45.初ドロップと衝撃
死亡証明書が五十枚を超えたころ、オレはさすがに大分戦闘に慣れてきた。
「大ヒール! ぐぁああ、よしっ! 生き残った! くらえ!」『キンキンキンキン』
『おお、上手になったねえ。ヒットアンドアウェイじゃなくてダメージアンドヒットって感じだけど十分だよ。これならきっとレアドロも間近、かも?』
『いや、マジですげえよ。高等テクってほどでもないけどボスソロでは必須のテクだぜ? 喰らってからHPが減るのに時間差あるけど、その瞬間に回復するってのを一人でやるのはなかなか難しいからな』
「ああディレイヒールって言われてるのがコレか。ボスソロ必須テクってことはオレってもしかして上級者並み?」
『いや、それが入口ってこと。上級者を目指すやつの第一歩って感じだな』
「そうか…… まあそんな甘くないのはわかっ―― 大ヒール! ぐぁあああ!」『キンキンキンキン』
『そのつるはしで攻撃する音がなんか哀愁を感じるよね。掘り師のオジサンが懸命にモンスターを追い払ってる感っての? やっぱレイピアみたいにシュパッってのがカッコいいよねえ』
『いやいや、攻撃音なら重装が一番だろ。ザクッザクッってかんじでさ』
『でもアンタ、本当は両手斧使いたいんじゃないの? ブロソは妥協なんでしょ?』
『違うっての、使い分けだよ。ボスクラスには両手斧で普段はブロソみたいなさ』
『今やってんのボスじゃん』
『―― ………… ぇっと…… うるせえ!』
この二人はすでにかぼちゃヘルメットをいくつか出している。だから余裕をかましているが、オレにとっては番度真剣勝負である。
だがその甲斐あってとうとう出たのだ!
「やった! かぼちゃヘルメット出たぞ! やったー!」
『おー! やったね、おめでとー』
『やったなあ、おめおつ』
調子に乗ってギルドチャットへも報告するとみなが祝福してくれた。なんといってもギルドの中で出していないのはオレだけだったのだ。
『でもさ、ぶっちゃけコレ、いらなくね? プロパは普通のヘルメットと同じだしキグルミ的にも頭しかないから除外だろ?』
「そうなんだよなあ。これが出てもダルマから脱却できるわけでもないし、正直レアドロってほどレアでもないから値段も大したことないしなあ。それより戦利品の武器防具のほうがおいしいだろ」
『通常防具の中ではカナ影響度の高いのが出てるみたいだな。オレはそこまでじゃなかったけど、それでも腕装備は交換できたぜ』
『ウチはもう装備完成されてるからなあ。あんまりおもしろくないかも。これなら素材掘りしてるほうが夢があるくない?』
「でも高強度の装備品のほうが溶かしたときに良質素材が多く取れるだろ? 防具改良にはたっぷり使うから助かるよ」
『じゃあそれでウチの装備新しくする? でも腕はアームレット、脚装備はミニスカート系じゃないと絶対嫌だからね?』
『そこまでしてパンツ見せたいのかよ…… 痴女だな痴女! しかも既婚者だ、草草草草大草原』
『うるさい! ばっかじゃないの? このかわいさがわからないから女子の気持ちもわからないんだっての。あーサトがかわいそうで仕方ないよ』
『えっ!? なんで今里美の話になるんだよ。今日だって昼休みとかいっぱい話したぜ? こりゃちゃんと付き合うのも時間の問題じゃね?』
『付き合う前に破局しそうだけどね。アンタさあ、レイバばっかやっててサトに電話したり遊びに誘ったりしてないでしょ。ウチが恨まれそうで怖いよ』
『えっ!? 付き合ってないのにデートなんて誘っていいのか? まだ友達だからと思って今は距離詰める程度にしないとって思ってるんだが……』
『バーカバーカ根性なしー そんなんじゃいつまでたっても彼女なんてできませーん』
オレは心の中で『マジか!?』と叫んでいた……




