第四十一話 スパイ発覚
よろしくお願いします。
皇太子スルト·アスファルトの私室にて、皇太子は仮面を着けた黒装束の女性と今回の水族館の事を話し合っている。
「すみませんでした。私の情報がもっとちゃんとしていれば」
「君のせいじゃないよ。今回のは単にメリクルスの作戦が杜撰だっただけだよ」
「それで次はどうすればいいのでしょう?」
「そうだねぇ。僕は彼の事が気に入っちゃったからなぁ。そうだ、せっかくだから君の故郷に連れて行けばいい。そうすれば魔界から彼を引き剥がせる」
「でも今は世界樹が弱っているのに」
「僕らが作った薬でどうにか世界樹は保たれているんでしょ?」
「それはそうですが……」
「もしかして彼の事気になってるの? ダメだよ彼は僕の物にするんだから。それに君は断れないでしょ? 世界樹の命運が君にかかっているんだから」
鋭い眼光が仮面の女性を貫く。
「わかりました。その代わり世界樹の治療薬は」
「わかっているよ。君も僕の大切な存在だからね。だからこれからも頼むよ、魔王国の賢者エスナ」
皇太子との話が終わり、転移魔法で自分の部屋には魔王と冬太が居た。
「な、なんでここに?」
「すべて分かっているんだよエスナさん。君が帝国のいや皇太子のスパイということは。僕らが動物園を作った時も、水族館を作ろうとした時も、ジパンに行った時も帝国にいや、皇太子に情報がいきすぎていた。そして水族館プレオープンの時の君と皇太子は距離をとっていたね。いつものエスナさんなら誰にでもフランクに話すのに」
それを聞いてエスナは顔を真っ青にし無言になる。
「エスナよ、別にそなたを責めている訳ではないのだ。私はお前と長い間居たからわかる。そなたは進んでスパイなんてする奴ではない。悩みがあるなら言うのだ。力になれるかもしれない」
するとエスナは涙をポロポロと流しながら、スパイになった理由を語り始めた。
エルフ族は正式的には魔人ではない。
西大陸トドメントと東大陸セメントに挟まれた世界の中心にある大島――エルドラドの真ん中にそびえ立つ大樹――世界樹を守る役割をしてきた聖なる一族、それがエルフ族である。
魔人と一くくりされているが、人間達は、エルフ族にはそこまで嫌悪感は無いらしい。
そんなエルフ族であるエスナが魔王国で魔王の侍従を勤めている理由は、世界樹の現在の状態にある。
二年前の戦争時代から世界樹に元気がなくなったらしい。
困っている所に近付いてきたのが皇太子スルト·アスファルト。
木を元気にする薬があるといい、実際に世界樹に振りかけると元気なったのだ。
ただこれは一時的なもので薬を使い続けなければ世界樹が枯れてしまう。
だが薬は人間達しか作れず、薬の対価に魔王の行動を逐一報告しろと言うことだったのだ。
「ずみまぜぇぇんっ! でも私達エルフにとって世界樹は命よりも大切なものなんでず~」
泣きながら謝るエスナ。
「そうであったか、エルフ族達がそのような危機に立たされているなど知らなかった。申し訳ない」
真剣な顔で頭を下げる魔王。
「そんなぁ、違います。マリー様に相談しなかったわたしが悪いんです~!」
謝る魔王に抱きつくエスナ。
そんな二人を見つつ冬太が口を開く。
「一度世界樹を見に行きませんか?」
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