さらば愛しき家族よ(白目)
「……大丈夫ですか?」
『だいじょうぶじゃないです。はきそうです。なんならしにそうです』
『ふ、ふふふ……おれを、はめたむくいだよ……あまんじてうけるといいじゃない』
うるせぇ兄貴。アンタは俺より早く楽しく潰れてただろうが……あ、駄目だマジで喋ろうとしても、口が回らない。いや、油断したらマジで一発で吐く。
「え、えっと……お、お母さん達! パーティ、楽しかったです! またお会いできる日を楽しみにしてますね! はい!」
『うん、息子たちが悪いね……全く、観光用に余裕持って帰りの便を取っておいたんだけどこんな遅れるとは。お父さん、荷物の準備出来た!?』
『問題無いわい! お嬢ちゃん、タウロスの事、よろしく頼むわ』
兄貴が、まぁ酔ってちょっと帰りが遅くなるくらい弱ってるのは、まあいい。問題は何故俺がここまで弱っているかだ。俺は、一切飲んでいないつもりだったんだが。
『……爺、マジで覚えて置けよ……』
『復讐したければその子を連れて実家帰ってこい! 新しく買ったサイコロテレビゲームで相手をしてやる』
『ふざけんなしっかりと真っ向から喧嘩だよ!』
『えー、でもなぁー、ハチ相手だとちょっとなぁー? 手加減が効かんというかのー?』
『クッソォォォォォアアアアアアア! 事実だから言い返せねぇええええ!』
あ、喋れるようになった……じゃねぇよ! チクショウめっちゃ悔しい! もっと強くなりたい! よーしお兄さんもっと張り切って筋トレしちゃおうかなぁー!?
「……牛頭さんが凄い悔しそうに咆哮している……」
『だーいじょうぶよ。いっつもあんな調子だし。それよりこれ、忘れてたけど』
「? コレって……牛乳ですか? って冷たい! 凄い冷えてる」
『ウチの牛乳。先に送っといてよかったわぁ……でも結構ギリギリだから、痛む前に飲んじゃってね。美味しいのよー?』
『おいそこ、ちょっと待て』
実家のお母さんが自分の所の野菜を送るムーブをするんじゃない。そっちへの恨みも忘れちゃいないんだからなマジで。爺ちゃんがこっそり酒注いでんの気が付いていたろうが絶対に。
『母さんもマジで、酷いよ? 俺がこうなったの貴方なんだから、責任取らないと』
『別にお父さんの悪戯見逃しただけじゃない。お茶目な物よ』
『お茶目で言い表せるか!』
それで俺は二日酔いで崩れ落ちそうになってるんだよ! 二日酔いの辛さを考えられてたらそんな事出来ないだろうが! それ理解しても尚、見逃す事の出来る冷酷、極悪さがないと出来ないじゃねぇか……っ! そんな事!
「わぁ、お母さん凄い綺麗な歯ですねぇ!」
『あらそう? ありがとうね』
『良い笑顔しやがって……騙されちゃダメよ有馬さん、その笑顔は凄い、なんだ…どす黒い意志に裏打ちされてるから』
純粋な有馬さんを笑顔一つで騙す。コレは詐欺師だな間違いない。許すまじ。
『ふふ、悔しいなら実家に……』
『行かねえよ! 結局◯鉄5年プレイに持ち込むつもりじゃねーか!!』
もうお前らに騙されたりしねぇ!! つーかなんでそんなに◯鉄好きなの!? 友情崩壊ならぬ家庭崩壊がお好みか?
『桃◯面白いじゃ無い』
『実家に怒り心頭に発し乗り込んできた息子にやらせるゲームではねぇよ少なくとも』
大人しく殴らせろ。若しくは文句を山ほど言わせてくれ。ゲームに託けて逃げようとするんじゃねえ。
『とにかく、今年は行かねえ。山のトラブルとか色々多かったから、上へ仰ぐ事が多いんだよ。年末年始でも休み無しだ』
『公務員なのにねぇ』
『公務員だからこそ、いざとなったら残業休み返上だってやるんだよ』
アウトスレスレではあるけどな。それでもこの山管理してる身としては、ちゃんとしなけりゃならん。
『大変だね』
『はっ、充実してるから良いんだよ。ところで……本当にこのまま旅行続けんのか?』
そう。兄貴を置いて、お袋と爺ちゃんはこのままワールドを飛び回るつもりらしい。俺のパソコン借りて取ったチケットは、実家の最寄りの空港では無かった。
『疲れてんだろ? 一回帰って休んだ方が良いんじゃ』
『はっ、親舐めちゃいけないよ。アンタらとは経験が違う。疲れててもすぐにリフレッシュする方法くらい知ってるわ』
『本当か?』
まぁ、そこまで命の心配的な感じじゃ無いけど。健康害すくらいの無茶と分かって、何も言わないって言うのは……爺ちゃんや母さんじゃあるまいし。
『安心しなよ。寧ろ爺ちゃんはもっと若返るかもしれないまであるから』
『何処に何をしにいくんだよ一体』
エステでもしにいくのか? 海外までエステしにいくのか? 爺ちゃん体デカいしSNSとかで拡散されないか?
「そう言えば、この弾丸どうすれば」
『土産にとっておきなさい』
……そもそも弾丸を土産にする様な爺だからなぁ、晒されても気にするどころか自慢するまであるぞ。
『兎に角アンタは気にしなくて良いの。大人しくカチコ……楽しいことはこっちに任せて大人しく仕事してなさい』
こ、この母親……ったく。
『アンタは当分死ななそうだな、本当。元気でやれよ』
『アンタこそ、病気するんじゃ無いよバカ息子。また来年』
家族っていいね(棒読み)




