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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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馬と鹿 グレイスフルヴィラン

 ポーカーの勝負は紅の圧勝だった。だがその中で出会った人物、メリーヌが永零ともう一度会おうと囁く。


 一方特急はスロットで大負けしていた。

 俺は仕方なく、すっからかんのトクの為に暇つぶしも兼ねてまたカジノで稼いでいた。


 「いや~、イッチー助かったよぉ~。まさか施設丸ごとくれるなんてね、紅さん太っ腹~。それにイッチーも紅さんに勝っただなんて凄いじゃん!」


 「いや、勝負には負けたぜ。負けるのが勝ちだって事に気が付けなくてな。というかトク、しばらく紅は仕事で会えねぇとよ」


 「ふぅあ!?」


 期待通りの間抜け面だ。そんなに好きなのか?紅の事・・・にしても、写真撮りてぇーなこの顔。魂が抜けるってこんな感じなんかね。


 「ひどいよー、言ってくれればお見送りしたのにー!!っていうかイッチー!?今紅さんのこと呼び捨てにしてなかった!?俺まだ名前で呼ばれてない!!」


 「知らねぇよ、んな事。今度会ったら呼べばいいじゃん」


 「え~、それまで待てねぇよぉ・・・」


 「ま、待てようが待てまいが、どちらにせよしばらくは会えねぇぜ。後はこの世界で気ままにやってろってさ」


 「う~・・・」


 トクはしばらく落ち込んでいた。そして時刻がそろそろ深夜12時になろうとしていた。


 「あ、そういやメリーヌが12時に会うとか言ってたな・・・どこに行きゃいいんだ?」


 「あ、どこ行くの!イッチー!!」


 「外の空気吸いに行くだけだ」


 俺はとりあえずカジノの外に出た。それと同時に時刻は12時を告げた。


 「やぁ」


 後ろから声がかけられた。男の声だ、振り向くとやはり若い男が立っていた。


 「あ?だれだよ兄ちゃんよ?」


 トクが嫌そうに男に言い寄った。


 「メリーヌなのか?」


 「正解だ、よく分かったね」


 いや分かったも何も、それしか考えられないだろ・・・でも、こいつさっきはスタイルも完全に女性だったのに、今は完全に男だ。腕の血管の浮き出方もさっきとはまるで違う。


 「お前、結局性別どっちなんだ?」


 「知ってるのは俺一人だけ。さっきの方が良かったか?あの姿スタイルいいもんね、君ああゆうのが好み?」


 「いや別に?」


 「へぇー、意外とストイックなんだな。まぁいい、こっちに来てくれ紹介したい人がいるんだ」


 俺はメリーヌについていこうとしたが、


 「ちょいちょい!!イッチー!!あのさ普通に話してるけど、こいつ誰!?さっきいた!?」


 「あぁ、あの紳士ぶってたジジイいたじゃん、あいつだぜ?こいつ」


 「へ!?」


 「うふふ、よろしくね、トクちゃん」


 顔は男のまま女の声でトクに言い放った。その顔でその声はきもいな・・・


 「それよりも、合わせたい人って誰なんだよ。良い子はもう寝てる時間なんだぜ?」


 「君は良い子ではないだろ?」


 まぁな、補導された数は数えきれねぇし。







 俺たちは少し歩き、細道に入った。そして入り組んだ道を進み、奥にある小さな小屋のようなものに辿り着いた。


 「さぁどうぞ、彼女が待ってる」


 彼女?女なのか?俺に会いたいって言うのは・・・俺は小屋のドアを開けた。少し薄暗い部屋の中。


 俺はしばらく固まっていた。


 「初めまして、バクロ イッチョウに、オガ トク。私はグレイシア ダスト・・・この世界にようこそって言うべきかな」


 そこにいたのはひざ下まであるトレンチコートを身に着け、エメラルドグリーンに近い青色の中に真っ赤な色の髪を持った女性がいた。


 「うわ!すっげぇ美人!!」


 後ろから身を乗り出してきたトクが率直な感想を言っている。


 「・・・で、グレイシアさんだったか?あんた何者なんだ?」


 「あなたたちの敵だから、この世界の事は彼らから聞いているでしょ?」


 彼ら?あぁ、紅とエファナの事か・・・


 「うん!ゲームの世界なんでしょ?グレイシアさん敵って事は何?悪の組織の幹部的な?」


 「ちょっと違うから、この世界に関しての危険性はもう知ってる?」


 「あ、あぁ・・・一応はな」


 「この世界は現実味がありすぎるから、無茶をすれば死ぬ」


 「知ってるよそんな事、何となくだけどね。で、グレイシアさんは俺たちにどうしてほしいの?ゲームをやめろって?」


 「それも違う、私はあなたたちのサポートをするだけ、私の目的はこのゲームを作るのをやめされることだから、あなたたちにはこの事で巻き込む気はない。ただ、この世界には危険な場所も多いから・・・君たちが安全に楽しくしてくれればそれでいい。だから少し、そのデバイス見せてくれる?」


 俺は無言で差し出した。


 「そう言えば危険だからやめさせようとしてる動きがあるって言ってたなぁ。はいどうぞ・・・ってうぇえ!?グレイシアさんレベル90!?あなたも業者の人かなんかなの!?てっきりNPCかと思ってた・・・」


 「というより、彼らにとってはバグのようなものだよ私は。もともと私はこの世界にいる。うん、これでいい。これでいつでも私とも連絡を取れるようにしておいたから、困ったら連絡して、いつでも出れるから」


 俺は再び受け取った。


 「へぇー、俺コンピュータの事全然分かんないけど、にしてもリアリティすげぇなぁ。な、イッチー。イッチー?」


 「あ、あ?なんだよ」


 「なにボーっとしてるの?この世界ってやっぱすげぇんだなって話」


 「あぁ、その事か・・・確かに、そうかもな」


 「?」


 「じゃあ、私はそろそろ行くから、君たちも気を付けて・・・」


 「あ、あぁ・・・」


 グレイシアは一人、姿を消した。


 「いやー、すっげぇ美人だったねイッチー、なんつうの?くーるびゅーてぃーってやつ?っておーい!イッチー!!」


 「・・・・・・まさか、一兆君。グレイシアに惚れちゃった?」


 「・・・!」


 俺はメリーヌの言葉で思わず体をビクッとさせてしまった。


 「ぇえ!?イッチーああゆうの好きだったの!?」


 「う、うるせぇな・・・ぶん殴るぞ」


 やべ、頭捻ってもこんな言葉しか出てこねぇ。


 正直今俺はよく分からねぇ気分になってる。俺は女なんてだいたい同じだと思ってた、俺の周りの奴らは特にかわいくもねぇのに、自分を可愛いと思い込んでる奴らばかりだった。


 だけど、俺はグレイシアを見た瞬間から、ずっと動けなかった、視線をずらす事が出来なかった。


 これが一目惚れってやつなのか?よくわかんねぇけど、とりあえず俺はずっとグレイシアに見惚れていたことだけは分かった。


 「グレイシア綺麗だからね、そうだ、今度デートでも組んであげよっか?それくらいなら彼女、すんなりオッケー出してくれると思うよ?」


 「い、いらねぇ世話だ!」


 こいつ、俺をいじるネタを思いつきやがって・・・


 「いや、驚いたねぇ。まさかイッチーの好みがああゆうクールな人だっただなんてねぇ、クスクス・・・」




 ぶち・・・ボカ!ドカ!バキ!ドキュ!メキョン!!


 


 「いい加減にしねぇと殴るぜ?」


 「なふっへからいわはいへよ・・・・」


 とりあえず、調子に乗る前にトクはボコっといた。


 「じゃ、俺の方も役目は終わった。君たちはこれからどうする気?」


 「ぶらぶらするだけだぜ、カジノが手に入ってんだ。そうだな、何やってもいいんなら世界乗っ取ってみるのもありなのか?」


 「ふっ・・・ストイックに見せかけといて、意外と強欲だね。でも、嫌いじゃないぜそう言うの。だったらアドバイスだ、この世界を手に入れたいんだったら、もっと強くならなきゃね、そうだな、レベルが80超えてこないと難しいかもね。フロンティア地域の方に行ってみたらどうだ?あそこなら害獣もうじゃうじゃいるし、盗賊も多い。強くなるにはもってこいの場所だ」


 フロンティア・・・確か、俺が最初に来たところから更に奥に進んだところがそう言う名前だったな。あそこならあの変な怪物もいたし、他にもいろんなのがいるみたいだ。楽しそうだから行ってみるか。


 「意外と面白そうだな。俺ゲームはレベル上げて一気に潰すのが好きだからな。トク、そっち行くぜ」


 「ふぁ~い」


 「ふ、じゃあ気を付けてね。彼らにも・・・また機会があったらギャンブルで勝負しようじゃないか。じゃ、俺はこれで」


 メリーヌも一瞬でどこかに消え去った。


 「行くぜトク」


 「ほーい!」


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 「グレイシア、よかったのか?あの子らにこの世界の事を伝えなくて。あんたが奴らの無線を傍受して、この世界にゲームプレイヤーとして来る者がいるって知ったのはいいけど、なんで奴らなんかに合わせたんだ?」


 「これ以上、巻き込むわけにいかないから。あの子たちはこの世界をゲームとして認識し続ければいい」


 「ふぅん、だけど、奴ら何しでかすかわかんないぜ?それにビースト化の事もあるんだ」


 「その点も問題ない、いや、問題大有りなのかもね。あの子たちは彼らにとっては実験の最終段階のようなものだから」


 「どういう事だよ、まさか不老不死の実験が完成間近って事なのか?」


 「いや、そこまでは行ってない。あの子たちは覚醒を安全に安定して行うためにこの世界に飛ばされてきた。この世界をゲームの世界としてね。そしてあのデバイスは精神の状態を図る装置でもあった、つまり彼らは覚醒をより簡単により確実に行うためにあの子たちを使っている。


 その実験を完全にこなすには、あの子たちにはこの世界が仮想であるという建前が必用になって来る、実験の第二段階、つまり安定した覚醒に入る前にビーストにならないためにね。この世界が仮想だという認識を植え付けていれば、死の恐怖があの子たちを支配することはない」


 「成程ね、この世界が現実だと知れば恐怖は直接襲ってくるってか、奴らに合わせたのはその為ね。優しいねぇ氷の女王様は。三上だったら絶対に巻き込んでるんじゃないか?」


 「かもね。だけどレイなら、絶対に守り通すから。私にはその自信が無いし、力もない」


 「・・・さてと、そろそろ俺の方も準備するか」


 「えぇメリーヌ、お願いする。これで、ようやく敵の尻尾を掴める・・・今度は離さないから」


 「だな。これでようやく俺も、奴らに復讐を果たせる・・・」


 「今回、あの子たちに接触できたことで恐らく彼らは気が付いた。彼らは私を追って来る・・・」


 「あぁ・・・奴ら、あんたの事を滅茶苦茶危険視してるからな。だからこそ逆にチャンスだ、奴らが動くという事は・・・」


 「彼らに辿り着ける、最大の機会・・・」


 「行くよ、グレイシア、覚悟は出来てるよな?」


 「うん、メリーヌも覚悟はいい?」


 「あんたが生まれる前から出来てるさ」

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