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14/15

第14話 スポーツテスト


さて、色々ありましたが本日はスポーツテストの日です!

体を動かすことには自信があるので去年より記録が伸びてるといいのですが……


50m走直前のこのドキドキ感、何回やっても慣れませんよね?


「皆さん出席番号順で二列になって並んでくださいね〜」


担任の先生が手を挙げて指示を出している。

ちなみにこのクラスで私の出席番号は女子だけなら1番目。

そして2番目の子は……


「舞衣さん!!私達ペアですわ!」


言うまでもなく飛鳥様です。


「転ばないでくださいね、飛鳥様」


「心配ご無用ですわ!ここだけの話ですが、今日は足に輪ゴムを引っ掛けてきてますの」


「それ眉唾ですよね!?」


今どきそんな古典的な『足が速くなる裏技10選!』みたいなの信じる人いたんだ……


「二人とも、位置についてくださいね。準備はよろしいですか?それでは、よーいドン!」


先生の合図で私は勢いよく右足を踏み込んだ。

ああ、体感だけどやっぱり去年より速くなってる気がする。


視界の端には飛鳥様が見えた。

あら、思ったより速い。

まさか輪ゴムの効果?気を抜いたら追い越されちゃいそう。

輪ゴムを足に引っ掛けた人間に負けるのはなんとなく嫌なので、全力で駆け抜ける。



「院瀬見さん8.5秒!一条さん8.9秒!」


体育係の千鶴ちゃんがタイムを読み上げてくれた。


「はあ、はあ、舞衣さん、相変わらず、速いですのね」


「はあ、飛鳥様こそ、思ったより速くて、驚きました」


「輪ゴムが効いたのかもしれません!」


うわあ、私と同じこと考えてる。


「あはは、一条さん輪ゴムつけて走ったの?」


げっ、湊くん。


「湊くん、見ててくれたんですか?」


「院瀬見さん、露骨にげって顔しないでね。てか一条さん、今どきそんな古典的な『足が速くなる裏技10選!』みたいなの信じる人いたんだ!あはは」


私と同じこと言ってる。


「え!どうして私が昨日見た記事がわかるんですか!?まさにその記事に書いてあったのです!」


本当にそれだったんかい。


「あはは!本当にそれ見て信じたんだ!あとの9個はなにが書いてあったの?」


「あとはーそうですねえ、バナナを食べるとか……あ!好きな人の名前を3回唱えると効果があるとも書いてました!」


ふーん、どれも気休めの占いみたい……ってえ!?クラスの女子達が一斉にブツブツ呟き出した、なに!?



「「「鷹司大和鷹司大和鷹司大和」」」


「「「湊流星湊流星湊流星」」」



いや怖っ……!呪いの呪文?


「あははー……僕、そろそろ順番だから行くねー」


湊くんはドン引きしながらそそくさと立ち去った。

湊くんが逃げ出すとは……思わぬ弱点みつけちゃった?

その時突然クラスの女子が黄色い歓声をあげ出して、何事かと思ったら鷹司の順番が回ってきたみたい。


「鷹司様ー!!」

「頑張ってくださいませー!!」


黄色い歓声の中で一際大きく聞こえる声が千鶴ちゃんっぽいのは気のせいだと思いたい。

鷹司の眉がピクリと動いた。

うわー、嫌そうな顔。


「それでは位置について、よーいドン!」


合図とともに鷹司と、ペアの男子が飛び出した。

えっ、鷹司めちゃめちゃ速い!


「まあ!」


隣で飛鳥様も思わず声を漏らすほどだ。

そしてそのまま隣のペアの子とはだいぶ差をつけてゴールしてしまった、うわあ可哀想……


「た、鷹司様7.4秒!……富山(とみやま)くん9.3秒」


……ドンマイ富山くん、鷹司が化け物なだけだから。

男子の平均は9.5秒らしいし全く遅くないから!


「流石ですわ鷹司様!」

「お水をどうぞ!」


わらわら集まってくる女子達に鷹司はうんざりしたように無視を決め込んだ。

女子たちよ、その水隣の富山くんにも渡してあげなよ。

可哀想じゃないか。


「はあ、クールなところも素敵ですわ……」


千鶴ちゃんがストップウォッチを握りしめながら鷹司を見てうっとりしてる。

私が今から富山くんにお水汲んできてあげようかな?


その後も湊くんの番になると同じように女子達の歓声が湧き、タイムは7.7秒とクラスで2番目の記録だったらしい。


「結構がんばったのに残念だなあ」


例のごとく湊ガールズに囲まらながら呟く湊くん。

そんなところに突然飛鳥様が駆け寄っていくので私も慌てて追いかけた。

こんな湊ガールズの業火の中に飛び込むなんて正気ですか!?


「舞衣さん、湊くんが悔しそうなので輪ゴムを渡してきますわ!これがあれば速く走れますから!」


「飛鳥様!!!」


こんなクラスメイトがいる中でそんな愚行は辞めてください!

私は飛鳥様をなんとか止めようと格闘し、飛鳥様もなんとか渡しに行こうともがき暴れる。



湊流星がそんな2人を遠目に見つけて、一体何をやってるんだと呆れ笑いそうになった時、近くからぽそりと独り言が聞こえた。


「アイツら……また何をやってんだよ」


そこにいたのは、クラスメイトの鷹司大和。


「鷹司くん、君が話しかけてくれるなんて珍しいね?」


「……?話しかけたつもりはない、独り言だ。」


「君もあの二人が気になるのかい?」


二人の視線の先には、まだ言い合いをしている舞衣と飛鳥の姿がある。

というかもはや取っ組み合いと化していた。


「舞衣さん、離してくださいな!輪ゴムを、輪ゴムを配りに行きますの!」


「いりませんわよそんなもの!すぐネットを信じるの辞めてください飛鳥様!」


「もう!こうなったら舞衣さんの足にも輪ゴムを!」


「いやあ!せめて1個にして!何個持ってるんですか!?」


まるで名家のご令嬢同士とは思えない会話内容だ。


「……くだらないな」


そう言い残して立ち去る鷹司。

もっと話したかったが、そろそろあのじゃじゃ馬姫たちを止めないとクラスメイトにバレてしまうので、二人の元へ向かった。




「あーーー!!舞衣さん、輪ゴムが切れてしまいましたわ!」


「いい加減捨ててくださいそれ!」




そして飛鳥様と私の声が響く中、今年のスポーツテストは幕を閉じた。

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― 新着の感想 ―
呪いの呪文w (´ε`) 輪ゴム効果も凄いな〜。 (*´ω`*)
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