秘密の別荘
それから1カ月…
私の腕はようやく動くようになり、城下町へは徒歩、周辺の街や村へは馬で視察に行くようになった。
灰猫領は広い。3カ国の中でも一番の広さを誇る。
「知ってるか?アレク様は別荘をお持ちで、そこで凄い発明品を作っていたらしい」
グスタフから聞いた、亡き父ですら知らない場所…山奥にあるその秘密の別荘へ私は向かった。
「やっと着いた」
大きな建物だった。飾り気のないその建物の扉を開こうとすると背中にチクリと痛みが走った。
「動くな!」
「?!」
女の声だ…おそらく私の背中に剣を突きつけている。
私は両手を上げ
「怪しい者じゃない」
と言う。
「何者だ?!此処がどういう場所か知って来たのか?!」
「叔父上の別荘だろう?
私はセティ・アレクサンドラ・グレーキャット。現灰猫国国王だ」
そう名乗るとカチャリと剣が下ろされるのを感じた。
「国王…だと?!メルエンはどうした?!あの無能なメルエンは!」
「父は死んだ。王位継承戦で生き残ったのは私だけだ」
私はゆっくりと振り返る。
するとそこには金髪の中年の女性が立っていた。
耳が猫ではない…
「人間か?」
珍しい。人間がこの灰猫の領域にいるなんて。
「…アレク様…?」
振り返った私を見て女はとても驚いた顔をする。
「そんなにそっくりなのか?私と叔父上は。よく言われるが…」
「…瓜二つだ…
…私はメラニア。このアレク様の秘密の発明所の管理を任されている」
「そうだったのか…では、メラニア殿。どうか私が中に入る事を許可してくれるだろうか?」
「…いいだろう」




