これさえあれば
「しかし…体を開くことはこの世界では禁忌。叔父上はどうやってここまで調べたのだ?」
血管の一本一本までそれは描かれていた。
「その禁忌ね、サンドラはセルケト王子を救う為に破ったんやわ。国中から死体集めて解剖しとった」
「なんと…」
それこそ、禁じられた行為…叔父上はなんてことを…
「当然メルエンは怒り狂った。サンドラを幽閉しようとした。それを阻止したのはシティ一家だがな」
「シティ…私の母親だ」
「サンドラに惚れこんでいたシティは国一の大富豪。さすがにメルエンもシティの言う事は聞くしかないね。
でも…結局セルケト王子は救われる事なくサンドラは事故で死んでもうた…。
セルケト王子、もう生きてないんやろ?」
「…はい。兄は、王位継承戦で私を勝たせるために大魔法を放って亡くなりました…」
「そうか…まぁ、そこまで生きてたのもサンドラのおかげやね」
叔父上のおかげで兄は生きていられた…そうだ。あの首の装置がなければ兄はとっくに死んでいたのだ…。
「サンドラはセルケト王子を手術しようとしてた。でも、メルエンに半殺しにされてそれを諦めた。
だから、代わりになるような物を発明してたね。俺もグスタフもほっとけと言ったのにサンドラは…」
ふと、机の上を見る。そこには……セルケト用生命維持装置と書かれた設計図と…半分ほど作り上げられた機械が。
「これさえあれば……兄は…死ななかったのでは?」
胸に差し込む形状のその発明品…肺の機能を正常にし、血液中の酸素も充分な量確保出来ると書かれていた。
「まぁ、セルケト王子を死なせたんはメルエン自身だろうね。セティ君のせいやないよ」




