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第五話  国を変えたい私は軽率な行動を怒られました

王宮に戻ると、当然のごとく大騒ぎだった。

謁見の間に、国王夫妻、アルカ、アルデーヌ。

そして魔法師団長まで勢ぞろい。

まるでファミリーミーティングの拡大版だよ。


「おいリディ!勝手に城下町抜け出して、革命派に拉致されて、何やってんだよ!心配したんだぞ!」


アルカが詰め寄ってくる。


「ご心配おかけしました。でも、結果オーライですよ。革命派の皆さん、みんな降伏してくれましたし」

「リデール」


私が言い訳をしようとしていると、怖い顔をした国王が低く、冷たい声で私の名前を呼んだ。

背筋が凍りそうな怒りを感じる。


「今回の件は流石に容認できない」


国王の声は、謁見の間に重く響いた。

普段は穏やかで、家族の前では少し甘い父親なのに、今の目は本気だ。

アルカが息を呑み、アルデーヌが心配そうに私を見る。

王妃の小百合さんは、ただ静かに国王の横で座り、私の顔を見つめていた。


「お父様……」


私は思わず声を震わせて、言葉を探した。

言い訳?

謝罪?

いや、違う。

ここでベタに土下座して「ごめんなさい」って言っても、国王の怒りは収まらない。

だって、私の行動は王女として無謀すぎる。

影の護衛がいても、革命派の拠点に偶然とはいえ潜入して、拉致を「結果オーライ」と言うなんて。

流石に軽率すぎた。


「今回の件は、確かに軽率でした。でも……お父様、革命派のみなさんの痛みを、聞かせてもらったんです。平民の命が、貴族のわがまま一つで失われるこの国を、変えたいんです。異端児差別を緩和できたように、平民差別も……」


国王の目が、さらに鋭くなった。低く、抑揚のない声で、言葉が続く。


「リディール。お前は王女だ。変革を目指すのは結構だ。だが、王女が自ら危険に身を投じて、革命派の拠点に単身で入り込む?影の報告で知ったぞ。お前はアズルクと一晩中話し、剣を捨てさせるまで説得したそうだな。だが、もし奴らがお前を人質に使っていたら?王家は今頃、交渉の渦中にあったぞ」


お父様の言う通りだ。

私、前世のお転婆っぷりが抜けきってなくて、勢いで突っ走っちゃうんだよね。

りりあさんの物語をハッピーエンドにしたい一心で……。

王妃の小百合さんが、そっと国王の袖を引く。


「陛下、リディールは確かに無茶をしました。でも、結果として革命派を無血で降伏させたんですよ?それに、彼女の目を見てください。あの子は、ただの王女の義務じゃなく、心からこの国を変えたいと思ってるんです」


国王は深く息を吐き、椅子に深くもたれかかった。

謁見の間の空気が、少しずつ和らぐ。


「リディール。お前の情熱は、確かにこの国を変える力になる。異端児の笑顔を増やしたように、平民の声も聞くべきだ。だが、王女の命は、お前のものだけじゃない。王家全体のものだ。もしお前が傷ついたら、家族はどうなる?アルカはどうなる?アルデーヌは?」


その言葉に、胸がチクッと痛んだ。

リデールの記憶の中のこの人は、いつもこうだった。

厳しい言葉の裏に、家族への愛を隠してる。

転生者の私でも、それがわかるよ。

少ない記憶の中で、無茶をしたリデールを叱る国王。

分かってる。

分かってしまった。

この人達が愛しているのは私じゃない。

リデールなんだ。

国王の厳しくも優しい視線、王妃の優しい手、アルカの過保護すぎる愛情。

でも、それらは全部リディールのもの。


「リディ……おい、どうした?急に黙り込んで」


アルカの声が、遠く聞こえる。

みんなの視線が、私に刺さる。


「リデール……?」


ああ、私の居場所はどこにもない。

何かが切れるような音が聞こえて、私は何も感じなくなった。

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