33.まるこげダルマ
延べ十日間でどれほど焼かれただろうか。きっとオレのダルマの赤い部分は茶色く焼け焦げているに違いない。
それでも戦闘不能に陥らなかったのはチカが回復してくれているおかげだが、その回復スクロールはオレが用意したものだ。つまりまさしくマッチポンプと言えよう。
だがさすがにダイターはガチギルド所属なだけのことはある。予定通り十回通っただけで達成してしまった。俺一人ではこんな危険な採掘場へ来ることは無いのでいい経験になった。
『よっし、目標達成したぞ。溶岩結晶5000個だ!』
『良かったね。それじゃウチらはもう用済みってことでなにか別の遊びを探そっか。それとも収穫祭に向けて荷物整理の続き?』
「いや、この後の展開は想像がついてる。次はオレの家に行くんだろ?」
『さすがゼロは頭がいいんだなあ。まあ頼むよ。標準素材はちゃんと出すし手数料も払うからさ。もし途中でいいのできたら残りの素材をあげてもいいし』
「乗った! その言葉忘れるなよ? それで何を作ればいいんだ?」
『普段使ってるのはコレ、ブロードソードだけどせっかくの特効だし両手武器にしようかな。ツーハンデットアックスで頼むよ』
「オッケー、なら鉄鉱石と木材が必要だな。ウチに在庫がたんまりあるから持ってこなくていいぞ。その代り一発で当たり引いて溶岩結晶を全部巻き上げてやるさ」
『それはそれで大歓迎さ。いやあ持つべきものは生産職のフレンドだなー』
「そう言うときだけフレンドを強調しやがって。全く調子のいい奴だ。そのご機嫌さのまま勉強にも取り組んでもらいたいよ」
『今はリアルを持ち出すなって。興ざめしちゃうじゃん』
『ねえ』
「でもそろそろ本気でスパート掛けないと間に合わなくなるぞ? というか受験までもう半年ちょっとだぞ? 本当に間に合うのか!?」
『なんとかなるっしょ。おれは本番に強いタイプなんだ』
『ねえ?』
「マジで頼むよ。別にダイターがどうなろうとオレの人生に変わりはないが、一応からんじゃったからには気になるからな」
『ねえって言ってるでしょ!!』
『うわっ、急に大声出すなよ。びっくりすんじゃねえか』
『一体何の話? どうなっちゃってるわけ?』
「あれ? わからなかったか? ダイターの必要な素材が集まったからそれを使ってオレが武器を作るって話だよ」
『ああ、だから家に行くとか生産がなんとかって言ってるのね。ウチは頼まなくてもいつも用意されてるから気にしてなかったけど、旦那ちゃんみたいな生産職のプレイヤーってもしかして少ない?』
『レイバで稼げるのは戦闘職だし、そうじゃないならテイマーか魔法職だろ。生産だけで続けてく奴なんてそうそういないよ。うちのギルドにもいるけど複アカがほとんどじゃないかなあ』
『そっか、旦那ちゃんに作ってもらう前はショップで買うくらいしか考えてなかったけど、あれも複アカのプレイヤーなのかな』
「プレイヤーショップを開いてるような廃人はほぼほぼ複アカだろうな。戦士で特殊素材を稼いで武器を作って高額販売って流れが多いらしいよ」
『もしかしてウチの装備も結構高級品だったりしない? 旦那ちゃんがお金持ちなのは知ってるけどこんなに贅沢させてダイジョブなの? ウチってもしかして甘やかされてる? 愛されてる?』
「はいはい、愛されてる愛されてる。でもそんな高級品じゃないから気にしないでいいさ。もし溶岩結晶が余ったらチックの分も作れるだろうから期待しててくれ」
『やったー、やっぱり愛されてるのが一番だよね』
どうも喜ばれてるポイントがずれてるような気もするが、オレにとっては一応数少ないフレンドでありリアルでもつながってる仲だ。
チカが喜んでくれるなら大抵のことはしようと考えるのだった。




