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「女に家督は継げない」と兄たちは笑いましたが、父の遺言状には私の名前しかありません

作者:Dee
最新エピソード掲載日:2026/09/24
「女に家督は継げない。父上の書き損じだ」

父の葬儀の翌朝、遺言状の封が切られた。当主の欄にあったのは、三人の兄の誰の名でもない。末娘リスベート、私の名前だった。

長兄ディートヘルムが声を上げて笑い、三兄ラドルフがそれに続く。優しく言ったのは、叔父ヒエロニムスだけだ。

「形だけでいい。実務は私が見てやろう」

けれど、父の名で出た手紙と証文を十年書いてきたのは、書記を務めた私だ。港の荷の出入りも、取引先の奥方の誕生日も、兄が隠した借金の額も、全部覚えている。

家督の相続は、一年のうちに王の承認を受けなければ無効になる。兄たちは、その一年で私を当主の椅子から引きずり下ろすつもりらしい。

家宝の馬を売られ、使用人を引き抜かれ、五十歳の男爵との縁談を押しつけられる。面白いほうに付くと笑う祖母オトガルトは、今日もどちらの味方もしない。

そして隣領の若き侯爵アウレールだけが、なぜか初めから私を「ヴァイスブルン伯」と呼ぶのだった。

「どうぞ。一件ずつ、お相手いたします」
1. 私の名前
2026/09/22 23:48
2. 馬は家に
2026/09/24 09:18
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