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何もできない私…

私は一人、山賊の根城があると言う東の山に向かった。


険しい道のりではなく、踏み鳴らされた山道を馬で行き、それらしい集落のある場所に着いた。


「……」


ガラの悪そうな男達が檻の付いた荷馬車に人を載せている所だった。


「待て!お前達山賊だな!」


「?!何者だてめぇ!」


「私はセティ!この国の王だ!」


「は?!王はクソメルエンだろうが!」


皆私が王になった事を知らない。


「先王メルエンは死んだ!今は私が王だ!

…人さらい、略奪をやめよ!」


「馬鹿言うなよ坊ちゃん。山賊が人さらいや略奪をしなくてどうする?」


「ならば山賊をやめよ!まっとうな仕事をすればよいだろう!」


「それが出来たら苦労しねぇよ!

おい、時間の無駄だ。この優男も荷馬車に詰めろ!」


そう山賊の一人が叫ぶと私の周りに他の山賊が集まって来る。


「こいつはかなりの上玉じゃねぇか。王とか言ってるがどっかの貴族の子供だろう。高く売れそうだな」


「身に着けてる物もそれなりにいい物だ。ひんむいてやろう」


「……」


私は剣を握ろうとして…気付いた。

痛みがなくて気が付かなかった!私の腕は折られたままだ…。


(しまった…!)


「やっちまえ!」


男達が私を拘束する。


「なんだこいつ、腕が動かないのか?!」


「なんだ欠陥品か。まぁ、でもこういう奴が好きな旦那はいるだろう。顔はいいからな」


ぐっと私の顎を掴み、男達は私の顔を値踏みする。


「王様!!」


その時だ!グスタフ達が駆けつけ、山賊に剣を向ける。


「大人しくしろ!」


「な、なんだこいらは?!」


「灰猫国王国軍軍団長グスタフ!セティ王の剣として貴様ら山賊を討伐する!」


パンッと信号弾が撃たれ、麓の兵士達にも知らせる。


「なっ」


「投降しろ!まもなく100人の兵士が此処に押し寄せるぞ!」


「なんだと?!」


「投降するなら命はとらない!さぁ、どうする?!」


「王族の言う事なんか信じるか!!」


山賊達は一斉に武器を手に私達に向かって来る。

それをグスタフはたった一人で10人もの相手を鞘のついたままの剣で倒した。

一瞬だった…。


「す、すごい…」


これが…グスタフの強さなのか!やはり…あの時私は試されていただけなんだ…


「あっけないな。俺様が山賊の頃はもっと骨のある奴ばかりだったんだがな」


私は何も出来ないまま…グスタフや他の兵士が山賊を拘束し、連れて行くのを眺めているしか出来なかった。

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