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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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永零 異世界のトラウマ

 礼たちは異世輝國と和一文字の二振りの天石の刀を手にし動き出す。

 「ねぇ、今度はどこに行くの?」


 僕は礼に次の行先を聞いてみた。とりあえずここに来たのは武器を手に入れるため。その後はその敵のとこに行くって言ってたけど・・・詳しい場所は知らない。


 「うーん、アウロの拠点がフロンティアのどこかってのは間違いなさそうなんだけど・・・実際のところ僕自身もまだ、はっきりと敵のアジトはつきとめてないんだ。だからとりあえず、セレスに行こうと思ってるんだ。セレスってのはこの国とは違うエイドって国の首都ね。ま、国はもう1つに統合されてるからアダムス連合王国、エイド地方北 セレスティアル オブ ルピナスってのが本当の名前なんだけど」


 セレスね、うーんここも聞き覚えがある気がするなぁ・・・デジャブなのかな。それともただの勘違いかなぁ。全く聞いたことないけど聞いたことがある気がする事って意外とあるし。


 「そのセレスには何があるの?」


 「うん、あそこ周辺に詳しい情報屋がいるんだけど・・・」


 礼は突然口ごもった。なんでか視線を下に向けている。


 「あの人ねー、女の人しか通してくれないんだよぉ。前に行った時礼兄ちゃん門前払いされて、代わりにグレイシアに行かせようとしたんだけどさ・・・プククっ」


 フォックスは突然思い出したように笑いだした。


 「何かあったの?」


 「それが、グレイシアがさ、なんか嫌だって言ってさぁ、どっか行っちゃったのよ。そんで戻って来たと思ったら・・・あ~、ダメだ、礼兄ちゃん、続きは本人の口からどうぞ~」


 何があったんだろ・・・すんごい気になる。でも、礼に今聞いたらすごく怒りそうな感じだし・・・あーもう、気になる!


 「ねぇ、礼・・・教えてくれる?」


 「・・・あんましあの時の事は言いたくないんだけどさ・・・」


 やった、礼は男だから無理だと思ってたけど、キラキラ上目遣い成功。なんでか分からないけど、みんなこうやって聞くとどうしてか教えてくれるんだよね。


 「女装した・・・」


 「はい?」


 「グレイシアが女の子用の服を買ってきて、僕の身ぐるみ剥いで、フォックスと共謀して押さえつけられて・・・あぁ、もうあの時の事はこれ以上は言えないっ!!」

 

 礼は悶えだした。相当恥ずかしい目にあったみたいだ・・・女装か、礼なら結構似合うんじゃないかな。背格好も割と華奢だし。僕も写真の撮影の時、やった事あったしね。恥ずかしかったけど、ちょっと楽しかったけどなぁ。


 「あれ?でも、またそこに行くんだよね・・・って事は」


 「またおいらのプロデュースさね!!礼兄ちゃん、覚悟しといてね~。おいらが行ってもいいけど、絶対おいらじゃ忘れちゃうし~」


 フォックスは出来ないと言ってる。フォックスは人間の姿になれるけど、この目は面白半分で礼に女装させようとしてる目だ。


 「・・・あ゛ー!!それもう言わないでよ!!あの時2度とやるもんかって思ったもん!!おかげで、あいつに目付けられたし・・・僕なら男でもいけるとか言い出してたし・・・あ~・・・」


 やっぱ相当いやだったみたいだね。聞かない方が良かったのかなぁ・・・あ、そうだ。


 「じゃあさ、今度は僕も一緒に行くよ。女装なら何度か撮影でやってるんだ。2人ならきっと大丈夫だよ。みんなでやれば怖くない!」


 そうだよ、1人でやるから駄目なのであって、僕も一緒にやればきっとうまくやれるよ。多分・・・


 「うん・・・ありがと永零。でもさ、まだ不安定要素があるんだよ」 


 「まだ何かあった?」


 「今僕たちはひっそりと行動してるから、服を買おうにも店に寄る訳にはいかない。フォックスが行ってもファッションセンスは皆無だし」


 「なにをー!!おいらのファッションセンス舐めるなよぅ!!この間ファッションショーでマイナス百点出したんだぞ!」


 何をどうやったらそんな点数になるの?


 「だから出させてもらってないんじゃん・・・ていうかそれで出禁にされてたよお前。ってな感じのレベルなのよ。かと言って僕が縫ってもいいけど、僕じゃ刺繍をやるのが精一杯で・・・」


 刺繍って・・・主婦か。それが出来る時点で大分スペック高いね礼って。僕はまともに服を縫うなんてやった事ないし、ミシンの使い方なんて全く知らない。


 「困ったね・・・」


 「うん。こうなったらいっそのこと力ずくで・・・あ、でも駄目だ。そんな派手な動き見せたら一発でアウトだ・・・」


 礼がなんか怖い事言ってる。


 「誰か、つてはないの?周囲の信用できる友達とか」


 「うーん・・・僕の周りは大体敵だらけだし、グレイシアには会う訳にはいかないし・・・こんな事でアレをやるわけにはいかないしなぁ」


 礼の話を聞く限りだと、ともかく礼の周りにはやってくれそうな人はいないみたい。礼って友達少ないのかなぁ。そんな風には見えないけど。


 「あ、シィズはどう!?シィズならさぁ、やってくれるんじゃなぁい?」


 フォックスは閃いた、おいらって天才みたいな顔で言い放った。


 「あ~、そういやこのコートはシィズが縫ったんだっけ。確かに、彼女なら可能かも。だけど・・・」


 「だけど?」


 「彼女にそれ言ったら、絶対にネタにされる・・・写真撮られて永久保存される・・・」

 

 「今はそんな事で悩んでる場合じゃな~い!!」


 うん、これにはフォックスの言う通りかも。それしか方法がないなら、それで行くべきでしょ。


 「大丈夫。僕が付いてるって」


 とにかく今は励ますしか出来ないね。そんなに女装するの嫌なの?


 「う~・・・分かったよ。シィズだけは連絡手段があるから。それしかないよね」


 礼は無線機で、そのシィズって人と連絡を取った。


 ・

 

 ・


 ・


 「どうだったの?」


 「セレスで待ち合わせ。あ~・・・あのテンションの上がり方、嫌な予感するなぁ。お代はいらないから代わりに1つだけお願い聞いてとか言ってたよぉ・・・」


 シィズってどんな人なんだろ。なんだか僕も少し不安になって来た。


 「まぁた、それ着て写真撮るんじゃないの~?ほら、結構前に礼兄ちゃんの風呂上がりの写真さぁ、めっちゃ売れたじゃん。あのグレイシアがシィズ呼び込んで撮ったやつ。グレイシアとシィズの合作の写真集に入ってた」


 「あ゛っーーーー!!思い出させないでよ!!」


 風呂上がりの写真って・・・パパラッチ的な?ますます嫌な予感が、寒気が。礼が嫌がってた理由が徐々に分かって気がする。自分で言った手前、もう後戻りできないけど・・・なんだか怖くなって来た。


 「と、兎に角どうなるか分からないけど、行かなきゃ始まらないでしょ?行こ?」


 僕はバイクのサイドカーに乗って、促した。フォックスもキツネの姿になって僕の膝に乗る。


 「あぁ、地獄の旅の始まりだぁ」


 と言っても、慣れた手つきでバイクにまたがり発進させた。


 あれ?待てよ?礼って外見年齢は僕とほとんど同じに見えるけど、免許持ってるの?僕まだ12歳だけど・・・


 「ねぇ礼、礼ってさ、今何歳なの?」


 「僕?今は・・・えっと、40だっけ」


 僕は静止した。今しれっととんでもない年齢言わなかった?なんかこう、加齢臭しそうな年齢を・・・


 「・・・あ、いや、この世界って零祖細胞って言うのがあってさ、それの影響だと思うの。僕が最初ここに来たのは20歳の時だったんだけど、それから一週間でこの姿になってったのね。ここの世界に着た者はきっと、自分にとって一番身体能力を発揮できる年齢に若返るみたいなんだ。僕の場合はこの12~13歳前後みたいでさ・・・」


 その後も少し礼の説明は続いた。けど、半分以上はもはや聞いてなかった。おっさん・・・僕の中でその言葉がずっと頭の中を回ってる。礼は40代の、おっさん・・・


 「それでさ、フォックスの年齢は・・・いくつになるんだっけ?」


 「おいらは・・・数えてないから分かんないけど、礼兄ちゃん会ってから20年は経ったよぉ?」


 「だったら521ぐらいか、もうそんなに経つんだね」


 へ? 


 「今、何歳って言った?ごひゃ・・・」


 「521歳、フォックスはどういう訳かこんなにも長い間ここの世界で生きてるんだ。そんなに生きてるのに全然精神も成長してないけどねぇ」


 「なにをー!おいらは立派な大人だぃ!!」


 うーん、子供っぽい性格なら、礼も引けを取ってない気がするよ。なんなの?この世界に来ると頭が幼児退行しちゃうの?それともこの2人が特別なだけ?


 もう、訳わかんないや。とりあえず言えるのは、おっさんの女装だからだよね・・・あんなに嫌がってたのは。多分だけど。


 

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