31.借りと狩り
いまどきは中学校も前期後期の二学期制が増えているそうだ。チカ達の学校も例にもれず前後期なので、夏休みをはさんで九月いっぱいまでは前期である。
そのため中間や期末試験での出題範囲が広く、全国模試などと比べると成績は低めに出る傾向だと聞かされた。
「それでも学校テストの点数も進路に関係はしてくるんだよな? 全く関係ないってこともないだろ?」
『それはもちろんそうだろうけどさ。ウチは前回の期末で結構いい点とってたから極端に下げると何か言われそう』
「そっちはどうなんだ? あき―― ダイター?」
『おれは現実の話をレイバに持ち込むのは嫌いなんだ。そう言う話は今度の土曜にしてくれ』
『ぷぷっ、ホントは触れてしくないだけのくせに。ダイターは平均点を下回る教科しかないくらいの点数だよ。ちなみにサトも似たようなもん』
『こら! ばらすんじゃない!』
「それだとやっぱり総合高校を勧められちゃうか? せめて城址高辺りをめざしてほしいんだけど…… あと一息だから頑張れよ」
『わあってる、わあってるけど頭にはいててこないんだよなあ。教え方が悪いんじゃねえのか?』
『何言ってんのよ。旦那ちゃんの教え方が悪いわけないじゃないの。ウチなんてあんまり勉強してなかったのにすぐ追いついたんだよ? 小学校のときだって成績凄い伸びたしさ』
『でも中学受験落ちてたじゃねえか』
『それは事情が…… 今は関係ないでしょ!』
「わかったよ、オレが悪かった。今はレイバに集中して週末からまた頑張ろう」
『『はーい』』
チカと再会してから今までの話を組み立ててみると、オレが塾講師をやめてから一気に成績もやる気も落ちていったようだ。こう見えても環境の変化に敏感で繊細な神経の持ち主なのだろう。
そうは言ってもこっちも就活があってバイトを続けている場合でもなかったわけだし、責任を追及されても困る。もちろんチカはそんなこと言いだしはしないが。
でもことあるごとに責任とってお嫁にもらえとかからかってくるのが恥ずかしくて仕方がない。
しかもオレが女性に不慣れなことまで見透かされていて、大した返しができないことまで計算ずくなのでたちが悪い。
万一本当にチカと付き合うとかそんなことになったとしても、尻に敷かれるのは目に見えていた。そんなのはレイバの中だけで十分だ。
まあレイバでは尻に敷かれていると言うより、オレが勝手に貢いでいるような感じになっているのだが……
その貢君の副作用で、ここ最近はダイターの狩りを手伝うことになってしまっている。なんといってもサメスーツ入手のために深海エリアイベントで相当世話になった借りを返すためだ。
そんなわけで、今日もオレは火山エリアで溶岩に焼かれまくるのだった。




