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42歳のおっさん、赤ちゃんからやり直す ~営業スキルで異世界改革~  作者: コンペイ党
第3部 営業課長、消えかけた村を再生する編
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第七十五話 営業課長、ベルナール大交易祭を企画する



海運組合の改革から一週間。


ベルナール港には、以前の活気が戻り始めていた。


船が入り。


荷が動き。


商人たちの声が響く。


「こんなに船が集まるのは久しぶりだな。」


「港が生き返ったみたいだ。」


街の人々は笑顔を取り戻していた。


しかし、アルトは港を眺めながら、まだ一つ足りないものを感じていた。


「アルト様。」


ガレスが声を掛ける。


「何か問題がありますか?」


アルトは首を横に振る。


「問題ではありません。」


「次の課題です。」


「次の課題?」


アルトは港を行き交う人々を見る。


「港は使いやすくなりました。」


「ですが……。」


「まだ、ベルナールへ来る理由が足りません。」


ガレスはハッとする。


確かに、船が戻ってきても、それだけでは以前の繁栄には届かない。


商人が集まる。


商品が集まる。


人が集まる。


その流れを作らなければならない。


「そこで提案があります。」


アルトは一枚の紙を広げた。


そこには大きく書かれていた。


『ベルナール大交易祭』



その日の午後。


町役場の会議室。


町長ロイド。


商人たち。


漁師たち。


職人たち。


そして海運組合の新組合長となったレオン。


街の代表者たちが集まっていた。


「交易祭……ですか?」


ロイドが首を傾げる。


「はい。」


アルトは頷く。


「ただ商品を売る祭りではありません。」


「ベルナールそのものを知ってもらう祭りです。」


「港の魚。」


「職人の道具。」


「海産物。」


「船乗りの技術。」


「この街にあるすべての価値を集めます。」


商人の一人が手を挙げた。


「しかし、祭りを開くだけで本当に人が来るのでしょうか?」


アルトは微笑む。


「だからこそ、準備が必要です。」



アルトは黒板へ計画を書いていく。


第一段階。


『王都への宣伝』


第二段階。


『限定商品の開発』


第三段階。


『来場者が楽しめる体験作り』


「商品を並べるだけでは、人は動きません。」


「その場所へ行く理由が必要です。」


前世でも同じだった。


ただ安売りをするだけでは、一時的な客しか集まらない。


大切なのは、「また来たい」と思わせる体験だ。



数日後。


街では準備が始まった。


魚市場では祭り限定の商品開発。


職人たちは港をイメージした工芸品作り。


料理人たちは新しい海鮮料理の試作。


街全体が一つの目標へ向かって動き始める。


しかし。


そんなベルナールの動きを、遠くから見ている者がいた。


王都。


とある商会の一室。


「ベルナールが交易祭だと?」


机に置かれた報告書を読みながら、男は不機嫌そうに眉をひそめる。


「はい。」


部下が答える。


「アルトという少年が中心となっているようです。」


男は紙を握り潰した。


「また、あの少年か。」


「グランディアの件も、港の件も……。」


「余計なことをしてくれる。」


「では、妨害を?」


男は薄く笑う。


「いや。」


「まだ早い。」


「奴が何をしようとしているのか、見極める。」


「そして……。」


窓の外を見る。


「必要なら、こちらの商会が先に市場を奪う。」



一方、ベルナール。


アルトは完成した交易祭の計画書を見つめていた。


「これなら……。」


「街の魅力を伝えられる。」


しかし、アルトはまだ知らなかった。


今回の交易祭は、単なる街おこしではない。


王国最大級の商会との、新たな戦いの始まりになることを。



営業メモ⑦③


『人を動かすには、目的ではなく未来を見せる。』


「売上を増やしましょう。」


「街を発展させましょう。」


それだけでは、人の心は動かない。


その先にある未来。


「家族が豊かになる。」


「街が誇れる場所になる。」


その姿を共有できた時、人は自ら動き始める。


営業とは、未来を一緒に描く仕事である。


━━━━━━━━━━━━━━


――次回、第七十六話「営業課長、王都商会との対決」


ベルナール大交易祭へ向けて準備が進む中、王都最大級の商会が動き始める。


アルトの前に現れた強力な競争相手。


営業課長として、初めて挑む大規模な市場競争が始まる。


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