第五話 呪をかけた犯人を捕まえます
「ま、待って待って!話は終わってないよ!?死ぬなクソカスー!!」
『リディール、あなた……」
リュミエールがまずそうな声で言ってきた。
え?
なに?
『だっ!誰がクソカスだー!そんな名は嫌だー!』
竜はどうやら縮んでしまったようだ。
ん?
て言うか名前?
クソカスってただの悪口なんだけど。
『はぁ、リディールよく聞いて。竜は精霊ではないけれど、上位精霊と同じ性質を持つの』
「そうなの?」
『あなたは今、その竜にクソカスという名前をつけたことになったのよ』
「悪口ですけど?」
『名前っぽいからね。つまりは、その竜と契約を交わしたってことなのよ』
その場にいた全員の思考が停止した。
竜と契約……。
確かに魔力が上がったような……。
「エッ?」
『竜との契約条件は、竜を弱らせること。彼らの弱点である尻尾を切り落としたあなたは、竜を弱らせたことになる。そこに悪口としてクソカスという単語を言ったことにより、契約条件が満たされた』
「…………やだー!!やだよぉ!お兄様殺したやつと契約とか絶対ごめんなんだけど!!」
『仕方がないことよ、リディール』
マジでやだ!
いらないよこんな契約!
自動発動って何!?
やだよぉー!
個人の意見を尊重しようよ!!
『そこまで嫌がるでない!我輩も傷つくぞ!』
「身内殺した奴と契約したい人いる!?いないでしょ!!もーマジ最悪!!」
『貴様、先程と人格違いすぎないか!?』
「あんたが私を怒らせたからでしょ!!」
『お前がなんかすごいオーラ漂わせるからだろ!!』
「呪われてんだから仕方ないでしょ!!」
声を荒げたからすごい息が切れてる。
一回深呼吸して、私は小さくなった竜を睨んだ。
「そんなに溢れ出る呪いのオーラが嫌なら、呪いを解いてよ」
『呪いを解くことはできん。犯人を探すことならできるがな』
「…………それを早く言えぇぇええええ!!」
◇◆◇
――数日後
あの後、医者にアルカを見せると、酷く驚いていた。
あれから三日は経っているけど、アルカは目覚めない。
「リュミエール、なんでお兄様は目覚めないの?」
『体に魂があっても、体は一度死んでるもの。死者蘇生に成功しても、目覚めるか目覚めないかは運や生き返った人の意思にもよるの。この人が本気で生き返りたい願っているならすぐに目覚めるはずよ』
数日経っても目覚めない。
アルカは生き返りたいと思ってないの?
それとも、私の魔法が不完全だった……?
『リディール、言ったでしょう?運にもよるって。あまり思い詰めないでちょうだい』
「うん……」
『この後、クソカスと一緒に呪いをかけた犯人のところに行くんでしょう?』
クソカスが昨日、呪いをかけた犯人を見つけたと報告をくれた。
和解はできたから、とりあえず呪いをかけた犯人を探すことにした。
「まずは犯人をお父様とお母様に報告しないと」
『そうね。単独行動はその身を滅ぼすだけだもの』
「さて、行きますかね」
お父様の執務室に行く前に、自分の部屋に行ってクソカスを連れて行くことにした。
「クソカス、行くよ」
『もう行くのか?焦らなくてもよかろう』
「早いほうがいいでしょ?またクソカスみたいなのが来てもやだし」
私はクソカスを抱っこして部屋を出た。
小さいから抱っこしやすいんだよね。
執務室にはお母さんも多分いるだろう。
私は扉を叩いて、中に入った。
「失礼します」
「リディール、よく来たな。疲れているだろうが、話を聞かせてくれ」
「はい」
私はお父様とお母さんが座っているソファーの向かいのソファーに座った。
二人は私に呪いがかかっていると判明した日の夜から外公に当たってたため、城の状況を知らない。
でも、恐らく私の魔力開花、精霊と竜との契約、死者蘇生をしたことは報告されてるだろう。
「まず、報告された精霊契約、魔力開花、死者蘇生については事実か?」
「はい」
「その膝に乗っている小さな竜と、お前の肩に座っているのが精霊か?」
「竜はクソカスで、上位精霊のリュミエールです」
お父様とお母さんの目が点になる。
どうしたんだろう。
「すまないリディール。どうやら老化で耳が……。竜の名前がなんだって?」
「クソカスです」
「…………アルカを殺したから、嫌がらせでつけたのか?」
「いえ、不可抗力です」
気まずい沈黙が流れる。
「えっと、竜との契約は……」
「不可抗力です」
再び沈黙が流れる。
リュミエールとクソカスがなんとも言えない顔をしている。
「精霊契約は?」
「望みました。お兄様を助けるためには必須だと感じたので」
「アルカの調子はどうだ?」
私がうつむいたことにより、大体状況を察した二人は目を細めた。
『安心しなさいって。彼は別に死んでるわけじゃないんだから』
「でも……」
『それよりもやることが、あなたにはあるでしょう?』
「……お父様、お母様、私に呪いをかけた犯人が見つかりました」
二人は大きく目を見開いた。
あの惨状を生み出した諸悪の根源。
それは……。
「――」
◇◆◇
「離しなさい!侯爵家の私にこんなことしていいと思っているの!?」
王宮騎士団によって拘束された女が騒ぐ。
危害を加えられないようにと、部屋の外で待機させられたけど、ここは行くべきだな。
私は呪いをかけた犯人の部屋に入った。
「あなたこそ、私に呪いをかけていいと思っているんですか?」
「なっ!リディール王女殿下!!」
「少し前ぶりですね、エステリーゼ・コア・カエルコワイ様?」




