第176話 勇者、新たな敵と出会う。 part3
「こやつは霧雨 有栖川。こやつも我の弟子だ。ハァ~······」
フローレンは渋々しい様子で俺たちを眺めた。
彼女の容姿をよく見ると人間よりも耳が長く、肌が少し焼けている。
どうやらこの者は俗に言うダークエルフという部族のようだ。
「私はフローレン様の愛のしもべ、霧雨 有栖川ですわ!」
有栖川の挨拶はボケに聞こえないほどに当たり前のような声量で、周囲の者たちには在らぬ疑いを与える結果を生み出した。
「······フローレンの奥様(?)ですか?」
「やだ~もう! やっぱりそう見えちゃう! 隠しているつもりでも滲み出る想いは出てきてしまうようだわ!」
先程の発言と兼ねるとやはりこの者には客観的に見る視点が欠落しているようだ。だがしかし、イザナミにもこのような焦がれ人がいたとは······。
「有栖川は400年前に王都の貧民街で死にかけておったから拾った弟子だ」
「へ~、そんな人がどうしてここにいるんだ、元々王都にいたんだろ?」
残念そうに事の生い立ちを語り始めた。
「私、フローレン様と別れてからは王都で聖騎士となり、300年ほど任務を遂行してきましたわ。しかし、とある任務でやらかしてしまって、今はこの街の駐在騎士として過ごして居りましたの······、だけどこうして私はフローレン様と再開し、円満な未来へと歩もうとしているのですわ!!」
どうやら彼女も迷い込んだ末にここを見つけたようだ。
「······しかし、この状況はちょっとマズイんじゃないか?」
リクロスの発言に機嫌の悪さが垣間見える。フローレン曰く、どうやらフローレンの周りを漂う有栖川とはどこかで会ったことがあり、その時もフローレンのことを肌身離さずに厄介払いされて良い印象は持っていなかったらしい。
「確かにこの状況はヤバイわ! でも、私たちが揃えば何億人来ようがぶちのめしてあげますわ!」
有栖川の意気揚々とした声は今となってはまともに聞こうとする者は消え、無音のように聞き流していた。
「多分、俺らが来たからこの街がバレたんだよな······」
「街の入り口で拒んだあの忍者は本当のことを言っていたなんて······」
「なら、これまでの動向もデスビーストは監視していたってことですよね······」
神黒たちはこれまでの言動や行動をデスビーストに筒抜けだったことを知ったのだった。




