景色を眺めました。わたくしの立つ崖の下には街らしきものと、その先には平野が広がりそしてその奥に見える海の更に先に、鋭くとがった岩が連なる一つの島が見えます。


 「・・・あの島にサラマンダーがいる」


 桜蘭さんはあの島に何かを感じたみたいです。わたくしもあそこからはただならぬ雰囲気を感じます。


 「行きましょう、桜蘭さん!」


 「はいッス!!  って  え?今、ランサーなんつった?」


 桜蘭さんが元気に返事をしたと思ったら、突然冷や汗をかき始めました。


 「あの・・・何かあったのですか?」


 「零羅・・・あのさぁ、ここの下って崖じゃん?」


 「はい・・・」


 「どう行くと思う?」


 ・・・わたくしも周囲を眺めましたが、ないですね、道が・・・まさかとは思いますけど。


 「駆け下りるんだって、この約4000メートルある崖を・・・」


 「で、ですよね~・・・」


 どうしましょう、わたくしも冷や汗が出てきました・・・


 「ってうわ!!ちょ!!ポリス!?俺まだ心の準備が!!あぁぁぁぁぁぁ・・・・!!!」


 桜蘭さんはポリスさんに強引に乗せられそのまま煙を上げなら落ちていきました・・・わたくしと、ランサーさんはそれを眺めていました。そして、桜蘭さんの叫び声は聞こえなくなりました・・・顔を横に向けるとランサーさんがいたずらな笑みを浮かべています。


 「・・・わたくしたちも行きましょうか」


 「フルルルッ!!」


 ここしか道が無いのなら行くしかないですね!!ちょっと怖いですけど、行きます!!


 「ハイヤー!!!」


 わたくしはランサーの前足を上げてそこから一気に下っていきました。


 かなりの衝撃が全身に来ますが・・・ロデオマシンと思えば、これも少しは楽しいかもです!ロデオマシンってやった事ないので。


 そして前を走るポリスさんと桜蘭さんに追いついてきました。あれ?桜蘭さんさっきまで断末魔みたいな声上げてましたが、慣れたのでしょうか、かなり上手に乗りこなせているみたいです。


 『ズザザーーーーッ!!』


 そして何とか無事に下に辿り着きました。


 「よっと・・・とぉおい!?ああーーーーっ!!」


 あ、桜蘭さんが急ブレーキの勢いで転がっていってしまいました・・・。ランサーさんもポリスさんもその変な動きで笑っているようです。正直な話をしてもいいですか?わたくしも笑いをこらえるのに必死です。足が・・・頭の上にある・・・


 「おいてててて・・・最後の最後でふざけた俺が馬鹿だったわ・・・」


 「で、ですが  前に 比べたら  大分  上手く なりましたよ 」


 「あ、そう言えば・・・前は乗る事すらできなかったッスもんね~」


 いつになったら元の体勢に戻るのでしょう。その状態で真面目に話をしないでください。おなかが、おなかがよじれます!!


 「・・・そんなに俺変な格好ッスか?」


 「あはははは!!」


 ・


 ・

 

 ・


 「あ~、笑いました・・・何故かツボってしまって、すみません桜蘭さん」


 「ま、まぁ・・・楽しいのは良い事って事にしとくッス。ともかく、あの島ッスね」


 「はい」


 わたくしたちは街の海岸までやってきました。


 「さてと、問題はどうやって海を渡るかッスね」


 「はい・・・そこら辺のボートを拝借するのは流石にまずいですよね。空でも飛びます?」


 あそこまでの距離ならば、地面を蹴り上げる反動に風の魔法を加えれば2段ジャンプみたいに飛べそうですけど・・・


 「いや無理ッスね。俺も銃使って反動で空飛べるかもとか考えたんスけど、俺のパワーじゃ俺の体を浮かび上がらせるほどの反動は出せないッス、出来てもせいぜい数十メートルかなぁ」


 「そうですか・・・困りましたね、ランサーさんたちは・・・」


 ランサーさんとポリスさんは首をブルブルと振りました。流石に水中は泳げませんよね。


 「泳ごうにも俺泳げないし、しかも水冷たすぎる・・・凍死するなこりゃ」


 「そうですよね・・・流石に寒いですし・・・あ、そうです!わたくしが桜蘭さんを投げ飛ばすってのはどうでしょう?」


 「はい?」


 桜蘭さんは何を言ってるんだ?みたいな顔してますが、それが一番です。わたくしの拳で桜蘭さんを向こうまで飛ばす。わたくしは自分自身で飛ぶ。完璧です!!


 「ではそれでいきましょう!!風技応用!陣風飛翔拳!」


 「って今度は上かーーーーーぃ・・・!!」


 うん!まぁまぁの飛距離です!これなら無事にたどり着けますね。次はわたくしの番です。わたしは軽く飛び跳ね思いっきり地面に踏み込み、そこから風の魔法を発動し大きく飛び上がりました。


 着地の際にもう一度風をぶつければ・・・はい!着地出来ました!!わたくしの方が先に着いちゃいましたね・・・


 「ぅぉぁああああああ!!」


 すぐに桜蘭さんが飛んできました。受け止めた方がいいのでしょうか。また転びそうです・・・いや。


 「こんどはさせねぇッス!!」


 桜蘭さんは咄嗟にホルスターから二丁の銃を抜き風の魔法を同時に放ちました。その反動で勢いを弱め、見事着地しました。


 「どうだ!!」


 「お見事です!!」


 わたくしは思わず拍手を送りました。


 「さてと・・・こっからが本番ッスね。この島、予想通り他の動物の声が聞こえない。ノームと同じ感じッス。それに今度はサラマンダーの声らしきものも全く聞こえない。それにノームの話だとこの島は男を嫌う場所らしいッスからね」


 「と言う事は、女性であるわたくしが道案内になると言う事ですか?」


 「あ、そう言う事か!!」


 それしか考えられませんが・・・


 「でも道分かるんスか?」


 「えっと・・・多分こっちです!!」


 何となくこっちな気がします。多分きっと!


 「だ、大丈夫かなぁ・・・」


 ・


 ・


 ・


 「あの零羅ちゃん?ほんとに合ってるんスか?」


 「た、多分・・・」


 どうしましょ、少し自信が無くなってきました。でも、こっちって言われてるような気がするんですよね。根拠が全くないのですが、呼ばれてる感じがするんです。


 「って!前!前!」


 「はい?前は普通に道ですよ?」

 

 「え?思いっきり壁じゃ・・・ってあれ?」


 そう言う事ですか。分かりました!この島は何かの幻覚作用がある。男性にしか効かない幻覚がある。だから今まで女性しか生きて帰れなかったんです。


 「あ!そこ!崖!!」


 「大丈夫ですよ。ちゃんと道があります」


 「ひ、ひぇ・・・」


 ここはわたくしがしっかりとリードしなくてはいけませんね!!


 「桜蘭さん、わたくしの手に捕まって目を瞑ってください。それなら視覚が遮断されて驚く必要もなくなります」


 「そ、そうッスね」


 わたくしは桜蘭さんの手を引いて前に進みました。ですが・・・


 「あれ?また元の道です・・・」


 どういう事でしょうか・・・これは、同じ道をグルグル回ってるパターンですね。


 「え~、こっちな気がしてたんですが・・・」


 「ほ、本当に大丈夫ッスか?」


 どうしましょ。今更迷ったとは言えませんし・・・


 「ん?ちょっとまって零羅」


 「なんですか?」


 桜蘭さんは目を閉じたまま前を歩き出しました。


 「え?あの、そっちは戻ってますよ?」


 「そうッスけど、なんかこっちの方で声が聞こえたんスよ」


 桜蘭さんに連れられて目の前には壁が現れました。


 「あれ?さっきまでこんな壁ありませんでしたよね」


 「そうか・・・そうだったんだ。今まで誰もサラマンダーに辿り着けなかった理由が分かったッス!!零羅は俺をここまで導く者、そして命の王がその扉を開けるんだ!!」


 桜蘭さんが壁に手を置いた瞬間に周囲の風景が一気に変わりました。目の前には岩を掘って出来た一軒の家があり、そこの中には明かりが灯っています。


 「ここは・・・」


 「サラマンダーの住む場所。しか考えられないッスね」


 わたくしたちは家の玄関に向かいました。


 「カギは開いてるみたいッスね。ごめんくださ~い」


 「・・・誰もいないのでしょうか?」


 返事がありません。誰かいる気配はあるんですが・・・


 「奥に行ってみるッス」


 わずかながらテレビのような音が聞こえます。これは・・・幼児向けアニメ?


 「あっ・・・」


 桜蘭さんが突然立ち止まりました。


 「どうされました?って、あ・・・」


 奥の部屋にはテレビがあり、幼児向け番組が付けてありました。そしてそのテレビの反対側に1つのベビーベッドがあり、そのベッドの上から真ん丸の2つの目がわたくしたちをじっと見ていました。


 「あか・・・ちゃん?」


 「どちらしゃん?」


 しゃ、しゃべった!!


 「あ、えと・・・サラマンダーって人探してるんだけど・・・君知ってる?」


 「しゃりゃまんだ?」


 か、かわいいです。まだうまくしゃべれない感じが。


 「えっと、じゃあお母さんはどこにいるのですか?」

 

 「おかしゃん おかいもの。さりゃおるすばん!!」


 サラ?今この子自分の事をサラって言いました?わたくしは桜蘭さんと目を合わせました。きっとこの子がサラマンダーに違いありません。


 サラちゃんはちょこんとベッドから頭を出しました。


 「この子、頭に角が生えてるッス・・・」


 本当です。サラちゃんの頭の横から龍の角のようなものが生えてます。サラマンダーはドラゴン。やはりこの子が、でもお母さんって言ってましたよね。


 サラちゃんは桜蘭さんをじーっと眺めています。そして意外な言葉を発しました。


 「おとしゃん!」


 「・・・へっ?」


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