第三話 次の町へ
昼過ぎにギルドに寄り、思ってたより多い報酬を受け取るとルミナスとミラベルは町を後にするのだった。次の町までは少し遠い。そこで二人は報酬も入ったので乗合馬車で行く事にした。馬車には数人の人が乗っており次の町について各々話していた。
「ねぇルミナス。次の町は魔法具店に良い物あるかしら?」とニコニコしながら言うミラベルに
「ミラベルが欲しがるようなものってなんだろう。魔道書?」と聞き返す。ミラベルはんーっと考えると
「魔道書も欲しいわね。それも飛び切り意味の分からない魔法なんていいわね!それからポーションも少し買っておきたいわ」と喜々として言う。ミラベルらしいなと思うと、ルミナスは次の町に思いを馳せるのだった。馬車に揺られていると眠気が襲ってきた。ミラベルは何か考え事、多分魔法具店の事を考えているのだろうかニヤニヤしていたのでルミナスは少し眠る事にした。意識が遠のいてゆく
「ねぇルミナス?今日は何して遊ぶ?」そこには子供の姿のミラベルが居た。ルミナスは夢だと気付いたが、幼いミラベルに
「何でも良いよ。ミラベルは何がしたい?」と問いかけるのだった。ミラベルは少し考えた後で
「じゃあ、おままごとが良いわ!ルミナスはママ役ね。そして私もママね!」そう言い、広げた敷物の上にころんと座る。そして二人は暫しの時間遊び、執事のような男がミラベルに
「お嬢様、そろそろお時間でございます」と言う。ミラベルはぷぅとふくれっ面をすると
「まだ早いわ!全然遊び足りないもの」と駄々をこねる。ルミナスは
「大丈夫よ。またいつでも遊べるわ。だから今日はここまでね」と微笑む。不貞腐れながらもミラベルは帰る準備をし、馬車に乗ると
「きっとよ!また遊びましょう。じゃあ帰るねルミナス」と窓から手を振り帰っていった。
暗転
「ねぇ、聞いてる?ルミナスぼーっとしてたでしょ」と少し成長したミラベルがルミナスの前に座っていた。年は12歳くらいかなっとルミナスは考えていた。ミラベルは、一冊の本を取り出し
「今日は本を持ってきたのよ。何か学校で流行ってるのよ。恋愛小説だって、一緒に読みましょう」そういいミラベルはルミナスの横に来ると本を広げるのだった。一緒に本を読み進めているとミラベルが言う
「恋愛って何なのかしら?学校の友達に聞くと、頭がぼーっとして胸が高鳴ってその人の事しか考えられなくなるらしいのよ。でもそれって私にとってはルミナスの事なの。これって恋愛なのかしら?」と無邪気に言うミラベルに、ルミナスは
「どうなのかしらね。もうちょっとしたらミラベルにもわかる時が来るんじゃないかしら」と微笑みながら返す。
「ふーん。恋愛ってよく分からないわ。でも、私はルミナスが居てくれたらそれでいいよ」と言うミラベルに
「私にとってもミラベルは特別な存在よ。恋愛かは置いといてね」とクスクス笑いながら言う。
変なのとミラベルは言いつつ、本の続きを読んでいく。こんな時間が続けばなぁっとルミナスは思った。
暗転
「最近、ちょっとおかしいのよ。子供の頃からやってた儀式が長くなってきて辛いわ」とみラベルが言う。少し成長したミラベルが目の前に居る。
「儀式って、体の調子を整えるっていうやつ?」とルミナスが問うと
「そう。でも体調が悪いとかではないのよ。ただ拘束時間が長くて嫌になっちゃうだけ。私、子供の頃から体が弱かったらしいから。自分では調子が悪かった記憶なんてないくらい小さな時からだけどね」とミラベルは心底面倒くさそうに言った
「でも今元気なのはその儀式のお陰なんでしょ?我慢しなさい」とルミナスが言うとミラベルは
「私はもう元気なのにね」と笑う。実際、ルミナスから見てもミラベルにはマナが満ちていた。これじゃ大魔法使いじゃないのと苦笑いした。
「何か魔法でも覚えてみたら?今のミラベルなら何でも出来そうだけど」とルミナスが言うと
「それがね!聞いてよ。私だけ魔法使うの禁止されてるのよ?学校でも魔法の時間は見学よ。何でも安定してるマナが乱れると体調が悪くなるんだって」
「それは勿体無いわね。でもミラベルの体調が一番大事よ。我慢しましょうか」
「仕方ないわよね。ルミナスと会えなくなるの嫌だしね。」と渋々諦めるミラベル。
(しかし、ミラベルってそんなに体調悪い事あるのかしら。これだけマナが満ちて安定してるのなら体調も良さそうなものだけど)とルミナスが考えていると、執事が
「お嬢様。お時間でございます」と言う。ミラベルは
「はいはい、分かりましたよ。もっと長く居られたらいいんだけど」と帰り支度をする。
「仕方ないわよ。ここは本来ミラベル達が居て良い場所ではないのだから」と少し悲しそうな顔をするルミナスにミラベルは
「大丈夫よ。ルミナスには私が居るのだから。そして私にはルミナスが居るのだから。」と言うと、少し悲しそうな顔をしてミラベルが言う
「次に来れるのは少し先になるらしいのよ。でも必ず来るから待っててねルミナス」
「ええ。私はいつでもここに居るわ。だから安心して頂戴」そう言いミラベルの頬に軽くキスをする
暗転
「ルミナス!逃げて!」
「ルミナス?ルミナスってば!」ミラベルの声がする。どうやら深い眠りについてた様だ。
日も暮れて馬車は休憩場所に着いていた。
「ほら、そんなに寝ていないで私達も晩ご飯を食べに行きましょう。もう焚き火も準備できてるのよ」とミラベルが誘う。そんなに寝ていたのかと思いぼーっとする頭を振る。馬車を降り、焚き火まで行くと温かいスープが用意されていた。ミラベルの隣に座りスープを飲む。またあの夢かとルミナスは考え込む。
「ルミナス。またあの夢見たのでしょう?」とミラベルが言う。
「ええ。でも大丈夫よ。この夢のお陰で私達は旅を続けられる。そうでしょ?」ルミナスが固い表情で言う。
「そうよ。私たちの旅の意味を忘れないようにしないとね。」そう言いミラベルは一口スープを飲むと
「でも、楽しい事だって旅の目的の一つよ」と言いニコリと笑いかける。
そうだ、今は旅を楽しもう。次の町に思いを馳せよう。そしてスープを飲み干すと、見張りの傭兵に声をかける。
「何かあったら呼んでくれ。冒険者だからな、一緒に戦うよ」と
「ああ、その時は頼むよ」と傭兵はニカっと笑うと夜は更けていった




