グスタフとアレクの思い出
「俺様にとってはアレク様は神様だ。
山賊として腐りきってた俺様をまともな人間にしてくれた」
馬に乗りながら私はグスタフの話を聞く。
「ある日、俺様は仲間と共に村を襲っていた。人も沢山殺したし、女もさらって人買いに売ろうとしていた。
それを、アレク様はたった一人で俺達の前に立ちはだかり、いきなり頭を下げたんだ。
「どうかそのような事をしないでくれ!同じ人間じゃないか!」と言って来た。
馬鹿だった俺様は「じゃあ、止めたければ勝負しろ。勿論お前が負けたらお前も人買いに売ってやる」とな…。相手が王子だと知らずに俺様は戦いを挑んだ。勿論結果は俺様の圧勝。だが、アレク様は俺様に噛み付いて来た。
昨日の王様みたいにな。
で、泣きながら俺様に説教したんだ。あの時も俺様はアレク様の両腕を使い物にならなくしていた。
で…アレク様を集めた女達と一緒に売ろうと荷馬車に詰めた時、後からやって来た王国軍に俺様は捕らえられ、処刑されそうになった。
それを…アレク様は止めたんだ」
私は黙って聞いていた。
ただただ…叔父上の凄さに感心していた。
「両腕の折れた痛々しい姿に兵士達は俺様や仲間をすぐに死刑にしろと矢を射ろうとした。それをアレク様は身を挺して防いだのだ。「やめろ!殺すな!同じ人間だぞ!更生するチャンスを与えないで殺すことはならん!」と…言って俺様達を助けた」
「なんと…」
「ほんと…アレク様は偉大だった…何故死んだんだ…」
「……」
それから現地に着くまでグスタフは叔父上との思い出話を沢山聞かせてくれた。
「着いたか」
村に着くとすぐに村の者達が集まって来た。
「まさか…王国軍が?!」
「…皆の者、聞けぃ!こちらは新王セティ様だ!メルエンは死んだ!これからはセティ様がお前達を支えて下さる!」
グスタフの言葉に村人達が歓声を上げる。
「おおお、セティ様!!」
「セティ様万歳!!」
少し恥ずかしかったが私も
「約束しよう国民達!私は皆を支えられる王になる!
山賊は何処にいる?!」
「東の山に根城を持っています。娘達や村の食料を毎日奪いに来ます!」
「どうする、王様」
「……」
私は考える。山に入るか…待つか。
いや、待っている間に娘達が売られるかもしれない。
「私が行く。グスタフ、少人数の兵士を連れて山の反対側に回ってくれ」
「!!分かった…くれぐれも無茶はするなよ」




