前へ目次 次へ 35/76 読み人しらず 月日は百代の過客にして仮想現実、 イドの中の蛙どもが夢の跡。 無量やな髑髏に横たう涅槃、 罪深き隣人を愛する人ぞ。 枕元の曾良を見上げれば蒼く、 旅に病んでバチルスは身体をかけ廻る。 輪廻は百年の孤独にして仮象論理、 胃の中のきりぎりすが歌の帰路。 三千世界に通ずる羅生門、 懐より出だす古い机が青狸。 ドリアン・グレイが玉手箱に囁く、「もしも……」 時は経て、庭に芭蕉の木が生い茂る。 殻を脱ぎ、詠みかわす素数周期の季語。