第四十二話 世界樹①
動物園にはアリサがいるし、水族館には館長のオリアナがいる。
魔王は仕事を溜め込んでいるらしいがすべて宰相のリリスさんに押し付けて、エスナの故郷エルドラドの地を踏みしめている。
リリスさん怒ってるだろうなぁと冬太は思いながらエルドラドの奥地――エルフの里に足を進める。
かつては森林が生い茂っていたそうだが、今は、とても生い茂っているとは言えない。
エルフの里につくとエルフの里にいるであろう大人達が全員魔王に向かって土下座をしていた。
「な、何をしておる!」
「私達は同じ魔人でありながら、世界樹の為とはいえ魔界を裏切ってしまいました。この大罪どうか私の首一つで済みますようどうか寛大な処置を!」
一番前で土下座をしているエルフの長であろう人物が何か物騒な事を言っている。
「全員土下座を止めい! 私は別にそなたらを責めに来たわけではないのだ。それに謝るのはこちらの方だ。そなたらが世界樹の事でこんなに苦しんでいた事を知らぬとは、情けない。この通りだ、すまなかった!」
頭を下げる魔王にエルフ達は涙する。
「許してくれるなら今からでも世界樹を助ける手伝いをさせてほしい」
その言葉にエスナも涙する。
「こちらこそ、裏切ったエルフ族と娘のエスナを許して頂けるなら力を貸していただきたい」
そう言って頭を下げるのはエルフ族族長であり、エスナの父親のトーリ。
「頭を上げよ、トーリ殿。貴殿達が世界樹を命よりも大事にしてきたのは、知っている。そこにつけこまれたら断れない気持ちもわかる。それよりも世界樹の所へ我々を連れていってくれないか?」
「……魔王様に見せるのは構いませんが、そこの少年は……」
あからさまに冬太を警戒している。当たり前だ。会ったこともない相手に自分達の命より大事な世界樹を見せるのはためらうだろう。
「お父様、トウタ君は信用のできる人間です!」
「トーリ殿、安心していい。むしろ連れていった方が役に立つ。
トーリは娘と魔王の顔を見て数秒思案し、冬太を世界樹のもとへ連れていく事を決めた。
連れていく道中やはり緑の気配が少ない。エスナの話ではエルドラド全体が森のように緑が生い茂っていたと聞いていた冬太だったが、これは想像以上に深刻だと冬太は先導するトーリの背中についていきながら考える。
「あ、あれが世界樹だと!? どうしてこんなことに……」
魔王は前の世界樹を見たことがあるのかショックを受けている。
冬太は雲さえも突き抜けそうな程の大木である世界樹に手で触れる。しばらく目を瞑る。
目を開けると、驚き乃一言をいい放つ。
「世界樹燃やしましょう」
「「「はっ?」」」
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