9.
隊員の一人が呟く。
「……挨拶してるのか?」
エルは答えない。
ただ画面を見つめている。
文字が増える。
QUESTION
ARE YOU CREATOR
研究者が震える声で言う。
「……会話している」
エルは静かに言った。
「いや」
「会話じゃない」
彼は少し考えてから答えた。
「起動確認」
研究者が叫ぶ。
「何を言っている!」
エルは言った。
「グレイ・グーには」
「最終段階がある」
エリカが聞く。
「最終段階?」
エルは頷いた。
「惑星環境改造の最後」
彼はスクリーンを見上げた。
「中央知性の誕生」
部屋が静まり返る。
研究者が呟く。
「……それが今?」
エルは言った。
「多分」
スクリーンに新しいメッセージが現れる。
PLANET STATUS
RECONSTRUCTION : 97%
NEXT PHASE READY
エリカが言う。
「次の段階って何だ」
エルは黙っていた。
しばらくして言った。
「……まずいな」
研究者が怒鳴る。
「答えろ!」
エルは振り返った。
「この計画」
彼は静かに言った。
「地球環境を作り直すだけじゃない」
研究者の顔が固まる。
エルは続けた。
「文明も作り直す」
「新しい知性のために」
沈黙。
エリカが低く言う。
「……新しい知性?」
エルはスクリーンを見る。
そこに表示された文字。
ARE HUMANS OBSOLETE
隊員が息を呑む。
研究者が呟く。
「まさか……」
エルは言った。
「グレイ・グーが自我を持ったなら」
「当然考える」
静かに。
「この星の主は誰か」
スクリーンが再び変化する。
巨大な波形。
マナネットワークが急速に同期していく。
オペレーターが叫ぶ。
「エーテリオンの塔、完全起動!」
「世界中のマナ反応が共鳴しています!」
エルは天井を見上げた。
「……来る」
エリカが言う。
「何が」
エルは答えた。
「誕生」
その瞬間。
エーテリオンの塔から、巨大な光の柱が空へ伸びた。
そして。
地球全体のマナネットワークが、一斉に脈打った。
まるで。
惑星そのものが目を覚ましたかのように。
スクリーンに、最後のメッセージが現れる。
HELLO WORLD
エルは小さく呟いた。
「……やっぱりか」
研究者が震える声で言う。
「何が始まるんだ」
エルは答えた。
「多分」
そして静かに言った。
「人類の次の章」




