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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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麗沢 意外と似た者同士

 麗沢は路地裏でバッタリとリザヴェノフと出会い衝突するも、かつて二人は一度出会った事を思い出す。

 ここに来て、様々な情報が拙者の元に大量に流れ込んできた。俺たちとアウロは恐らく何らかのつながりがある。


 一体その理由とは何なのか、今の俺には全く見当もつかぬ、ただ言えるのは事態は凄まじくややこしいと言う事だけでござる。


 「ねぇ、麗沢君。私たちは何かと縁がある。少し話し合わない?」


 リザ殿は俺に優しく声をかけた。どうすべきか、正直眼鏡が無いので凄い疲れている。おかげでお得意のギャグ補正も使えぬ状況でござる。


 それにリザ殿は戦う気はないと申している。ここは折れるしかなさそうでござるな。


 「いいであろう、お茶ぐらいなら付き合うでござるよ」


 「あ、やった!!はいこれ、眼鏡返すわね。ここの近くに良いカフェがあるの、そこで話し合いましょ?」


 リザ殿は嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねた。そして、ふぅ・・・ようやく視界良好でござる、しかし、大分カロリーを消費してしまったな。おかげで脂肪分が吹き飛んだでござる。ここは食べねば・・・


 ・


 ・


 ・


 と、言う訳で俺とリザ殿は表通りにある喫茶店に向かった。ん?そう言えば何か忘れているような・・・まぁいいか。


 「麗沢君は何頼む?ここは私が奢るわ。いくらでも頼んでいいわ、私なりのあなたへの謝罪よ」


 「そう言うのならば、ここはお言葉に甘える事にしようぞ、では・・・」


 成程、カフェではあるがそこそこのメニューはそろっておるな。軽く前菜にサンドウィッチ、そしてエビとなすのトマトパスタ、サラダセット。メインに煮込みハンバーグ、後は仕方あるまい、デザートに抹茶パフェだけでよいだろう。だが全て超大盛でござるがな。


 一方リザ殿は・・・


 「なぬっ!?」


 「ここにあるもの全部くれる?あ、食後のコーヒーは最後にお願い」


 こんなことは初めてでござる・・・このテーブルの上にある料理の量が俺を軽く上回っただと?俺は確かに大食い選手権に出るほどの実力は無いにせよ、食べる量の多さには自信を持っていた。


 だがそのプライドが今音を立てて崩れ、粉々に砕け散り、チリも残らず消し飛んだでござる。


 「あ、ごめんね、私ばっかりこんなに頼んじゃって、これじゃお話出来ないわね。先に全部いただいてからにしましょ?」


 「う、うむ・・・冷めては元も子もなくなるでござるからな」


 「でしょ、流石麗沢君分かってるわね、食事中にずっと喋ってたらもったいないわよね。じゃあいただきまーす」


 「では俺もいただこう」





 ほ~、中々のうまさ。パスタは少し固めで太い、トマトソースによく絡む・・・む、このサンドウィッチ・・・


 「ごちそうさま」


 「ほあい!?」


 俺がようやくハンバーグの方に手を出した瞬間にはリザ殿はもうすべての料理を平らげていたでござる。あ、このハンバーグもふっくらしてジューシー。素晴らしい。


 いや、それよりも何というスピード。約1分の所業。3分ほどで拙者は食べ終わるだろうが、全ての料理を1分だとぅ!?こうしてはおられぬ、味わって食べ、なお高速で食べようぞ。


 ほろ苦い抹茶アイスが良いアクセントでござる。今度はほうじ茶パフェを頼もうか、ほうじ茶とミルクの相性は素晴らしいものがある、ここの腕前ならばよりそれを引き立ててくれそうでござるな。


 「ごちそうさまでござる」


 「あ、体型が元に戻ったわ・・・声も」


 これでカロリーは元に戻った。さて、対話を再開しようではないか。




 「さて、話の続きをしましょ、さっきも言ったけどあなたたちは私たちを誤解してるのよ。確かに何も言わずにあなたたちの命を危険に晒したのは悪い事だと思うわ。でも、そうでもしないとこの実験の成功は生み出せない」


 「不老不死の事でござるか・・・確かに、その技術が完成すれば拙者たちの世界の医療技術は一気に進歩するであろう。失敗は成功の母と言うように拙者個人は利用されたことに怒りは覚えぬ。拙者としても技術の完成は少し興味があるでござるからな。人の命を蔑ろにしたことにも、薄情とは思うが拙者や周辺が無事のせいか、まだあまり怒りの感情が沸かぬ。しかし、拙者が最も許せないのは不老不死の技術を戦いに用いろうとする考えでござる。魔法の力を、不老不死を向こうに持ち込めばこぞって技術を奪いたがる。やがて戦争が生まれる、その意味が分かってるのでござるか?」


 「えぇ、今のままでは死ぬことのない人間兵器たちが争って、不老不死の力が無い人、つまり弱い人間だけが死にゆく。そして金だけを持った権力者だけが生き残るわね。でもね麗沢君、あなたは少しラノベの読みすぎよ。その程度の事は誰も予想がつくに決まってるじゃない。その対策はもうやってるわ」


 むむ?リザ殿は魔法の力を戦争に用いる気はないと言うのでござるか?


 「対策とな?どんなものでござる?」


 「まだ秘密よ。ねぇ麗沢君、あなたこの世界はどう思う?」


 「どうって?どうでござる?」


 「感想よ。この世界に来て思った事」


 「感想・・・正直な話、向こうよりも居心地が良いと思ったでござる。三上殿の圧政のせいかこの世界の住人たちの心は1つ、出会った全ての人が平和を願い生きていたでござる。疑心暗鬼しかない向こうの世界よりも、ここの世界の人たちの心は温かかった」


 拙者自身、あまり言いたくは無かった事でござる。しかしそう思ってしまった。戦ったリーダーたちも、出会った住人達も、同じく熱い心を持っていたでござる。向こうのように冷めた者はいなかった。


 「そうね、でもきっとそれは三上君のせいじゃない。理由は1つ、この世界は1つだからよ。この世界は言語が日本語1つだけ、そして肌の色も上下の激しさもない。人間すべてを平等に見ているのよ、この世界は。


 私ね、国籍はロシアだけど生まれは違うのよ」


 リザ殿は思いつめた表情になっている気がする。優しく笑った顔ではあるが、妙に影を感じるでござる。


 「けど国の名前ももう思い出せないわ。地図からも歴史からも消されたから。どうしてかしらね、私たちの世界はどうして他人を認める事が出来ないのかしら。自分と違う文化は認めない。そして自分の都合の良いものに変える」


 「それが拙者たちの世界でござるよ」


 拙者はリザ殿の言葉に水を差した。


 「リザ殿、そなたの考えは向こうの世界もこの世界と同じように1つにしたい、その為にこの不老不死と魔法の力で拙者たちの世界に改革を起こす。そうでござろう?」


 「あら・・・よく分かってるのね、意外だわ。私たちって似た者同士なのかしら?だとしたら敵対する理由もないんじゃない?」


 「確かに、そうかもしれぬ。だが拙者とそなたでは掲げる正義というものがまるで違うでござるよ」


 「どういう事?」


 「そなたは世界を変えたい、その為にこの世界の力を手に入れたいと願っているでござる。まるで何かの物語の主人公のように素晴らしいものだと拙者は思うでござるよ。リザ殿のその気持ちは間違ってはいないと思っているでござる。


 しかし拙者にはそなたのように重たい過去を背負った事も、世界の事に何かを成し遂げたいと思ったことはない。拙者は日本で育ち、まぁ変人とは呼ばれはしたが、親にも愛され、親友と呼べるものも少なからずおる。それだけで十分なのでござるよ。拙者の守りたい世界は。


 リザ殿、拙者たちの生きる世界には主人公はいないのでござる。主人公は第3者が過去をみて決めるもの。今を生きるこの世界の主人公には誰もなれはしないのでござる。拙者は今あるこの世界のモブとして生きる。それが拙者なりの正義でござるよ」


 物語の主人公と言うのは誰もが憧れるもの、それを目指して生きるのは良いが、決して誰も成し遂げられはしない。誰かを導く革命のリーダーがいても、別の者から見ればそれは暴君に写る事もある。


 結局主人公を決めるのは拙者自身ではないのでござるよ。リザ殿の目的が完成しても、喜ぶものもいれば憎しみを生むものもいる。主人公は別の誰かにとってのラスボスでござる。


 「小さい世界で小さな幸せを感じればそれでいい。それがあなたの望む正義なのね」


 「そうでござる。それをリザ殿たちは、より大きな世界の為に踏みにじっているのでござる。大きくとも小さくとも、同じ世界でござる。拙者はこの小さな世界を守りたいのでござるよ。だから拙者とリザ殿は似た者同士であったとしても、決して相容れる事はないでござるよ」


 「あなたの世界を踏みにじった私たちとは戦う事は避けられないって事?」


 拙者はゆっくりと頷いた。妙に清々しい気分でござるな。敵であり、相容れぬ相手と分かっているのに、拙者はリザ殿を少し理解できたのがうれしいのでござるな。


 「そうでござる。だが、もし何かの運命がそなたらと分かり合える道があるとするのならば、拙者はその道を選びたいでござるよ」


 「平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ・・・」


 リザ殿はボソッと呟いた。少し笑いながら、この言葉に何か思い入れがあるのでござろうか。


 「それはどういう意味でござる?」


 「ディエゴが出かける前、小声でいつも言っている言葉よ。麗沢君はもうディエゴが記憶を支配できるのは知ってるのよね」


 「うむ」


 「その記憶を支配する彼が思い出せないのに、心に刻まれた言葉がこの言葉なの。知らないのに知っている言葉ってね」


 「良い言葉でござるな。だが少し悲しいでござる。平和を願うから闘うという風にも聞こえるでござるからな」


 「えぇ、戦いと平和は必ず両立する。誰かが戦うから平和である者がいる。私はそう捉えているわ」


 さてと、アウロの事も少しは分かった事だし・・・そろそろ。


 『すみません、ほうじ茶パフェ1つ』


 ハモった。拙者と同じ注文したのは、もちろんリザ殿でござった。


 「やっぱり、私たち似た者同士かもね。運命感じるわ~」


 「そうかもしれぬな」


 「じゃあこの後ホテルに・・・」


 「全力で遠慮する!!」


 ・


 ・


 ・


 その後は他愛のない会話をして、ほうじ茶パフェを一瞬で平らげ、店を出た。


 「・・・結構時間経ったわね。あれ?そう言えば私何のためにここに来たんだっけ・・・」


 「お、そう言えば拙者も・・・」


 何のためにここに来たんだっけの?


 あ、イーサン殿・・・それにもうライブが終わってる時間でござるな・・・ま、まずいでござる。


 「やっば~・・・」

 

 「イーサンに怒られる!!」 

 「アリア殿たちが心配してるでござる!!」


 拙者たちは別々の方向に走った。


 「あ!!もし一番の願いが叶うのなら!!今度はちゃんとデートしましょ!!」


 「うむ!!!むっ??」


 去り際にリザ殿が何か言って、拙者は思わず了承してしまったが・・・今デートと言ったでござるか?


 ま、まぁいい・・・聞き間違いでござろう、今度会う時は敵同士でござる。


 



 「あ!!いたよアリアちゃん!!」


 「どこ行ってましたの?心配したのですよ?」


 案の定アリア殿たちは拙者を探していたようでござる


 「す、すまぬ」


 「イーサンも戻ってきたと思ったらすぐいなくなるし・・・」


 「それで聞き込みをしていたのですが、レイサワ様?どうやら女性の方とカフェにいたとの情報がありますが・・・どういう事でございますか?」


 ぞくぅ・・・なんだか。アリア殿のまっすぐな視線で背筋が凍るでござる。拙者とくにやましいことはしてないでござるよ?


 「いや、まぁその・・・調査というか、でござるが」

 

 「調査?なんの?」


 シャンデラ殿はきょとんとした顔で、聞き返したが・・・


 「そうですか、捜査なら仕方ありませんわね・・・」


 何故か含み笑いをしたままアリア殿は引き下がったでござる。ふぅ助かった・・・


 「ですが、次はわたくしも捜査に協力させてくださいな?こんどは、わたくしも 一緒ですわよ・・・」


 ひえぇ・・・

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