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42歳のおっさん、赤ちゃんからやり直す ~営業スキルで異世界改革~  作者: コンペイ党
第3部 営業課長、消えかけた村を再生する編

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第八十一話 営業課長、王国改革の新たな仲間


王都商業会議から三日後。


王城の会議室には、これまでにない顔ぶれが集まっていた。


東部の領主、クロード伯爵。


ベルナールの町長ロイド。


王都商会代表ダリウス。


グランディアの代表としてドルガとガレス。


さらに、各地から集まった若い領主や商人たち。


国王は満足そうに一同を見渡した。


「これが王国改革の第一歩だ。」


「今日から、お前たちは王国改革会議の創設メンバーとなる。」


部屋の空気が引き締まる。


◇


「まず確認したいことがあります。」


アルトは立ち上がり、王国全土の地図を広げた。


「皆さん。」


「王国で一番豊かな街はどこでしょう?」


「王都だ。」


「ベルナールじゃないか?」


「いや、鉱山都市グランディアだ。」


様々な答えが返ってくる。


アルトは静かに首を振った。


「正解は……ありません。」


「え?」


会議室がざわつく。


「街には、それぞれ役割があります。」


「港町は物流を支える。」


「鉱山都市は資源を支える。」


「農村は食を支える。」


「王都は情報を支える。」


「どれが欠けても王国は成り立ちません。」


国王が大きく頷く。


「まさにその通りだ。」


◇


アルトは地図へ一本の線を引いた。


ベルナールから王都へ。


王都からグランディアへ。


そして各地方へ。


「これまでの王国は、それぞれの街が別々に頑張っていました。」


「ですが。」


さらに線を書き加える。


やがて地図には無数の線が張り巡らされた。


「街同士が協力すれば、一つの街ではできないことも可能になります。」


ダリウスが目を輝かせる。


「物流網か!」


「はい。」


「ベルナールの海産物を王都へ。」


「王都の商人が全国へ販売する。」


「グランディアの武具を港から他国へ輸出する。」


「農村の特産品を祭りで紹介する。」


「すべてをつなげます。」


クロード伯爵は腕を組みながら笑った。


「なるほど。」


「街ではなく、王国全体を一つの会社のように考えるのか。」


アルトは思わず笑みを浮かべた。


「その考え方が、一番近いですね。」


前世で勤めていた会社も、営業部だけでは仕事は成り立たなかった。


製造。


物流。


経理。


総務。


それぞれが協力するからこそ、お客様へ価値を届けられる。


王国も同じだ。


◇


その時、一人の若い領主が立ち上がった。


「アルト様。」


「はい。」


「私は北部の小さな領地を治めています。」


「正直、今までは他領をライバルだと思っていました。」


「ですが……。」


彼は真っ直ぐアルトを見る。


「一緒に王国を良くしたい。」


その言葉をきっかけに、次々と声が上がる。


「私も。」


「うちの街も協力する。」


「農村も参加させてほしい。」


会議室は熱気に包まれた。


国王は静かに笑みを浮かべる。


「アルト。」


「はい。」


「お前は改革だけでなく、人の心まで変えてしまうのだな。」


アルトは少し照れくさそうに笑った。


「私は何も変えていません。」


「皆さんが元々持っていた力を、少しだけ引き出しただけです。」


◇


会議が終わり、夕暮れ。


アルトは王城の中庭を歩いていた。


そこへ王女エレナがやって来る。


「お疲れさま。」


「ありがとうございます。」


「今日の会議、とても良かったわ。」


エレナは花壇を見つめながら続ける。


「最初に会った頃は、一つの村を助けるだけだったのに。」


「今では王国全体を動かしている。」


アルトは空を見上げた。


夕焼けが王都を赤く染めている。


「まだ始まったばかりです。」


「王国には、まだ困っている街がたくさんあります。」


「一つずつ解決していきます。」


営業課長として積み重ねた四十二年の経験。


それは、この異世界でようやく本当の価値を発揮し始めていた。


王国改革は、今、新たな時代へと歩み始める。


⸻


営業メモ⑦⑨


『組織は競わせるより、つなげることで強くなる。』


一人でできることには限界がある。


しかし、それぞれの強みを持つ仲間が協力すれば、一人では届かなかった成果へ手が届く。


営業とは、自分だけが成功する仕事ではない。


人と人をつなぎ、全員が成果を出せる仕組みを作る仕事である。


━━━━━━━━━━━━━━


――次回、第八十二話「営業課長、新たな改革の地へ」


王国改革会議が発足し、新たな仲間を得たアルト。


しかし国王から託された次の任務は、王国最北端の豪雪地帯。


誰も改革できなかった”白銀の領地”で、営業課長の新たな挑戦が始まる。

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