39.収穫祭イベント開始
本来のハロウィンは十月三十一日なのだが、レイバのイベント形式としての例にもれず平均しても二か月が充てられる。
つまり今年は九月十日から始まって十月末までと言うことらしい。
夏休みと被っていないのはいいのか悪いのかわからないが、少なくとも毎日徹夜のような未成年プレイヤーが多発しないのはいいことである。
ほかのオンラインゲームでは二十四時間以上続く協力レイドがあるとか、エンドレスにボスを攻略していくギルドイベントがあるなんて聞くと、レイバはだいぶ優しい。
そしてもうひとつ、夏休みが終わったので里美は弟の世話からまあまあ解放されつつあった。これはイベントより重要のはずだが、里美自体はレイバをやっていないので関係ない。
関係が大アリなのはチカと晃で、とうとう晃は本気になったらしくガチギルドを抜けてきた。
それでもソロプレイではさみしいのか、我らがKATに入りたいとチカへ相談している。もちろんキグルミが条件なのでそれがクリアできれば仲間入りは確定的だろう。
『だいたいなんでキグルミなんだ? 結局そのままじゃ戦えなくて着替えてるし、やることが半端な気がするけどなあ』
『でも普通の装備品プロパをキグルミへ転写するのってリアルマネーアイテムじゃん。そんなのぽこじゃか使えないでしょ?』
「チカがそうしたければタヌキかサメの分くらいはオレが出してやってもいいぞ? プレイヤーが売ってればだけどな」
『旦那ちゃんはその前にダルマの後釜を探さないとだよ? 気に入ってるならいいけどウチへの愛を貫くために無理してくれるのはうれしいけどかわいそう』
「はいはい、貫いてる貫いてる。でももう慣れてきたからこのままダルマでもいいかなと思い始めて来たよ」
『おれもダルマは悪くないと思う。ネタ的にも面白いしな。あの時のトンデモジャパンってイベントは楽しかったよ。大勢で獅子舞追い掛け回してさ』
『今回の収穫祭も似たような感じなんでしょ? グリムリーパーっておばけ? をみんなで倒すみたいな?』
『だな。まずは各地の畑でかぼちゃを集めて墓場へ持って行って浄化する。ある程度の数に達するとどこかにボスとしてグリムリーパーが湧くって仕組みみたいだ』
「かぼちゃを集めた数によってレアドロップの確率が変わってくるってホントか? それなら戦えなくてもチャンスあるってことだろ」
『グリムリーパーでの貢献度も絡むから絶対じゃないけど、重要度は高いみたいだな。ボス湧きに近いけど雑魚の代わりにかぼちゃの始末だから戦闘職以外もチャンス大ってのは間違いないだろ』
「んでレアドロはなにかわかってるか? できれば高級素材か高額アイテムがいいなあ。記念品的なのは一番困る」
『微妙な気がするけど銘入りのかぼちゃランタンとかかぼちゃマスクとからしい。キグルミじゃなくて残念だな』
『ホントだよー マスクだけなんてネタ系の装備に使いやすそうだし、これはきっと運営が転写アイテムを売りたいがために導入したんだろうねえ』
「確かに頭装備だけってのはいやらしいよな。儲け心が透けて見える」
『でも儲からねえとオレらみたいな無課金勢は遊べないからな。課金勢様様だよ』
『それもそうね。重課金廃人様様ー ウチにレアドロをお願いしますー』
「おい、願う相手がおかしくなってるぞ。それよりもう明日からだから武器作らないとだろ? 何にするか決めたのか?」
『おれはいつものブロードソードでいいや。暴風の籠手が先に手に入ってればなあ』
『ウチもいつも使ってるこれ、両手レイピアがいいかな。バランス変えなくていいから楽ちんだもん』
「オレはつるはしかな…… カッコ悪いから複アカで戦士作るか?」
『でも育成して練習してるうちにイベント終わっちゃうよ? 下手したら年明けてもまだ育ってなさそう、あはははー』
「笑いごとになるだけっぽいからやめとくか……」
こうして来たるべき収穫祭イベントに向けての作戦会議はまあまあ遅い時間まで続いた。




