我が子の胎動 ~セティside~
~セティside~
イヴが私への兄の手紙…遺書を読み上げるのを…聞いているだけで涙が零れた。
「…お兄様はセティ様を愛してらっしゃったのですね…」
「あぁ…兄上…!あぁぁっ!!!」
顔を手で覆い、泣くとイヴが抱き締めてくれた。
「イヴッ…兄上はっ、…私の事を…」
「心から愛していらっしゃったと思います…っ」
その時、ポコンとイヴのお腹が動き、私の顔に当たった。
「…今のは?」
「胎動です。ラムもパパに泣かないで欲しいって思ってるんですよ」
また顔に当たる。生きて動いている…私とイヴの子が。
「辛いでしょうけど、しっかりしてください。貴方はこの国の王でありこの子の父親です。
もう今日で悲しんで伏せるのはおしまい。これからは国民と私達の為に生きて下さいまし!」
「…分かった」
私は顔を上げ、涙を腕で拭くと立ち上がる。
「明日、兄達の葬儀を執り行う。そして新国王としての務めを果たそう」
「えぇ。それでこそセティ様です。私も微力ながらお手伝いいたします」
「有難うイヴ」
この先イヴがいてくれれば何も恐れる物もない。
…この先?
「そう言えば王の庭にジタンの木が生えていたな」
「ジタンの木とは……なんでしたっけ?」
「我々亜人の寿命を大幅に伸ばす薬になる木の実がなる木だ」
「あぁ、あの時養父と話していたお薬の事ですね」
イヴは思い出してくれたようだ。
「飲めば100年近く生きれるようになる。今の我々亜人はせいぜい20年しか生きられない」




