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女子中学生と結婚したいならバスタオルは花柄に限る  作者: 釈 余白
第一章:女子中学生との取引き

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8.愛好家のみなさん

 夜遅くになってからチカがメッセージを送ってきた。もちろん|Reinbowレインボウ Berthバース内のチャットで、である。


「レイちゃん先生! あ、違った。旦那ちゃん! タヌキ頭落札できたよー! 最後の最後で入札しあいになって大変だったよ。だから全財産ほぼなくなっちゃった」


「そうか、そりゃよかった。出資した身としてオレも嬉しいよ」


「だから今から見せに行くね。ところでエンゲージリングってもう買った? アレがあればバインドコール(相互接続)できるから移動が楽なんだよねえ」


「いや、あれってシステムで結婚式上げないと買えないんじゃなかったかな。中古で流通してるのはあるけど他人の名前入りだぞ?」


「旦那ちゃんはそういうの気にするタイプ? ウチは安ければいいかなって思ってたけど? まあそれはおいおいでいいや。結婚式とかハズイし」


「招待するやつもいないし、下手したらGM(ゲームマスター)とかEM(イベントモデレーター)のほうが多いなんてこともあるぞ? リングは式上げないと手に入らないのか運営に問い合わせしてみるよ」


「お金で解決ってこと? なら中古でもいいからね。旦那ちゃんの負担が少ないほうでさっ! そんで今どこにいるの? さっきの酒場?」


「いや、今は自宅で装備作ってるとこ。ようやくレア素材が手に入ったから試しに作ってみようかと思ってさ。チカはスピードタイプのファイターだろ? だったら革鎧でいいな?」


「えー、もしかしてウチの分!? 旦那ちゃんってばやーさーしーいー」


「試しに作ってみたいけどオレは戦闘タイプじゃないからなあ。マジックキャスターでもなくてビルドマスターなんだよ」


「じゃあホントに戦闘いかれないじゃん。初期クエがやっとくらい? それともレイドに参加くらいはできるのかな」


「参加して爆弾投げたり回復ポーションで補助するくらいはできるぞ? 試したことはないけど能力的にはイケる、はず」


「じゃあ何人か助っ人探せばサメボスくらい行けるかなー 次のイベントでサメのキグルミ装備が手に入るんだってさ。レアドロだから回数こなしたいの」


「キグルミ好き過ぎだろ…… タヌキじゃダメなのか?」


「こういうのはTPOにあわせて着替えるのがいいんじゃない。戦闘用の鎧はちゃんと持ち歩いてるからダイジョブよん。ところで家の場所知らないから迎えに来てほしいんだけどな」


「そうだな、じゃあいったん酒場で待ち合わせしようか。ルーンにマークして持っていくよ。リターンブック持ってるか?」


「持ってる持ってる、えっと―― うん、空きスロットもあるからダイジョブ。それじゃ酒場でねー」


 チカはリアルと全く変わらない雰囲気でハキハキしていて行動が早い。言うならば陽の属性持ちってところだ。


 対するオレはと言えばどちらかと言うと内向的で陰属性になるだろう。別に根暗なわけではないが、つるんではしゃいたりすることは苦手である。


 それでもこのレイバの中だけでも、チカと行動を共にするのは楽しいかもしれないと思い始めていた。


「それにしても結婚とはやりすぎだよなあ……」


 そんなことをつぶやきながら自宅のルーンを作成し、酒場へ向かってリターンを使用する。きっとチカは先に来てるだろうな。



 だがオレを待っていたのはタヌキを見せびらかすために呼び出してきたチカではなかった。


「あの…… これはどういう……」


 戸惑うのも無理はない。目の前にはタヌキだけでなく、ウサギ、カエル、カンガルー、クマが並んでいるのだから。


「バアー どう? タヌキフルセット良くない? 今までのキグルミの中で一番気に入ってるんだー」


「そ、それでこの方たちは?」


「うん、ウチの入ってるギルド、キグルミ愛好チームの人たちだよ。全員じゃないけどね」


「ギルド、か。そう言えばそんなシステムもあったなあ。ソロ専門だから今まで気にしたことなかったよ」


「それでね、今から旦那ちゃんへ見せびらかしに行くって言ったら数人ついてきちゃったってわけ。まあウチがギルドやめるって言ったからだけど……」


「なんでやめるんだよ。今まで世話になってるならあんまりひどいことするもんじゃないぞ?」


「だってさあ、パーティー組むときにギルメンとそれ以外で効果が違うバフとかあるじゃない? ウチ、旦那ちゃんと一緒の時を最優先にしたいもん」


「なるほど、オレとギルドを作ろうということか。確かに言いたいことはわかる。でも今までの付き合いを無碍にするのも良くないぞ?」


「じゃあどうするの? 旦那ちゃんがキグルミ着る? 戦闘時以外はずっとって決まりだかんね?」


「もしかしてここで情報収集中もキグルミ? 自宅で装備作ってる時も? オークションに参加するときも?」


「「「もっちろん!」」」


 うおっ、突然みんなで揃った返事が返ってきたからびっくりしてしまった。だけどまあ確かに愛好会なんだから当然と言えば当然か。


 ギルドに入る、もしくは作ると、頭上にギルドタグという識別子が表示されるのだが、今は目の前の全員、名前の後ろに[KAT]と表示されていた。


「オレもそのKATがつくわけかあ。でもキグルミ持ってないからすぐにはムリだなあ。チック(チカ)は予備なんて持ってたりするか? 今回の資金繰りで売っちまってなけりゃ、だが」


「うっ、まさにその通りで全部売り払ってしまいました…… 旦那ちゃんごめんね……」


「そんな落ち込むなよ。とりあえずギルドには入るとするか。なんかキグルミ探してみるから数日待っててくれ。確か不人気で安いのが何種類か出てたはず」


 こうしてオレは『かみさん』に言われるがまま、キグルミギルドへ入ることになってしまったのだった。



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