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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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麗沢 カラスの導き

 麗沢は道中、バケモノと遭遇するが彼の機転によりバケモノを調理してその場を凌ぐ。

 拙者たちは現在移動中。今は荒野から幹線道路らしい道に出て、遠くには大きな街が見えてきたところでござる。


 「お?あそこは見たことがないでござるな」


 「あそこは国防庁があるアダムス第2の都市。コールド地区、ヘキサウラ市。かつてバケモノからこの国を守る時に作られた壁の始まりの場所だ」


 その街は街というよりも、要塞に見える感じでござる。かつての戦争の名残でござろうか。


 「で、あそこに何故向かってるのでござる?」


 「私たちのライブ。今日あそこのドームでライブがあるの。シャルロットちゃんがいないから少し寂しいけど、それでも一応私たちにもファンはいる。それには応えなきゃ」


 「それにシャルロットの事、ファンのみんなも聞きたがってるはずです、真実を伝える事は出来ませんが、少しの間ファンの皆様を落ち着かせる事ぐらいは出来ますわ。スタッフたちはもう現地入りしているはずです」


 シャンデラ殿とアリア殿が丁寧に教えて下さったでござる。成程、むやみに動いてるわけではないのでござったか。


 「それと、私の方も少し呼び出されてね、落ち合う場所があそこなんだ」


 「む?アウロの者とでござるか?」


 「うん、アウロ内の完全覚醒者の一人、ウラジーミル エチナヴァナ リザヴェノフ。彼女が少し私に用事があるらしい。なんでも直接伝えたいことがあるとか」


 む?なんであったか・・・その名前、少し聞き覚えがあるような気が。


 「そうであったか、イーサン殿。その会話、盗み聞きしてもよろしいか?なに、陰に徹することは慣れているでござる!」


 「そうか・・・リスクはあるが、百聞は一見に如かずと言った所か。現地に着いたら私についてきてくれるかい?」


 「イエッサーでござる!!」


 あー・・・なんであったか、ウラジーミル リザヴェノフ・・・どこかで会ったような気が。


 ・

 

 ・


 ・


 あと数十分もすれば着く頃でござろうか。


 「あれ?イーサンあれってヒッチハイク?」


 シャンデラ殿が前方を指さした。


 「あれは・・・まさか」


 「何なんでしょうか・・・ヒッチハイクにしては変な恰好をしてらっしゃるわね、ドレス?」


 イーサンが冷や汗をかき始めた。む、彼奴はまさかアウロのメンバーか?


 拙者も前方を眺めた、あれはなんでござる?舞踏会の仮面を付けて、真っ黒なワンピースのドレスを着た女の子。うむ、変でござる。


 「みんなちょっと捕まって」


 イーサンは冷静な声になって全員に告げた。そして・・・


 「お~!ピーちゃんよ~!!丁度いいとこに・・・」


 『ドッカンコ!!』


 あろうことかイーサンはその子をスピードを緩めず跳ね飛ばした。

 

 「ちょ!おま!!!今人轢いた!!で!ございまするか!?」


 「言葉が間違っているような・・・まいっか。いや問題ないよ麗沢君。ちょうど誰も走ってなかったし、監視カメラはここにはない」


 イーサン殿は何食わぬ顔で走っている。


 「いやいや!!ちょっと変な恰好してたけど、あれはまずいよ!!」


 シャンデラ殿の言う通りでござる。流石にひき逃げはマズいでござるよ。


 「そうだぞピーちゃん!ひき逃げ良くない!!」


 うむ!!その通り・・・って んん゛!?


 窓の外に・・・引っかかってる・・・


 「うおわああああああああ!!?」

 「ひゃあ!!」


 拙者とアリア殿が同時に叫んだ。いつもお淑やかにしているアリア殿が珍しく表情を崩した。しかし拙者それどころではない。窓の外に子供が張り付いている。そこに驚き叫んでいた、拙者、ホラー的展開は嫌いでござるよ・・・ホラゲは得意でござるが・・・


 「いいからちょっと止めてよ~」


 「いや止まったらまた何しでかすか分かったもんじゃない。私はあまりお前に関わりたくないんだ」


 「ピーちゃんのいけずぅ。っていうかあのさ・・・マジできつくなって来たからお願い止めて?腕もうプルプルしてきたから・・・何もしないからさ、ね?」


 「みんな掴まって」


 イーサン殿は急ブレーキをかけた。


 「うお!」


 「あはひゃーーーい!!」

 

 そしてその子はすっ飛んでった。


 「ちょっと話付けてくる」


 「は、はぁ・・・」


 イーサン殿は車から降り、その子の元に向かった。


 「もぅ!酷いじゃんどいつもこいつも~!!あたしが一体何したって言うのさ!!」


 「いやお前相当やらかしてるからな?前にも一緒にかくれんぼしようぜとか言って、アイシーの部屋に入り込んだ挙句。そのアイシーを外に出すわ、ビーストも外に出して基地内に被害をもたらすわ碌な事してないぞ?そしてその後始末はいつも私がやらされていたんだが!?」


 「あ~、いや~あれはその何というかですね~。ちょいと複雑な理由がありまして・・・それよりもさピーちゃんよぉ」


 「なんだ?」


 「ごめん、なんか食べ物ちょうだい・・・腹減って動けんのよ~・・・」


 その子はへな~っと地面に倒れてった。


 「お前食べ物無くても平気なはずだろ」


 「確かに死なないけどさ~、腹は減るんだよ~。ピーちゃん探すのに三日三晩飲まず食わずだったんだよ?」


 「だが生憎私は何も持ってない」


 「え~・・・おなかすいた!!」


 「叫ぶ元気があるなら大丈夫だろ・・・」


 「腹減った!腹減った!なんでもいいからくれ!!」


 す・・・


 「お!!」


 拙者は思わず手元にあった魚肉ソーセージを渡していた。


 「このままでは埒が明かぬ・・・これで我慢せよ」


 「おー!!麗沢っちありがと~!魚肉ソーセージはあたしの大好物だ~!!正直な話、あたしはするめやチー鱈よりも酒には魚肉ソーセージが一番だと思うんだよね~」


 この子はそう言うと魚肉ソーセージを一気に食べきった。因みにこの魚肉ソーセージは先ほど休憩していた時に購入したものでござる。何か料理に使えると思ってな。


 「はや~、ごっそさん!!」


 「で、用件は何だカラスちゃん?」


 「あ、そうだった!!単刀直入に言う。麗沢っち、アウロの仲間になってくんない?」


 本当に単刀直入に言ってきたでござる。ふむ、こうなったら。


 「ほぉ、で、拙者たちがそなたらの仲間になる事でメリットはあるのでござるか?」


 「とりあえず身の回りの保証は確実だと思うよー。アウロってのはあくまでもこの世界を研究してる組織。まぁ、やっちゃいけないようなこともやってるけど、君たちとは敵対したくないってのが本音みたいだね、覚醒に至った事で経過観察は終了してるようなもんだし、実験は段階を上げたから、君たちを元の世界へ帰そうってのが・・・あ、これ以上は言っちゃダメだった」


 「ふむ、では本当に拙者たちは元の世界へ戻れるのでござるか?」


 「だね、この世界の事を口外することは禁じられるだろうけど、アフターケアはばっちりやってくれるらしいよ~」


 「成程、それは良い提案でござるな。零羅殿も、先輩もこれ以上戦う必要はないという事でござるか」


 「お!早速交渉成立?」

 「だが断る」


 「ナ!なにゅですと!?」


 ふぅ、このセリフ一度言ってみたかったのでござる。さて続きは・・・


 「この麗沢 弾が最も好きな事のひとつは、自分で最も強いと思ってる奴に『NO』と断ってやる・・」

 「昨今のジョ〇ョネタはもう飽きられてるよ~」


 ぐぬ、最後まで言えなかったか・・・まぁいい、あのセリフは言えた。


 「ともかく、その答えをやるにはまずそなたから名乗ったらどうなのでござる?拙者の名は麗沢 弾」


 「そしてレイダースと言うネット上の別の名前を持っている。主にラノベから得た知識を元にオリジナル作品を去年のコミケで出した結果、割と売れたみたいだね~。サクラッチの協力もあってね」


 ぬ・・・何故、そのことまで、こやつ一体何者。


 「あれ、空気変わっちゃったかね。まぁいいじゃんそんな事。あたしは何でも見通してるの。じゃ、次はあたしの自己紹介。あたしはカラスちゃんって呼ばれてるの。そしてここに来た理由は君たちをアウロに引き入れる事。あたしはその仲介を頼まれたって訳。つまりあたしは仲介者。アウロに有益にも不利益にもなるようなこともしなければ、君たちに有利にも不利にもなるようなこともしない。言われたことをそのまま伝える、それがあたしの役目。つまりピーちゃんがアウロを裏切ってるって事も向こうには口外しないって言えば納得できる?」


 そう言えば、この子は「あたしたちの仲間になれ」とは言わなかったでござるな。あくまでも第3者という事であるか・・・


 「そなたの役目は分かったでござる。だが目は口程に物を言う。その仮面を取らねば交渉は出来かねぬ」


 「ん?ぁあいいよ?」


 カラスちゃんは、普通に その仮面をひょいと取った。


 「えっ!?取ったぁ!?」


 イーサン殿は今まで取ったことが無かったかのような反応を見せた。これは非常にレアなケースという事でござるか。


 そして仮面を取ったその姿は・・・まぁ、可愛らしい女の子と言えばよいのでござろうか。ただ、目の色が左右で違う、いわゆるオッドアイと呼ばれるという特徴があるだけで・・・あっと驚くような展開ではなかったでござる。


 「いや~、あたしとしてはこの仮面わさわさして嫌いなのよね~。びりりんとかあのバカギツネはただの中二病で付けてるだけだし。大体なんであたしまで付けてんのさ」


 「いや、それ君がかっこいいからってド〇キで買ってたじゃないか・・・」


 「あれ、あ、そうだったっけ~。ってか違うよこれ。ド〇キじゃなくて、ダ〇ソーだわね。前に付けてた奴がド〇キのやつだよー。さてと、あたしも仮面は取った。答えをお聞かせくだせぇ」


 うむ、この子は多少変人なのかもしれないが、それは拙者も同じこと。だが、正直者である事は確かなようでござる。答えは出た。


 「答えはNO。拙者たちは既に戦う決意を決めていたでござる。確かに、そなたらの仲間になれば拙者たちの周囲を守れるであろう。しかし、拙者たちを支えてくれたこの世界の人たちを捨て去る事になる。そんんな薄情な真似は拙者には出来ぬ」


 これが拙者の答え。先輩も同じこと言うであろう。拙者たちはこの世界に触れた。故に守りたいと願うようになった、この世界を。


 「やっぱ駄目だよね~、あたしとしてはあんまり揉め事は面倒だからやりたくないんだけど、そう伝えるわね。  


 にしても、こうなるって分かってるってのに、あの馬鹿上層部連中ときたら、ちょ~っとやられただけで自分の身可愛さから君たちを仲間に引き入れろ~だなんて、そんな都合の良い話があるかね?ね、麗沢っち」


 む、この子の言う事を整理すると、アウロは更に上層部という存在があるという事でござるか。


 「あ、また言い過ぎた。あ~、あいつら多分この結果には納得しないだろうからな~・・・とりあえず麗沢っちはNOと。さて、まだ色んなとこ周らないといけねぇや。無駄だろうけど、あたしはあたしの役目を果たすかね。


 ほいじゃね~、あ、そうだ。麗沢っちには有利なこと言っちゃったから不利な事も一個。『あそこは堕ちた』じゃぁね~」


 「え、あ!ちょ!!どういう事でござるか!?」


 カラスちゃんは、風に乗って舞い上がり姿を消したでござる。


 「結局、何がしたかったんだ?あいつは・・・」


 ・


 ・


 ・


 さて・・・そんなこんなで、ヘキサウラに到着した拙者らイーサン一行。シャンデラ殿とアリア殿は会場へと向かい、イーサン殿はプロデューサーとしての仕事を一通り終えた後、拙者と合流した。ここはまだアウロの監視が厳しいという事で拙者は適当に変装し、監視のない場所で待機。


 そして街角の裏路地へと向かいそこでまた待機していたのでござる。どうもここの裏が待ち合わせ場所らしい。拙者は三上殿ほど聴力は優れてはおらぬが、まぁこの程度の距離なら会話は聞こえるでござる。


 そろそろ時間でござるな・・・む?誰か来たようでござるな。


 「あら、先に来てたのね。イーサンあのさ、アイシーどこに行ったか知らない?部屋からいなくなってるみたい・・・」


 「お?」


 「あら?もしかして・・・麗沢 弾?」


 オゥ マィ ガァ・・・


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