第四十三話 世界樹②
「世界樹燃やしましょう」
「「「はっ?」」」
しばらく続いた静寂のあと、口を開いたのはトーリだった。
「何を言い出すんだ!! 世界樹を燃やすって、君は私達の命よりも世界樹が大事だと言う話を聞いていなかったのか!?」
「聞いてましたよ、だから燃やすんです」
「トウタ君どういう事なんですか~燃やすなんて酷いです~」
「まぁ、待て。トウタ、お前の事だから何か考えがあって言ってるんだろうが、理由を言え」
「ああ、すみません。この木を触ってみてわかったことが死にかけているって事です。でも上の方の新芽はまだ大丈夫そうなので新芽の枝をとって苗木にして、もう死にかけている部分は燃やさないとここの大地にとっても良くないです。死にかけている世界樹に養分を吸われ過ぎてる為か土の状態がかなり悪く他の植物にも影響が出ています」
「でも世界樹を燃やすなんて……」
エルフ族にとっては命より大事なもの。それはわかっている。
だがあえて厳しい事を言う冬太。
「あなた達が世界樹を大切に思っている事はエスナさんの行動を見てもわかります。でも今言った通りにしないと世界樹自体がなくなってしまうんですよ!」
冬太は世界樹がこの世界の魔力の安定を担っていると事前に魔王とエスナから聞いていた。
その世界樹がもしも消えたなら、すぐにではないが、世界中の魔力が乱れて最悪生物が住めなくなる環境になりかねないと。
だからこそ今できる最善を冬太は言ったのだ。
「……君の言う通りにすれば世界樹を救えるのか?」
「必ずとは言えないです。でも帝国の皇太子からもらっている薬――活性剤では一時的には元気に見えてもエネルギーの無いところから無理矢理摂取してるので、他の植物まで枯れ果てているんです。それさえも出来なくなった世界樹はうえに生えている若木以外再生不能の状態です。だからこそ今すぐに行動しないと、本当に手遅れになってしまいます。世界樹のいや、世界の為を思うならは僕の案に賭けてみませんか?」
トーリを真剣に見つめる冬太。
「……わかった。君を、信じて行動しよう。反対する者もいるかもしれないが、そこは私が抑えておく。
「ありがとうございます。早速一番若い枝をナイフで切ってしばらく水につけましょう。そのあと世界樹を燃やしましょう。園長、世界樹だけを燃やせますか?」
「別に燃やさなくても消せばいいんだろう」
と言うと、魔王は世界樹に手を
向ける。
次の瞬間、世界樹が根ごと空中に浮く。
「ブラックローゼス!!」
魔王が叫んだ瞬間、魔王から黒い茨出てきて浮かんだ世界樹に絡みつく。
「圧縮」
さらに魔王が叫ぶと、黒い茨が世界樹を圧縮していき、最後に黒い茨がすべてを消してしまった。
エルフ達は今まで神のように扱ってきた世界樹がなくなり、呆然としているが、冬太にそんなのは関係ない。
冬太は、しゃがみこんで土を触る。
「やっぱり土も弱ってる。その為にまずは土の改造が必要ですね」
「土の改造? いったいなにをするのだ?」
「まずは腐葉土、馬や鳥の糞、あと貝殻やあといくつか欲しいものがあります。さぁて堆肥作り頑張りますか!」
最初に腐葉土の確保。エルドラドから出て現在魔界の山奥に入っていた。
「腐葉土というのはこんな山奥にあるのか?」
「ええ、木が多くて葉が地面に落ちてある場所ほどいいんです。例えばここの地面見てください。葉が発酵して腐葉土になっています。それにほらやっぱりいた」
冬太が土を奥まで掘っていくと三十センチメートルを超えるドでかいミミズがいた。
「ぎゃぁぁあっ!? なんだそれは、なんか気持ち悪いぞ」
これが居る土はいい土だということです。ここの土を出来るだけ多く持って行きたいんですけど大丈夫ですか?」
「エスナと一緒に転移魔法を使えばなんとか大丈夫だと思うが、場所は世界樹のあった場所でいいか?」
「はい、お願いします。腐葉土を世界樹のあった場所に埋めたあとは、動物園へ向かいましょう」
「くっさーいっ! トウタよ、本当にグリフォンやワイバーン、コカトリス、ペガサス、鵺、ベヒ子の糞が役に立つのか?」
「はい、今から六体の糞を一対一ずつの割合で、ジパンからの輸入品の土壌活性剤を薄めたものを散布します。そこに米ぬかや籾殻、魚粉、油かす、わらなどを加えてよく混ぜ合わせ、小高く山状に積み上げて雨の当たらないところで、本当はビニールシートがいいんだけどないから3重に重ねた布の上に重しを乗せます。一週間程で発酵して、熱を発するので、温度が下がったタイミングで切り返しを数回行います。そのうちアンモニア臭がしなくなったら堆肥の完成です」
「それで世界樹は復活するのか?」
「するかもしれませんが、もう一押し欲しいですね」
「何がだ?」
「どうせなら植物系の魔獣を集めて植物園でも始めませんか?」
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