王よ
軍団長は私とメイホウに近付いて剣を向ける。
「今度こそ終わりだな」
コツンッ
「なっ」
民衆の1人が軍団長に向かって石を投げるのが見えた。
「王を…セティ王を殺すなー!」
「セティ様を殺すなー!」
それまで静観していた民衆が一斉に軍団長に向かって石を投げる。
「くそっ」
「セティ!お父様!」
イヴが駆けつけ、私を抱き起す。
「くそっ!やめろ!うっとおしい!」
「……」
私は…軍団長の前に歩いて行き立つ。
すると民衆は石を投げるのをやめる。
「やめてくれ…民よ」
私は軍団長を見上げる。
「私の負けだ…だが…どうか妻と子供だけは…メイホウも…許してくれ…」
私は頭を振って王冠を落とした。
「セティ!!」
「どうか…国を良くしてくれ…」
私は頭を下げたまま目を瞑る。
もう、私は王ではない…ただの敗者だ…。
覚悟は出来ている。
カシャッと軍団長が王冠を拾う音がする。
「……」
頭に重みが…瞼を開くと
「?!」
軍団長が私の頭に王冠を載せ、そして跪いた。
「俺様の負けだ、王よ」
「なっ…」
「アンタは王だ。ちゃんとその心意気を見せてもらった。
…ヒールⅢ!」
軍団長は立ち上がると私の腕に回復魔法をかけた。
「すまなかったな。骨はくっつかないが痛みはこれで出ないだろう」
「何故…」
「アンタはアレク様に心まで似ている。
この俺様の生涯をかけてアンタに仕えよう」
「!!」
軍団長は剣を横にして私に差し出す。
「俺様はセティ王の剣になる」
「…なんだ、初めからそのつもりだったのか」
メイホウが脇腹をおさえてやって来る。
「…どういうことだ?」
「何…コイツは初めからク…セティを試すつもりだったのだろう」
「は?」
「そうだろう?グスタフ」
私は軍団長を見る。ボリボリ頭を掻きながら言う。
「なーんだ、分かってたのかじいさんは」
「剣を交えた時、殺気がなかった。お前さん、本気だったらセティの腕を切り落としていただろう?」
「まぁな」
なるほど…話は分かった。
「有難う、グスタフ。…くっ」
腕が上がらない。
「無理するな、王様。1カ月は腕が使い物にならないだろう」
「そんなに…その間どうすれば…やらなければいけないことが沢山あるんだ!」
「なら、俺様が力を貸してやる。ちょうど王国軍も腐りきってなまけ切ってるからな。叩きなおすのも面白いだろう」




