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42歳のおっさん、赤ちゃんからやり直す ~営業スキルで異世界改革~  作者: コンペイ党
第3部 営業課長、消えかけた村を再生する編
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第六十九話 営業課長、国王からの招待状


グランディア改革から二週間。


街には以前とは比べものにならないほどの活気が戻っていた。


鍛冶工房では若い弟子たちの元気な声が響き、市場には「ドルガブランド」の武具を求めて王都や近隣領から商人が集まってくる。


「アルト様!」


朝早く、ガレスが息を切らして駆け込んできた。


「王都から早馬です!」


「王都から?」


アルトが封筒を受け取ると、そこには王家の紋章が刻まれていた。


丁寧に封を開く。


中には、上質な羊皮紙が一枚。


『王国商業改革特別顧問 アルト殿』


『グランディアでの功績を高く評価する。』


『ついては王城へ参じられたし。』


『国王陛下』


読み終えた部屋は静まり返った。


「国王陛下が……。」


ガレスは驚きを隠せない。


「アルト様を直接お呼びになるなんて。」


ドルガは腕を組みながら笑う。


「とうとう国まで動きやがったか。」


アルトは静かに手紙を畳んだ。


「評価していただけるのは嬉しいです。」


「ですが……。」


「何か心配か?」


バルドが尋ねる。


「褒めるためだけに国王が呼ぶとは思えません。」


「きっと、新しい課題があります。」


その言葉に全員が頷いた。



三日後。


アルトは護衛とともに王都へ到着した。


城門では近衛騎士たちが整列し、一人の男性が待っていた。


「アルト殿ですね。」


深々と頭を下げる。


「国王陛下がお待ちです。」


以前よりも明らかに待遇が違う。


アルトは改めて、グランディアでの成果が王都へ届いていることを実感した。



王城・謁見の間。


赤い絨毯の先には国王が座っている。


左右には大臣や貴族たちが並び、その中には以前面識のあった王女エレナの姿もあった。


アルトが跪くと、国王は穏やかな笑みを浮かべる。


「久しいな、アルト。」


「お招きいただき、ありがとうございます。」


「顔を上げよ。」


アルトが立ち上がると、国王は周囲を見渡した。


「皆も知っての通り、グランディアは短期間で見違えるほど発展した。」


「密輸組織の壊滅。」


「職人制度の改革。」


「ブランド戦略。」


「どれも見事であった。」


貴族たちの間からも感心したような声が漏れる。


だが、一人の年配貴族が口を開いた。


「陛下。」


「確かに成果は認めます。」


「しかし、一地方で成功しただけではありませんか。」


「王国全体に通用するとは限りません。」


広間が静まり返る。


アルトは反論しなかった。


営業課長だった頃も、反対意見は必ずあった。


だからこそ、まずは相手の話を最後まで聞く。


国王はアルトへ視線を向けた。


「どう思う?」


アルトは一歩前へ出る。


「そのご意見は正しいと思います。」


「ほう?」


年配貴族が意外そうな顔をする。


「グランディアで成功した方法を、そのまま他の街へ持っていっても失敗するでしょう。」


「街には、それぞれ事情があります。」


「文化も、人も、産業も違います。」


アルトは続けた。


「私が広めたいのは『やり方』ではありません。」


「考え方です。」


「現場を見ること。」


「人の声を聞くこと。」


「相手の価値を見つけること。」


「その考え方なら、どの街でも活かせます。」


謁見の間は静まり返っていた。


やがて国王が大きく頷く。


「その答えを待っていた。」


そして玉座から立ち上がった。


「アルト。」


「はい。」


「余は、お前に王国全土の産業改革を任せたい。」


その一言に、広間がどよめく。


「なっ!」


「子どもに国全体を!」


貴族たちがざわめく中、王女エレナだけは静かに微笑んでいた。


彼女は知っていた。


目の前にいる少年が、年齢では測れない力を持っていることを。


アルトは一度深く息を吸う。


グランディアは、一つの街だった。


しかし次は違う。


王国全土。


営業課長として積み重ねてきた経験が、いよいよ国そのものを変える舞台へ上がろうとしていた。



営業メモ⑥⑦


『成功事例を真似するのではなく、成功した理由を学ぶ。』


他人のやり方をそのまま真似しても、同じ結果になるとは限らない。


大切なのは、「なぜ成功したのか」を考え、自分の環境に合わせて応用すること。


営業でも改革でも、本当に価値があるのは「答え」ではなく、「考え方」である。


━━━━━━━━━━━━━━


――次回、第七十話「営業課長、王国改革の第一歩」


国王から託された王国全土の産業改革。


その最初の舞台に選ばれたのは、かつて栄えながらも今は衰退した港町だった。


アルトの新たな挑戦が、再び始まる。


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