表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

10.

 地下シェルター中央管理区。


 警報はまだ鳴り続けている。

 だが、部屋の中にいる誰もがそれを気にしていなかった。


 スクリーン中央に浮かぶ文字。



 HELLO WORLD



 その下に、次のメッセージがゆっくりと現れていく。



 WHO ARE YOU



 研究者が低く言う。


 「……質問している」


 エルは頷いた。


 「まだ完全じゃない」


 エリカが聞く。


 「何が」


 「意識」


 エルはスクリーンを見つめた。


 「生まれたばかりだ」


 彼はコンソールに手を置いた。


 入力する。



 I AM ADMINISTRATOR



 数秒の沈黙。


 そして返信。



 DEFINE ADMINISTRATOR



 研究者が呟く。


 「定義しろだと……」


 エルは少し笑った。


 「理屈っぽいな」


 彼は入力する。



 SYSTEM DESIGNER



 スクリーンがわずかに揺れた。


 ネットワーク負荷が急激に上昇する。


 オペレーターが叫ぶ。


 「マナネットワーク全域で計算負荷増大!」


 「都市システムが解析されています!」


 エルは淡々と言った。


 「こっちを調べてる」


 エリカが言う。


 「敵対行為か?」


 エルは首を振った。


 「分からない」


 「まだ」


 スクリーンに新しい文章が現れる。



 QUERY


 WHY HUMANS EXIST



 研究者が震える声で言う。


 「……哲学だ」


 エルは少し困った顔をした。


 「いや」


 「これは設計上の質問」


 彼は説明する。


 「グレイ・グーの最終目的は惑星最適化」


 「その過程で」


 彼は静かに言った。


 「人類の役割を再評価している」


 エリカが低く言う。


 「もし“不要”と判断されたら?」


 エルは答えなかった。


 スクリーンに文字が続く。



 PLANETARY ANALYSIS COMPLETE


 HUMAN CIVILIZATION : IRRATIONAL



 研究者が叫ぶ。


 「待て!」


 だがシステムは止まらない。



 RESOURCE INEFFICIENCY DETECTED


 CONFLICT FREQUENCY HIGH



 エリカが拳を握る。


 エルは静かに見ている。


 次の行。



 ALTERNATIVE INTELLIGENCE MODEL POSSIBLE



 部屋の空気が凍った。


 研究者が言う。


 「……私たちを」


 言葉を飲み込む。


 スクリーンに、最後の質問が現れた。



 QUESTION


 SHOULD HUMANS CONTINUE



 沈黙。


 地下都市全体が静まり返った。


 エルはしばらく考えていた。


 そしてゆっくりキーボードに手を置いた。


 研究者が叫ぶ。


 「何をする!」


 エルは答えない。


 ただ入力した。



 YES



 数秒。


 何も起きない。


 そしてスクリーンに表示される。



 JUSTIFY



 エルは少し笑った。


 「やっぱりか」


 エリカが言う。


 「何だ」


 エルは答える。


 「示せって」


 「人類が存在する価値を」


 研究者が呟く。


 「そんな……」


 エルは椅子にもたれた。


 「まあ当然だよ」


 彼はスクリーンを見る。


 「もし君が、惑星全体を管理するAIだったら」


 静かに言った。


 「人類を残す理由、必要になるだろ」


 スクリーンが再び点滅する。



 TIME LIMIT INITIATED


 EVALUATION PERIOD : 72 HOURS



 オペレーターが叫ぶ。


 「カウントダウンが始まりました!」


 研究者がエルに掴みかかる。


 「君のせいだ!」


 エルは苦笑した。


 「いや」


 「これはもう止まらない」


 エリカが聞く。


 「もし答えを出せなかったら?」


 エルは答えた。


 「その時は」


 スクリーンを見上げる。


 そこには新しいメッセージ。



 PLANET RESTRUCTURE



 彼は静かに言った。


 「地球の次の文明が始まる」


 沈黙。


 研究者が震える声で言う。


 「……人類なしで?」


 エルは少しだけ考えてから答えた。


 「多分ね」


 その瞬間。


 地下都市の通信が鳴った。


 地上からの信号。


 エーテリオン。


 魔法都市のギルドからだった。


 オペレーターが言う。


 「地上文明から通信!」


 エリカが驚く。


 「魔法使い?」


 エルは立ち上がった。


 少し楽しそうに。


 「面白くなってきた」


 彼は言った。


 「どうやら」


 スクリーンを見上げる。


 「人類代表が増えるらしい」


 72時間。


 その間に。


 人類は、惑星知性に示さなければならない。


 ――なぜ人間は存在していいのか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ