ヴァージル
別荘の中に通されるとそこは異質な空間だった。
宮殿しか知らない私にとって、見たこともないような灰色の壁。ところどころにある機械。
「そう言えば此処に来た訳をまだ言ってなかったな。
私は此処にいるある男に会いに来たんだ」
グスタフから言われたのだ。此処に私にとって必要な男がいると。勿論叔父上の発明品も目当てではあったが。
「…こっちだ」
「?行き止まり?」
小さな個室の中に入るメラニア。私は踏みとどまっているとメラニアに手を引かれた。
すると扉が閉まり、個室が上に動き出した。
「なんだ?!」
「昇降機だ」
やがて個室が止まると扉が勝手に開く。
長い廊下を進むとやがて沢山ある部屋の1つでメラニアは立ち止まる。
「此処だ」
ドアをノックしてからメラニアは部屋の扉を開ける。
「ぁ…」
私はその部屋の中のベッドに横たわる人物にくぎ付けになる。
(人間…じゃない。半獣人だ)
スンッ
静かな部屋に鼻を鳴らす音が響く。
「…さ……サンドラ…?」
本当に消えそうな声が…その人物から発せられた。
私はベッドに近付いてよくその人物を観察する。
「彼は…」
「私の夫、ヴァージルだ。見て分かる通り、寿命で死にかけている」
はっきりと分かるくらい死相が出ている。
「…サンドラ…待ったで……やっと会えた
…」
目元は包帯で覆われている。かつては筋肉質でガタイがよかったのだろう。それが分かるような体の作り。
半獣人の特徴である薄い毛に覆われた手足。
「あぁ…今行くで…サンドラ…お花畑、キレイやなぁ…」
「…ヴァージル」




