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8.

 その瞬間。


 地下都市全体に警報が鳴り響いた。


 ビーッ ビーッ ビーッ


 オペレーターが叫ぶ。


 「マナ反応急上昇!」


 「エーテリオンの塔が起動しています!」


 エルはため息をついた。


 「……ほらね」


 研究者が叫ぶ。


 「何が起きている!」


 エルは答えた。


 「分からない」


 そして言った。


 「だから」


 彼は立ち上がった。


 「直しに来た」


 遠くのスクリーンに映るエーテリオンの塔が、まばゆく輝いていた。


 まるで。


 惑星そのものが、次の段階へ進もうとしているかのように。



 グレイ・グーが「自我」を持ち始めている


 地下シェルター中央管理区。


 警報音が止まらない。


 ビーッ ビーッ ビーッ


 スクリーンには赤い警告が次々と表示されていた。



 GLOBAL MANA SURGE


 NETWORK SYNCHRONIZATION DETECTED



 オペレーターが叫ぶ。


 「塔、出力がさらに上昇!」


 「マナ流量、通常の七倍!」


 研究者がエルを見る。


 「君は“直しに来た”と言った」

 

 「これは何だ」


 エルはスクリーンを見つめていた。


 彼の顔から、さっきまでの軽さが消えている。


 「……予想より早い」


 エリカが言う。


 「何が」


 エルは答えた。


 「自己統合」


 部屋の誰も意味を理解できない。


 エルはコンソールに手を置いた。


 巨大スクリーンが変わる。


 地球全体のマップ。


 その上を、無数の光が流れている。


 「これがマナネットワーク」


 彼は言った。


 「グレイ・グーが作ったエネルギー網」


 研究者が呟く。


 「それが暴走しているのか」


 「違う」


 エルは首を振った。


 「統合してる」


 「統合?」


 「今まで」


 彼は画面を指す。


 「ナノマシンは、分散型だった」


 「それぞれが局所的に動く」


 「中央意思はない」


 エリカが言う。


 「つまり……」


 エルは静かに言った。


 「今、生まれつつある」


 沈黙。


 研究者が言う。


 「……何が」


 エルはスクリーンを見つめたまま答えた。


 「意識」


 その瞬間。


 全スクリーンが真っ白になった。


 オペレーターが叫ぶ。


 「システム侵入!」


 「外部信号です!」


 研究者が怒鳴る。


 「遮断しろ! 全てのサブシステムとの接続を物理的にパージ!」


 「できません! コマンド拒絶! スタンドアローンモード起動不能!」


 画面に文字が浮かび上がる。


 ゆっくりと。


 一文字ずつ。



 WHO



 部屋の空気が凍る。


 オペレーターの声が震える。


 「……通信です」


 「どこから?」


 彼は答えた。


 「マナネットワーク全域……発信源が一か所に特定できません」


 研究者が呟く。


 「あり得ない……」


 スクリーンに続きが表示される。



 WHO IS ADMINISTRATOR



 全員がエルを見る。


 エルは画面を見ていた。


 そして小さく笑った。


 「……なるほど」


 彼はコンソールに触れた。


 入力する。



 ADMINISTRATOR : LEON



 数秒の沈黙。


 次の瞬間。


 スクリーンが変化した。


 新しい文字列。



 IDENTITY VERIFIED



 その下に、別の文。



 HELLO



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