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最速の剣士と最強の魔女  作者: バラクーダ


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第五話 ダンジョン 後編 

 小鳥が空を飛び、風に揺れる木々が朝を伝える。身支度を整えると宿を後にし、ルミナスとミラベルは血塗られた謁見室へと向かう。ダンジョンへは歩いて三日程度の距離だった。途中、かつては都市だったであろう遺跡を通り、たまに遭遇する魔物を倒しながらダンジョンへと歩を進める。

「しかし、人の死どころか自分の死にも興奮するってどんな変態だったのよその王」ミラベルが愚痴る

「しかも、死んだ後にアンデッド化するなんてね。凄い執念だわ」ルミナスが言うとミラベルが

「あれじゃない?」と指差す。そこには禍々しい雰囲気を纏う遺跡があり、大きさ的に本体は地下にありますと言ってるようなものだった。

「あれだね。でもあんな怪しい所にでも王に呼び出されたとあっては行かないといけなかったのは可哀想ね」ルミナスが進みながら言う。

ダンジョンの入口を潜るとより一層禍々しさが増し、地下へと続く階段からは冷気のような物が流れ出していた。慎重に階段を降りる二人。一階降りた所で早速スケルトンの群れである。ここは私がとルミナスが先行する。襲い来るスケルトン達。ルミナスに一瞬ノイズのようなものが走る。瞬間、粉々になるスケルトン達。

「スケルトンじゃ物足りないわ。早く王に会いたいものね」というルミナスに、やれやれという顔のミラベルがじゃあ行くわよと奥に向かう。

その後もスケルトンやグールと言った王道のアンデッドばかりが出てきてはルミナスが粉々にするのであった。数階降りたところで

「私、要るかしら?」と拗ねたようにミラベルが言うとルミナスは慌てて

「次!次は任せるから!」と取り繕う。その次が来たようよとミラベルが言うと奥から一際大きなグールが出てきた。雰囲気が違う

「これ、ここで死んだってされてるS級冒険者のアンデッドじゃない?」とミラベルが言うと

「でも、こんな所で死ぬようなS級だし、大した事ないんじゃない」と余裕のルミナス

瞬間、巨体のグールが消えるルミナスの目の前に現れたグールは尋常な速さでは無かった。振り下ろされる拳。地面を激しく抉る攻撃を遠く離れた位置から見ているルミナス。

「おお、速い速い。さすがS級と言った所かしら。じゃあミラベル任せたから」というルミナスに

「もう終わるわよ」と言い、杖を振り下ろす

「グラビティ」その瞬間、グールは地面と何かの間に押しつぶされ霧散する

「おお、指輪の効果ね。やるじゃない」と揶揄するルミナスに、ぶすっとした顔で

「どうせ効果無いですよ!」っと拗ねてみせたあと、二人で笑うのであった。

その後も淡々と戦闘は続き、ついに最下層の謁見の間まで来た二人は大きな扉を前にする

「じゃあ開けるね」とミラベルが扉を開けると濃い瘴気の様なものが溢れ出す。

「これは、結構やるかも知れないわね」とルミナスが言う。

「アンデッドキングじゃないわね。エンペラーかしら」とミラベルが杖を構える

部屋の中心に異形の怪物がいた。四本の腕に盾と剣を持ち長いマントに頭部には髑髏で作られた禍々しい王冠が装備されていた。エンペラーがこちらに気づくと剣をひと振りする。刹那、ルミナスが消えエンペラーの背後へと現れる。ミラベルはバリアを張り剣の一撃を凌いでいた。

「固い。108発叩き込んだのに効かない」ルミナスが言う。ミラベルが杖を掲げ魔法を唱える

「ホーリーライト!」白い光がエンペラーの周りに集まり、一気に収束すると弾ける

ぐおおおおとエンペラーが叫ぶが大して効いていないようだった。

「これどうするの?」ミラベルが聞く。

「もう一回。次は倍で」とルミナスが消えるキーンと音がしてルミナスがミラベルの前に現れる。

「どう?」とミラベル

「んー、この剣じゃ無理かな。これ以上やったら折れちゃう」とルミナスが剣を鞘にしまう

エンペラーは大きく口を空け、何かを放とうとしている。

「ブレス来るわよ!」ミラベルが咄嗟にバリアを貼る。エンペラーが咆哮と共にブレスを放つ。ブレスは闇を纏いミラベルのバリアにぶつかる。

「これ、何発も撃たれたらやばいわよ!」ミラベルはブレスが途切れると咄嗟に魔法を放つ

「フレイムランス!!」炎の槍がエンペラーを突き刺す。ミラベルは連続で魔法を撃つ

「ライトニング!!」稲妻がエンペラーの頭上から落ち激しくエンペラーを打ち付け地面へと消えてゆく

「ダメだわ、見た目ほど効いていない」とミラベル

「あれを使うわ。10%貸してね」とルミナス

「返してねでしょ。いつでもいいわ!」とミラベルはバリアを張る。ルミナスの眼前に魔法陣が現れる。

そこに手を突っ込むと何かを引き出してゆく。それはひと振りの剣だった。

「魔剣ルミナス顕現!!」ルミナスが叫ぶと魔剣は低く咆哮する

「エンペラー、お前は強い。私は速度に全振りした剣士。そして魔剣ルミナスは破壊に特化した魔剣。その組み合わせがどうなるか身を持って知るがいい。ミラベル10%借り受ける」

エンペラーが大きく咆吼し盾を構える。真っ向から受けるつもりなのである。

「エンペラー。かつて虐殺の限りを尽くした暴君よ、今ここでこのルミナスが引導を渡してやろう」

ルミナスが魔剣を突き出すように構える。エンペラーは守りの態勢だ。

「いざ」とルミナスが言うやいなや光が走る澄んだ音が響き渡り盾の前にルミナスが立っている。

「眠れ暴君よ」ルミナスが振り向くと、エンペラーの盾にひびが入る。

盾はボロボロと崩れ、そのまま崩壊はエンペラー自身へと広がってゆく。完全に崩壊したエンペラーを背に、ルミナスは肩で息をするミラベルの元に駆け寄ると

「大丈夫?まさかここまで大物が出てくるとはミラベルに負担をかけてしまった。ごめんね」とルミナスが謝る

「大丈夫よ。私はいつだってあなたと一緒であなたの力でありたいのよ。」そう言うと微笑むミラベル

「ありがとう。ミラベルがいるから私はいつでも強くいけるんだ。これで困ってる人達が救われる。そしてここに囚われた者達も。さぁ戻ろうか」そう言い、二人はダンジョンを後にする。

町に帰り、依頼完了を告げると町中の冒険者や住人に感謝された。

宿に戻り、二人でお風呂に入る。湯船に浸かったミラベルは髪を洗っているルミナスに聞いた

「で、エンペラーには何発撃ち込んだのよ?」髪を洗いながらルミナスは答える

「2650発」

「呆れた」とミラベルは笑う

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