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42歳のおっさん、赤ちゃんからやり直す ~営業スキルで異世界改革~  作者: コンペイ党
第3部 営業課長、消えかけた村を再生する編

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第六十九話 営業課長、国王からの招待状


グランディア改革から二週間。


街には以前とは比べものにならないほどの活気が戻っていた。


鍛冶工房では若い弟子たちの元気な声が響き、市場には「ドルガブランド」の武具を求めて王都や近隣領から商人が集まってくる。


「アルト様!」


朝早く、ガレスが息を切らして駆け込んできた。


「王都から早馬です!」


「王都から?」


アルトが封筒を受け取ると、そこには王家の紋章が刻まれていた。


丁寧に封を開く。


中には、上質な羊皮紙が一枚。


『王国商業改革特別顧問 アルト殿』


『グランディアでの功績を高く評価する。』


『ついては王城へ参じられたし。』


『国王陛下』


読み終えた部屋は静まり返った。


「国王陛下が……。」


ガレスは驚きを隠せない。


「アルト様を直接お呼びになるなんて。」


ドルガは腕を組みながら笑う。


「とうとう国まで動きやがったか。」


アルトは静かに手紙を畳んだ。


「評価していただけるのは嬉しいです。」


「ですが……。」


「何か心配か?」


バルドが尋ねる。


「褒めるためだけに国王が呼ぶとは思えません。」


「きっと、新しい課題があります。」


その言葉に全員が頷いた。


◇


三日後。


アルトは護衛とともに王都へ到着した。


城門では近衛騎士たちが整列し、一人の男性が待っていた。


「アルト殿ですね。」


深々と頭を下げる。


「国王陛下がお待ちです。」


以前よりも明らかに待遇が違う。


アルトは改めて、グランディアでの成果が王都へ届いていることを実感した。


◇


王城・謁見の間。


赤い絨毯の先には国王が座っている。


左右には大臣や貴族たちが並び、その中には以前面識のあった王女エレナの姿もあった。


アルトが跪くと、国王は穏やかな笑みを浮かべる。


「久しいな、アルト。」


「お招きいただき、ありがとうございます。」


「顔を上げよ。」


アルトが立ち上がると、国王は周囲を見渡した。


「皆も知っての通り、グランディアは短期間で見違えるほど発展した。」


「密輸組織の壊滅。」


「職人制度の改革。」


「ブランド戦略。」


「どれも見事であった。」


貴族たちの間からも感心したような声が漏れる。


だが、一人の年配貴族が口を開いた。


「陛下。」


「確かに成果は認めます。」


「しかし、一地方で成功しただけではありませんか。」


「王国全体に通用するとは限りません。」


広間が静まり返る。


アルトは反論しなかった。


営業課長だった頃も、反対意見は必ずあった。


だからこそ、まずは相手の話を最後まで聞く。


国王はアルトへ視線を向けた。


「どう思う?」


アルトは一歩前へ出る。


「そのご意見は正しいと思います。」


「ほう?」


年配貴族が意外そうな顔をする。


「グランディアで成功した方法を、そのまま他の街へ持っていっても失敗するでしょう。」


「街には、それぞれ事情があります。」


「文化も、人も、産業も違います。」


アルトは続けた。


「私が広めたいのは『やり方』ではありません。」


「考え方です。」


「現場を見ること。」


「人の声を聞くこと。」


「相手の価値を見つけること。」


「その考え方なら、どの街でも活かせます。」


謁見の間は静まり返っていた。


やがて国王が大きく頷く。


「その答えを待っていた。」


そして玉座から立ち上がった。


「アルト。」


「はい。」


「余は、お前に王国全土の産業改革を任せたい。」


その一言に、広間がどよめく。


「なっ!」


「子どもに国全体を!」


貴族たちがざわめく中、王女エレナだけは静かに微笑んでいた。


彼女は知っていた。


目の前にいる少年が、年齢では測れない力を持っていることを。


アルトは一度深く息を吸う。


グランディアは、一つの街だった。


しかし次は違う。


王国全土。


営業課長として積み重ねてきた経験が、いよいよ国そのものを変える舞台へ上がろうとしていた。


⸻


営業メモ⑥⑦


『成功事例を真似するのではなく、成功した理由を学ぶ。』


他人のやり方をそのまま真似しても、同じ結果になるとは限らない。


大切なのは、「なぜ成功したのか」を考え、自分の環境に合わせて応用すること。


営業でも改革でも、本当に価値があるのは「答え」ではなく、「考え方」である。


━━━━━━━━━━━━━━


――次回、第七十話「営業課長、王国改革の第一歩」


国王から託された王国全土の産業改革。


その最初の舞台に選ばれたのは、かつて栄えながらも今は衰退した港町だった。


アルトの新たな挑戦が、再び始まる。


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