氷の棺
(何とかして薬を増やせないものか。国民全員が長寿になればもっと国は豊かになるだろう)
そんな夢を抱きながら、私はしっかりと鍵をかけ、父の部屋から出て宮殿の地下へと向かった。
宮殿の地下は人目の触れない場所で、王族の遺体を一時的に置いておくには最適の場所である。
既に葬儀屋が兄達の遺体を運び込んでおり、氷の棺桶に兄達は入れられていた。
「ようやくお越しくださいましたね、国王様」
久々に会ったもっちがこちらを振り返る。
「姿を見ないと思ったら此処にいたんだな、もっち」
先程手に入れた薬を渡したくて此処に来るまでに簡単にもっちを探していたが会えなかった…まさか此処にいるとは思わなかった。
「前国王様、そしてご兄弟の遺体をお守りしてました」
「それはすまなかった。有難う、もっち。
それで…葬儀を行ったことも見たこともないのだが、どうすればいいのだ?」
自分が今まで生きて来た中で身内の葬式などした事がない。見たこともない。どうすればいいのか分からなかった。
「まずは埋葬先を決めましょう。聖ホルス教会が歴代王族の埋葬先でございます。
後は思い出の場所に埋葬していただくのもよろしいかと」
「では…父と弟達は聖ホルス教会へ。兄は…私がイヴと結婚式をしたあの名もなき教会に埋葬したい」
兄が証人になってくれて結婚式を挙げられたあの教会。私にとっては思い入れのある教会なのだ。




